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みどり花コラム
江戸の文化を伝えるサクラソウ
特に古い品種の一つ「臥龍梅」

特に古い品種の一つ「臥龍梅」

ソメイヨシノが盛りを過ぎる頃、その花姿を写したような日本桜草が見頃を迎えます。近年は特に人気が高まり、ゴールデンウィークにかけて各地で展示会が催されるようになりました。

この花の仲間には欧米で園芸化され日本に入ってきた種類がいくつもあるためか、それらに対し「日本桜草」と呼ばれることが多いようです。

しかし、本来の名称(標準和名)は「サクラソウ」、少なくとも江戸の昔からこう呼ばれて親しまれてきた植物なのです。
江戸時代の文献の中には、河畔の原野を野生のサクラソウが一面朱(あけ)に染め、人々が花見に興じたという記載が残されていて、当時すでに身近な存在だったことがうかがえます。

今でも荒川の中流、さいたま市田島ヶ原に自生地が保護され、花時には江戸の往時を偲ばせるかのような風景を見ることができます。

そのように群生する花の中から他とは違うものが拾い上げられ、また、種を播いて栽培した中からも当時の人たちの好みにかなうものが選び出され、やがて園芸品種が多数生まれていきました。そして、現代まで絶えることなく引き継がれてきたのです。

現在、一説に数百ある品種の中で最古といわれる「南京小桜」は、江戸享保年間(西暦1716~35年)から伝わるとされています。徳川第8代将軍吉宗が幕政改革を推し進めた時代です。こんなにかよわい草花を幾多の変遷や苦難の時代を乗り越え、実に300年にわたり作り伝えてきた先人に頭が下がります。

古い時代から現代に伝わる文化遺産、その多くが貴重なものとされ身近に触れることはかないません。

一方サクラソウは、古くから残されてきた品種も、気軽に手に取ることができる希有の存在です。

胡蝶の舞・青葉の笛・三保の古事・・・サクラソウの品種の名前の多くが詩歌や謡曲からとられています。その風流な響きともに、江戸の古い品種の多くが、風になびくようにひかえめにうつむき加減に花開きます。

春のひととき、サクラソウの花を愛でながら江戸時代の人々の心に触れてみてはいかがでしょう。

(緑花文化士 黒子哲靖) 2018年4月掲載

往時を偲ばせる田島ヶ原の自生サクラソウ

古品種の特徴をよくあらわした「朱鷺の雛」

古品種の特徴をよくあらわした「朱鷺の雛」

サクラソウの花は合弁花<br/>まだ綺麗なままほろほろと散る

サクラソウの花は合弁花
まだ綺麗なままほろほろと散る

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