公園文化ロゴ
公園文化ロゴ
公園文化を語る 公園の達人 公園管理運営「チャレンジ!」しました 公園とSDGs 生きもの小話 みどり花コラム アートコラム 花みどり検定 公園の本棚 世界の公園 たまて箱 公園”Q&A /
みどり花コラム
イチョウ並木と精子 森江晃三
11月から黄葉が楽しめる国営昭和記念公園のイチョウ並木

11月から黄葉が楽しめる国営昭和記念公園のイチョウ並木

国営昭和記念公園の立川口を入って、カナールにそった両端にイチョウ並木があります。普通の街路樹と違う感じがするのは樹の高さが切りそろえられている点です。隣接地に滑走路があるためですが、独特の景観です。秋、このイチョウ並木の金色の葉と散り敷いた葉の景色は、二人連れが歩くのに、とても似合うと思います。二人は必ずしも若い男女だけではなく老夫婦、女同士、或いは男同士でもそれぞれよい景色です。

 

イチョウは日本と中国に分布している植物ですが、中国では自生地が確認されていますが、日本ではすべて人の手で植えられたものか、或いはそこから広がったものと思われています。またイチョウは種子植物でありながら、精子をもつ植物でもあります。この精子は1896年、平瀬作五郎によって東京大学の小石川植物園のイチョウの樹で発見されました。

 

イチョウは、一目、一科、一属、一種という孤立した植物です。おそらく1億5千万年前頃からこの形を変えずに生きてきた植物です。イチョウは種子を作る種子植物ですが、裸子植物ですので果実は作らないのです。しかし、ご存知のように銀杏を(ぎんなん)をひろうとき、あの臭い果実のようなものがついています。あの部分は果実ではなく種子の一部(種衣)なのです。種子の外側は臭いだけでなく、人によってはかぶれる成分を持っているので、銀杏拾いをする時は注意が必要です。

 

1億5千万年生き続けているイチョウが、公園の秋の二人づれに似合う景色を作っています。

 

緑花文化士 森江 晃三

(2018年11月掲載)

 

※今回のコラムは、国営昭和記念公園で販売されている『国営昭和記念公園オリジナル 植物ガイドブック 花ごよみ』からの出典です。

http://www.showakinen-koen.jp/information/guidebook/

国営昭和記念公園の植物174種が季節ごとに掲載されている。

国営昭和記念公園の植物174種が季節ごとに掲載されている。

区切り線
過去記事一覧
キチジョウソウ 横山 直江
旅と植物 日名保彦
ナギの葉 松井恭
雑木林~私の大好きな庭 千村ユミ子
名札の問題 逸見愉偉
ミソハギ ~盆の花~ 三輪礼二郎
葛粉についてもっと知りたくて 柴田規夫
明治期にコゴメガヤツリを記録した先生 小林正明
「ムラサキ」の苗を育てる 服部早苗
活躍広がる日本発のDNA解析手法 植物の”新種”報告がまだまだ増えそう! 米山正寛
地に咲く風花 セツブンソウ 田中由紀子
稲架木はさぎに会いに 松井恭
クリスマスローズを植物画で描く 豊島秀麿
カラムシ(イラクサ科) 福留晴子
園芸と江戸のレガシー 鈴木泰
植物標本作りは昔も今もあまり変わらず 逸見愉偉
カポックの復権 日名保彦
オオマツヨイグサ(アカバナ科) 横山直江
森の幽霊? ギンリョウソウ 三輪礼二郎
ジャカランダの思い出 松井恭
水を利用してタネを散布する植物 柴田規夫
都市緑化植物と江戸の園芸 鈴木泰
スノードロップの季節 服部早苗
枯れるオオシラビソ 蔵王の樹氷に危機 米山正寛
シモバシラ 森江晃三
葛布くずふの話 臼井治子
琥珀 松井恭
うちの藪は深山なり 千村ユミ子
神社で出会った木々 田中由紀子
光を効率よく求めて生きるつる植物 柴田規夫
モッコウバラとヒマラヤザクラ 服部早苗
志賀直哉と赤城の躑躅つつじ 小林正明
花のきょのいろいろ 古川克彌
桜の園芸文化 鈴木泰
動物を利用してタネを散布する植物 柴田規夫
お餅とカビ 森江晃三
危ない!お豆にご用心 川本幸子
風を利用してタネを散布する植物 柴田規夫
山椒の力 いつも緑のとまと
土佐で見たコウゾの栽培 米山正寛
大伴家持の愛した花 カワラナデシコ 安田尚武
「シアバターノキ」とブルキナファソ 松井恭
白い十字の花、ドクダミの魅力 柴田規夫
いずれアヤメか 三輪礼二郎
すみれの花咲く頃 川本幸子
シマテンナンショウの話 臼井治子
セツブンソウ(節分草) 森江晃三
ハイジとアルプスのシストの花 松井恭
年賀状 再び 永田順子
開閉するマツカサ 小野泰子
和の色、そして、茜染めの思い出 柴田規夫
いわしゃじんを毎年咲かせよう 川本幸子
知らないうちに 逸見愉偉
ボタニカル・アートのすすめ 日名保彦
ハマナスの緑の真珠 志田隆文
恋する植物:テイカカズラ 古田満規子
マメナシを知っていますか? 服部早苗
桜を植えた人 伊藤登里子
春の楽しみ 鯉渕仁子
みゆちゃんのわすれもの 山岸文子
遅くなってゆく年賀状 永田順子
イソギクは化石のかわりに 古川克彌
イノコズチの虫こぶ 清水美重子
ヒマラヤスギの毬果 小野泰子
私たちのくらしと海藻 川本幸子
河童に会いに 松井恭
カラスビシャクを観察して 志田隆文
何もかも大きい~トチノキ~ 三輪礼二郎
キンラン・ギンラン 横山直江
早春の楽しみ 豊島秀麿
キンセンカ、ホンキンセンカ 佐藤久江
カラスウリの魅力 小林正明
イチョウ並木と精子 森江晃三
コスモスに秘められた物語 下田あや子
「蟻の火吹き」の語源について 志田隆文
新しい植物分類 豊島秀麿
サルスベリ(猿滑、百日紅) 宮本水文
小松原湿原への小さな旅 松村文子
野生植物の緑のカーテン 小林英成
江戸の文化を伝えるサクラソウ 黒子哲靖
工都日立のさくら物語 ―大島桜と染井吉野― 鯉渕仁子
ニリンソウ(キンポウゲ科イチリンソウ属) 佐藤久江
能楽と植物 川本幸子
サカキの冬芽と花芽 古川克彌
ケンポナシみつけた 永田順子
セイダカアワダチソウの話 逸見愉偉
ヒガンバナ、そしてふるさと 森江晃三
いにしえの薬草‘ガガイモ’ 服部早苗
トリカブトの話し 三輪礼二郎
ツユクサ、花で染めても色落ちしてしまう欠点を逆利用!柴田規夫
アサギマダラ 横山直江
「思い込み」の桜 田中由紀子
常磐の木 タチバナ 清水美重子
柿とくらし 三島好信
植物に親しむ 小林正明


TOPに戻る