公園文化ロゴ
緑・花試験 公園・夢プラン大賞
公園文化ロゴ
緑・花試験 公園・夢プラン大賞
公園文化を語る 公園の達人 公園管理運営「チャレンジ!」しました 公園とSDGs 生きもの小話 みどり花コラム アートコラム 花みどり検定 公園の本棚 世界の公園 たまて箱 公園”Q&A /
みどり花コラム
名札の問題

公園や植物園を歩くと、植えられた植物に名札がついていることがあります。親切なことだと感心します。

ところが、たまに間違っていることに気づきます。なんだかモヤモヤします。観察すると、間違いの中にもいくつかのパターンがあることが分かってきました。

ある公園の「野草園」ではだれもがなじみの身近な植物「ムラサキツメクサ」名札がありました。ところがすでにムラサキツメクサは無くなっていて「コメツブウマゴヤシ」が生えていました。多年草でもずっと同じ場所に生えるとは限りません。

 

ムラサキツメクサ

ムラサキツメクサ

コメツブウマゴヤシ

コメツブウマゴヤシ

 

また、「ウグイスカグラ」と名札があっても、よく見ると「ミヤマウグイスカグラ」だということもあります。植栽の際に、植木屋さんが間違った分類の植物を持ってきたりします。植木屋さんは似ていれば同じと考えることがあり、間違った名札が付くことになります。

 

腺毛が多く見えるので多分ミヤマウグイスカグラ

腺毛が多く見えるので多分ミヤマウグイスカグラ

 

最近面倒なのが、科名の変更です。APG分類になったので、なじみの科名がだいぶ変わりました。「カエデ科」はなくなり、「ムクロジ科」になりました。私など古い人間には違和感満載です。「ユリ科」は多くの種を含む大きな科でしたが、いくつかの植物が「イヌサフラン科」や「キジカクシ科」として独立しました。新しい科名にはまだ慣れません。これらの名札は公園などでは掛け替えが進まず、まだ新旧混在していますから注意が必要です。

 

種名が変わることもまれにあります。「ツリフネソウ」は「ワタラセツリフネソウ」が別の種類だと2005年に発表されました。川の土手でよく見る「セイヨウアブラナ」と思っていたのは「アブラナ」だと最近分かったそうです。

 

両脇の花弁がうまく写っていませんが、ワタラセツリフネソウです

両脇の花弁がうまく写っていませんが、ワタラセツリフネソウです

 

そのほか、間違いとは言えないけれど、植物の名付け方に違和感があるのもあります。

「ヤハズエンドウ」は標準和名ですが、別名「カラスノエンドウ」の方が一般的です。その仲間に「スズメノエンドウ」というマメ科の植物があります。「カスマグサ」は、ちょうど「ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)」と「スズメノエンドウ」の中間的な大きさの草花です。別名「カラスノエンドウ」と標準和名「スズメノエンドウ」の頭文字「カ」と「ス」の間の草という意味で「カスマグサ」と名付けられたと言われています。

 

2つの植物名を組み合わせて名付ける場合、標準和名である「ヤハズエンドウ」と「スズメノエンドウ」から「ヤスマグサ」となるのではないかと想像しますが、名付け方1つとっても奥深いものです。

 

カスマグサの名前由来

カスマグサの名前由来

 

カラスノエンドウ

カラスノエンドウ

カスマグサ

カスマグサ

 

 

緑花文化士:逸見 愉偉

(2024年9月掲載)

区切り線
過去記事一覧
雑木林~私の大好きな庭
名札の問題
ミソハギ ~盆の花~
葛粉についてもっと知りたくて
明治期にコゴメガヤツリを記録した先生
「ムラサキ」の苗を育てる
活躍広がる日本発のDNA解析手法 植物の”新種”報告がまだまだ増えそう!
地に咲く風花 セツブンソウ
稲架木はさぎに会いに
クリスマスローズを植物画で描く
カラムシ(イラクサ科)
園芸と江戸のレガシー
植物標本作りは昔も今もあまり変わらず
カポックの復権
オオマツヨイグサ(アカバナ科)
森の幽霊? ギンリョウソウ
ジャカランダの思い出
水を利用してタネを散布する植物
都市緑化植物と江戸の園芸
スノードロップの季節
枯れるオオシラビソ 蔵王の樹氷に危機
シモバシラ
葛布くずふの話
琥珀
うちの藪は深山なり
神社で出会った木々
光を効率よく求めて生きるつる植物
モッコウバラとヒマラヤザクラ
志賀直哉と赤城の躑躅つつじ
花のきょのいろいろ
桜の園芸文化
動物を利用してタネを散布する植物
お餅とカビ
危ない!お豆にご用心
風を利用してタネを散布する植物
山椒の力
土佐で見たコウゾの栽培
「大伴家持の愛した花 カワラナデシコ」
「シアバターノキ」とブルキナファソ
白い十字の花、ドクダミの魅力
いずれアヤメか
すみれの花咲く頃
シマテンナンショウの話
セツブンソウ(節分草)
ハイジとアルプスのシストの花
年賀状 再び
開閉するマツカサ
和の色、そして、茜染めの思い出
いわしゃじんを毎年咲かせよう
知らないうちに
ボタニカル・アートのすすめ
ハマナスの緑の真珠
恋する植物:テイカカズラ
マメナシを知っていますか?
桜を植えた人
春の楽しみ
みゆちゃんのわすれもの
遅くなってゆく年賀状
イソギクは化石のかわりに
イノコズチの虫こぶ
ヒマラヤスギの毬果
私たちのくらしと海藻
河童に会いに
カラスビシャクを観察して
何もかも大きい~トチノキ~
キンラン・ギンラン
早春の楽しみ
キンセンカ、ホンキンセンカ
カラスウリの魅力
イチョウ並木と精子
コスモスに秘められた物語
「蟻の火吹き」の語源について
新しい植物分類
サルスベリ(猿滑、百日紅)
小松原湿原への小さな旅
野生植物の緑のカーテン
江戸の文化を伝えるサクラソウ
工都日立のさくら物語 ―大島桜と染井吉野―
ニリンソウ(キンポウゲ科イチリンソウ属)
能楽と植物
サカキの冬芽と花芽
ケンポナシみつけた
セイダカアワダチソウの話
ヒガンバナ、そしてふるさと 
いにしえの薬草‘ガガイモ’
トリカブトの話し
ツユクサ、花で染めても色落ちしてしまう欠点を逆利用!
アサギマダラ
「思い込み」の桜
常磐の木 タチバナ
柿とくらし
植物に親しむ


TOPに戻る