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みどり花コラム
カポックの復権

皆さんは「カポック」をご存じでしょうか。

ネット検索すると、最初にヒットしたのが観葉植物のカポック(シェフレラ)でした。しかしこちらはウコギ科のヤドリフカノキで、掌状の葉が本来のカポックに似ていることによる通称です。本稿のテーマはそれとは別、アオイ科の繊維植物カポックCeiba pentandraです。

 

カポック樹形

カポック樹形

 

カポックは種子につく繊維が利用され、その名前もマレー語で繊維を意味するそうです。原産地は南アメリカと推定されていますが、アフリカ、東南アジアにも広く分布し、古くから利用されてきました。落葉高木で樹皮は緑色、若い時には幹に短刺があります。枝は水平に輪生し、葉は5~7枚の小葉を持つ掌状の葉です。花は白色で、果実は長さ10~15㎝の長楕円形で、綿毛に包まれた種子が中に多数詰まっています。この毛は軽くて、弾力に富み、中空で浮力が高いという特徴があります。そのため救命胴衣やブイ、ぬいぐるみやクッションの詰物として利用されてきました。

カポックの果実と綿

 

しかしカポック繊維は、撚(よ)り(何本かの繊維を交互にねじり合わせること)が効かないため、織物の繊維にはならないと50年ほど前に私は学びましたし、比較的新しい事典類にもそのように記載されています。そんなことから、カポック繊維は合成繊維や発泡スチロールに押されていました。

 

ところが最近、生活用品量販店に行って大変驚きました。なんとカポック混の衣類が売られていたのです。新しい技術が開発されたと思い特許情報を調べてみると、関連しそうな特許が公開されていました。植物の新たな利用方法が見つかることは、それほど多くないと思いますが、カポック繊維の利用を知って、昔ながらの知識で凝り固まらず、アンテナを高く感度を良くして、新しい知識を吸収する必要があると反省した出来事でした。

 

カポック混の衣類

 

緑花文化士 日名保彦

(2023年8月掲載)

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