公園文化ロゴ
公園文化ロゴ
公園文化を語る 公園の達人 公園管理運営「チャレンジ!」しました 公園とSDGs 生きもの小話 みどり花コラム アートコラム 花みどり検定 公園の本棚 世界の公園 たまて箱 公園”Q&A /
みどり花コラム
柿とくらし
畑の片隅の柿

畑の片隅の柿

身近な果樹の一つに柿があります。

 

私の住む島根県の出雲地方でも振り返ってみると、昭和30年代までは我が家を含め、庭の片隅などに柿が植えてある家が数多くあり、家々と一体となった景観を構成していたことを覚えています。

 

当時の住宅には、農家では南側に縁側があり、その前面は雨戸で覆う構造であったり、町家でも木の塀で囲われた典型的な木造住宅で、外壁や窓枠なども木製でした。また、家の中も障子はもとより飯台、戸棚、おひつやたらいに至るまで木製が中心でした。ですから、このような生活様式に対応し、柿は食べるだけでなく、家の雨戸や木製品などに防腐・防水効果のある柿渋液として塗布し、保護する為の原料としても活用していました。塗布するときの、あの発酵した柿渋液の臭いは今でもはっきり思い出すことができます。

 

また、渋柿の実は、吊るし柿用に家族で収穫し、皮を剥いて軒下に吊したり、風呂の湯で渋を抜いて近所にも配るなど、コミュニケーションツールとしても活用していたと思います。

 

現在では、家はアルミサッシで囲われ、建材や家具・家財もプラスチックなどの耐久性に優れた素材に置き換わり、防腐・防水対策もあえて必要がなくなりました。柿は食べる以外に利用される場面は、ほとんどなくなっています。また、柿の植わっていた場所は駐車スペースになったりしています。昔から生活文化に密着し、身近であった柿もふと気が付くと生活様式などの変化により遠ざかり、過疎地では放置された柿がクマ・サルなどの誘因植物として邪魔者扱いされている映像も良く見かけます。

 

今後、柿に再び生活に密着するような新たな活用法が見つかることを願うこのごろです。

 

緑花文化士 三島好信

2017年2月掲載

皮を剥いて吊るされた柿

皮を剥いて吊るされた柿

区切り線
過去記事一覧
地に咲く風花 セツブンソウ
稲架木はさぎに会いに
クリスマスローズを植物画で描く
カラムシ(イラクサ科)
園芸と江戸のレガシー
植物標本作りは昔も今もあまり変わらず
カポックの復権
オオマツヨイグサ(アカバナ科)
森の幽霊? ギンリョウソウ
ジャカランダの思い出
水を利用してタネを散布する植物
都市緑化植物と江戸の園芸
スノードロップの季節
枯れるオオシラビソ 蔵王の樹氷に危機
シモバシラ
葛布くずふの話
琥珀
うちの藪は深山なり
神社で出会った木々
光を効率よく求めて生きるつる植物
モッコウバラとヒマラヤザクラ
志賀直哉と赤城の躑躅つつじ
花のきょのいろいろ
桜の園芸文化
動物を利用してタネを散布する植物
お餅とカビ
危ない!お豆にご用心
風を利用してタネを散布する植物
山椒の力
土佐で見たコウゾの栽培
「大伴家持の愛した花 カワラナデシコ」
「シアバターノキ」とブルキナファソ
白い十字の花、ドクダミの魅力
いずれアヤメか
すみれの花咲く頃
シマテンナンショウの話
セツブンソウ(節分草)
ハイジとアルプスのシストの花
年賀状 再び
開閉するマツカサ
和の色、そして、茜染めの思い出
いわしゃじんを毎年咲かせよう
知らないうちに
ボタニカル・アートのすすめ
ハマナスの緑の真珠
恋する植物:テイカカズラ
マメナシを知っていますか?
桜を植えた人
春の楽しみ
みゆちゃんのわすれもの
遅くなってゆく年賀状
イソギクは化石のかわりに
イノコズチの虫こぶ
ヒマラヤスギの毬果
私たちのくらしと海藻
河童に会いに
カラスビシャクを観察して
何もかも大きい~トチノキ~
キンラン・ギンラン
早春の楽しみ
キンセンカ、ホンキンセンカ
カラスウリの魅力
イチョウ並木と精子
コスモスに秘められた物語
「蟻の火吹き」の語源について
新しい植物分類
サルスベリ(猿滑、百日紅)
小松原湿原への小さな旅
野生植物の緑のカーテン
江戸の文化を伝えるサクラソウ
工都日立のさくら物語 ―大島桜と染井吉野―
ニリンソウ(キンポウゲ科イチリンソウ属)
能楽と植物
サカキの冬芽と花芽
ケンポナシみつけた
セイダカアワダチソウの話
ヒガンバナ、そしてふるさと 
いにしえの薬草‘ガガイモ’
トリカブトの話し
ツユクサ、花で染めても色落ちしてしまう欠点を逆利用!
アサギマダラ
「思い込み」の桜
常磐の木 タチバナ
柿とくらし
植物に親しむ


TOPに戻る

公園文化ロゴ2