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みどり花コラム
花のきょのいろいろ

距とは、ニワトリやキジのけづめの事ですが、花の基部から伸びる袋状の部分も距といいます。距は花のどこからできるのか、またその多様な形態について記述します。

 

初めに、花弁の下唇弁がのびて距をつくる花、スミレ科のスミレや園芸種のパンジーにふれます。写真1の中央は、人家近くで見られるコスミレで、距はやや太く上向き、天狗の鼻のようです。スミレ科では、同右下の図スミレのオシベですが、5個のうちの地面側2個の葯から、小刀のようなものが伸びて、必ず距の中に入っています。

写真1

写真1

昔、スミレは伊勢地方で、タロボウ(太郎坊)と言われ、花の距を引っかけ合い遊んだということです。それ故にスモウトリバナという異名を持っています。スモウトリバナといえば、年配の人々には、オオバコの花茎を引きちぎり、十字に絡ませ両端を引き合い、切れた方を負けとして遊んだという記憶がありませんか。

 

写真1の左下は、花弁の上方の基部がのびて距をつくる、ケシ科のジロボウエンゴサクの花です。スミレに似ていて、やはりスモウトリバナといわれ、スミレの太郎坊にならって、次郎坊といわれたそうです。エンゴサクとは延胡索と書き、この仲間の塊茎を干し鎮痛薬として用いた、漢方の名称によります。

 

写真2の左方は、欧州原産の帰化植物、オオバコ科のツタバウンランです。花は合弁花で、上下の花弁が基部近くで合して、角のような距をつくります。

 

写真2

写真2

 

次は、距がガク片と花弁の2つからできる写真2の右方の花、キンポウゲ科の園芸種ヒエンソウ、飛燕草についてです。外側上方のガク片がのび、さらに内側上方の花弁の後方がのびて、ガク片の中に入り距をつくります。つまり二重の壁からできています。

 

最後に、距がガク片からできるツリフネソウ科のことを書きます。この科では、3枚のガク片の上方2枚は小さいですが、下方1枚が大きく袋状となり、先が距となります。写真3の左方は、ワタラセツリフネソウで、ツリフネソウより距が渦巻かないことで区別できます。同右方桃色の花は、園芸種のアフリカホウセンカです。花は大きくお皿を立てたようで、距は細く、長く弓状に曲がっています。

写真3

写真3

 

さて、距の機能はなにかといえば、ひとつは蜜を蓄えることです。パンジーにはニッポンヒゲナガハナバチ、ツリフネソウにはトラマルハナバチが吸密によく飛来します。

他の機能として、花のバランスをとる役目が知られています。弥次郎兵衛という釣合人形と同じように、花茎のつく先の花の部分と、後方にのびた距が重さをつり合わせ、風に吹かれても花の前後のゆれを防ぎ、虫達が吸蜜しやすい状態をつくっていることです。

さらにスミレ科を見ると、ガク片の最下方の2枚は大きくなり、花茎と距を一緒におさえ抱き、左右のゆれをも防ぐ役目も持っているようです。

 

緑花文化士 古川 克彌

(2022年4月掲載)

 

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