公園文化ロゴ
公園文化ロゴ
公園文化を語る 公園の達人 公園管理運営「チャレンジ!」しました 公園とSDGs 生きもの小話 みどり花コラム アートコラム 花みどり検定 公園の本棚 世界の公園 たまて箱 公園”Q&A /
みどり花コラム
知らないうちに
花だけでは見分けがつかない<br/>(写真はアメリカタカサブロウ)

花だけでは見分けがつかない
(写真はアメリカタカサブロウ)

「タカサブロウ」という植物をご存知でしょう。知らない方は「誰の事?」などと勘違いされますが。田の畔などによく見られる野草です。ところが、最近「アメリカタカサブロウ」という外来種にほとんどが入れ替わっているようです。
判別するには実を分解して、種に翼があればタカサブロウ、ないのがアメリカタカサブロウと図鑑などには書かれています。

 

このような置き換わりは他にもたくさんあって、「スズメノカタビラ」も同じように紛らわしい仲間が増えています。これも道ばたや空き地などでよく目にします。これが、「ツルスズメノカタビラ」に置き換わっているというのです。見たところほとんど違いはなく、匍匐する茎から根を出すものをツルスズメノカタビラというそうです。両者ともに形態が極めて似ているとともに生育環境も同じなので、入れ替わってもすぐにはそれと気づかないのです。

確かに分類学的には違いがあって、これが「外来種の侵入で問題だ」ということもできますが、気にしすぎると自然観察ハンドブックなどに出てくる一般的な植物の名前も決められなくなってしまいそうです。

 

自然観察会などでは、よく知られた名前の方を紹介していますし、それで問題はないと思っています。それにアメリカタカサブロウの実物を観察していると、種に小さめの翼が付いた中間的な個体も見かけますから、もしも私が講師なら同じものとみなして、タカサブロウと説明しそうです。まずは一般的な名前から覚えても、そのうち少しの違いに気づくことがあります。知らないうちに似たような外来種に取って代わられているのかもしれません。詳しく調べて違う植物だと知ったとき、あなたは分類の迷宮に一歩足を踏み入れたのです。

 

緑花文化士 逸見 愉偉

2020年8月掲載

区切り線
過去記事一覧
地に咲く風花 セツブンソウ
稲架木はさぎに会いに
クリスマスローズを植物画で描く
カラムシ(イラクサ科)
園芸と江戸のレガシー
植物標本作りは昔も今もあまり変わらず
カポックの復権
オオマツヨイグサ(アカバナ科)
森の幽霊? ギンリョウソウ
ジャカランダの思い出
水を利用してタネを散布する植物
都市緑化植物と江戸の園芸
スノードロップの季節
枯れるオオシラビソ 蔵王の樹氷に危機
シモバシラ
葛布くずふの話
琥珀
うちの藪は深山なり
神社で出会った木々
光を効率よく求めて生きるつる植物
モッコウバラとヒマラヤザクラ
志賀直哉と赤城の躑躅つつじ
花のきょのいろいろ
桜の園芸文化
動物を利用してタネを散布する植物
お餅とカビ
危ない!お豆にご用心
風を利用してタネを散布する植物
山椒の力
土佐で見たコウゾの栽培
「大伴家持の愛した花 カワラナデシコ」
「シアバターノキ」とブルキナファソ
白い十字の花、ドクダミの魅力
いずれアヤメか
すみれの花咲く頃
シマテンナンショウの話
セツブンソウ(節分草)
ハイジとアルプスのシストの花
年賀状 再び
開閉するマツカサ
和の色、そして、茜染めの思い出
いわしゃじんを毎年咲かせよう
知らないうちに
ボタニカル・アートのすすめ
ハマナスの緑の真珠
恋する植物:テイカカズラ
マメナシを知っていますか?
桜を植えた人
春の楽しみ
みゆちゃんのわすれもの
遅くなってゆく年賀状
イソギクは化石のかわりに
イノコズチの虫こぶ
ヒマラヤスギの毬果
私たちのくらしと海藻
河童に会いに
カラスビシャクを観察して
何もかも大きい~トチノキ~
キンラン・ギンラン
早春の楽しみ
キンセンカ、ホンキンセンカ
カラスウリの魅力
イチョウ並木と精子
コスモスに秘められた物語
「蟻の火吹き」の語源について
新しい植物分類
サルスベリ(猿滑、百日紅)
小松原湿原への小さな旅
野生植物の緑のカーテン
江戸の文化を伝えるサクラソウ
工都日立のさくら物語 ―大島桜と染井吉野―
ニリンソウ(キンポウゲ科イチリンソウ属)
能楽と植物
サカキの冬芽と花芽
ケンポナシみつけた
セイダカアワダチソウの話
ヒガンバナ、そしてふるさと 
いにしえの薬草‘ガガイモ’
トリカブトの話し
ツユクサ、花で染めても色落ちしてしまう欠点を逆利用!
アサギマダラ
「思い込み」の桜
常磐の木 タチバナ
柿とくらし
植物に親しむ


TOPに戻る

公園文化ロゴ2