お能。何となく縁遠く面倒なもののようなイメージがありますが、植物との関わりはとても深く興味をひかれるものがあります。
舞台正面鏡板に描かれた老松と橋懸かりに立てられた松。お能は松から始まるのです。
演目によっては、シンプルな装置も用います。これは作り物といってほとんど枠だけで表現されます。井戸に
恋人から贈られた花籠を持つ「
物語そのものにも数多くの植物が登場しますが、その中から「定家」をご紹介しましょう。
百人一首で名高い藤原定家と式子内親王のお話です。
旅の僧が、式子内親王のお墓に案内され供養を頼まれます。内親王は賀茂の
お能にゆかりの植物をたずねて公園や野山を散策するのもお勧めしたいことです。植物に対する昔の人々のまなざしが、現代の私たちに受け継がれているのを感ぜずにはいられません。機会があれば、是非お能をご覧になって下さい。「植物」というキーワードで、更に楽しんでいただけることでしょう。ゆかりの植物を公園や野山で探すのも面白く、お勧めです。
(緑花文化士 川本幸子) 2018年1月掲載
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