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みどり花コラム
植物標本作りは昔も今もあまり変わらず

今年のNHKの朝ドラが、牧野富太郎先生の物語なので、植物好きの方々はこぞって見ているようです。

私は今、博物館の手伝いで植物標本の整理をしています。乾燥した植物を台紙に貼ってラベルを付け、収蔵庫に分類して収めるという仕事です。

先日そのドラマを見ていたら、標本を台紙に貼る様子が再現されていました。それを見て驚いたのが「今も百年前も同じだ」ということでした。標本には直接のり付け出来ないので、紙を細く切って、茎をまたいで台紙にだけのり付けするのです。標本にはラベルが付けられ、採集した場所・日付・採集者・植物の科名・種名・学名等必要事項が列記されていました。これらは今も全く同じです。

今、博物館に持ち込まれる標本は、古新聞紙に挟んであり、これも変わりません。

植物採集の仕方も昔から変わりません。現地では「野冊(やさつ)」という新聞紙を束ねものに草や枝を挟んで持ち帰ります。その後、新聞紙を取り替えて乾燥させます。採って帰るのは簡単ですが、きちんと標本にするまでには多くの手間と時間がかかります。

マルバマンネングサ

マルバマンネングサ

 

標本は、花と葉と出来れば実のあるものがベストです。ところが、花も実も葉もある植物はまれです。花の時期には葉っぱがないもの、実のなる頃には花もない事もしばしばです。そこで同じ植物を違う時期に採りに行きます。標本の数はどんどん増えます。

 

ヤマザクラの花

ヤマザクラの花

 

.標本製作(ヤマザクラ)
このあと燻蒸(くんじょう)等の工程を経て、標本として収蔵されます。

 

現在は乾燥機や、のりのついたテープなど、標本作りも少しは便利になりましたが、手工業的な作業は今後も残ることでしょう。

標本は様々な研究の基礎にもなります。数十年前のものも全て残されています。きれいな標本を見ると、昔も植物を大事にして丁寧に作られた事が分かります。博物館の主要な仕事の一つが標本を残すことなのです。

 

緑花文化士 逸見 愉偉

(2023年9月掲載)

 

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