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公園管理運営チャレンジしました
第20回 絵本の世界を楽しみながら学ぶことのできる公園

20回目は、絵本作家、児童問題研究家で工学博士、技術士のかこさとしさんの監修の下、次世代の人が育つ空間として武生中央公園(福井県越前市)を再整備を実施した上木淳さんの「チャレンジ!」をお届けします。

 

越前市建設部都市計画課 上木 淳さん
越前市建設部都市計画課 上木 淳さん

活力ある中心市街地の創出をめざして
2019年で68回目となる「たけふ菊人形」

2019年で68回目となる「たけふ菊人形」

武生中央公園は福井県越前市の中心市街地にある13.3haの運動公園で、2018年(平成30年)に開催される第73回福井国体に向け施設を改修すると共に、中心市街地の賑わい拠点作りのため再整備を行いました。

武生中央公園には、多目的グラウンドや体育館などの運動施設の他に中央図書館、菊人形館などの文化施設もあります。再整備では、運動施設と文化施設のゾーニングを見直した上で、老若男女が集うことのできる賑わいの拠点となる公園を目指すこととしました。そこで、既存のスポーツゾーンと文化ゾーンに加え、野球場跡地を活かして大規模な芝生広場や遊具を有する憩いのゾーンを新設する基本計画を作成しました。

 

 

越前市の中心市街地区域(赤枠内)と武生中央公園の位置(越前市資料に一部加筆)

越前市の中心市街地区域(赤枠内)と武生中央公園の位置(越前市資料に一部加筆)

この基本計画を元に、市民から意見を徴収するパブリックコメントを行ったところ、雨天時にも遊べる施設が欲しい、乳幼児が遊ぶことのできる施設や遊具が欲しいなど、様々な意見が寄せられました。これらの意見を整理し、必要に応じて類似施設を視察し、市民団体から意見をきき、実施設計を行いました。

4mのクマのジャンボトピアリーも展示される

4mのクマのジャンボトピアリーも展示される


越前市出身の絵本作家かこ氏の監修
かこ氏の作品を収蔵している他、<br>昔遊びなどもできる絵本館

かこ氏の作品を収蔵している他、
昔遊びなどもできる絵本館

しかし、実施設計が完成する段階で、公園のさらなる魅力向上を図ることを目的に、他にはない越前市ならではの公園にしようという声があがりました。

越前市は、絵本『だるまちゃんとてんぐちゃん』の作者である かこ氏が小学校2年生まで過ごした町であり、武生中央公園の目と鼻の先に「かこさとし ふるさと絵本館「砳」(らく)(以下、絵本館)」があります。この絵本館には、全国から絵本のファンや絵本を読んで大人になった人が訪れています。子供たちの成長を願うかこ氏の思いを公園整備に反映させたいという話になり、かこ氏に公園再整備の監修をお願いすることになり、かこ氏は快く監修を引き受けてくれました。

かこ氏に公園の基本計画、現地写真を基に現時点での公園整備を伝え、それに応じて再整備に関するご意見の第1報「武生中央公園空間形成案」としてまとめて下さいました。

「だるまちゃんとかみなりちゃんのふわふわ雲」は<br>人気のトランポリン遊具

「だるまちゃんとかみなりちゃんのふわふわ雲」は
人気のトランポリン遊具


かこ氏の提案を公園の実施設計に落とし込む
中央の青いボードが動物が飛ぶ高さがわかるボード

中央の青いボードが動物が飛ぶ高さがわかるボード

かこ氏からの整備案を受け、「次世代の人が育つ空間」「絵本の世界を映し出す空間」「地域活性化の核となる空間」の3つの基本コンセプトを掲げ、空間形成を図ることとしました。具体的にどのように公園の施設に反映させるか、かこ氏の著作を参考に検討していくこととしましたが、かこ氏には600冊を超える著作があります。絵本館に相談し、実施設計の参考となる本を紹介してもらいました。例えば、かこ氏の提案の1つである「せせらぎ」に対して、一つの川を上流から下流まで描いた絵本『かわ』を紹介してもらいました。これを受け、実施設計では、『かわ』をモチーフに床石の大きさを上流部と下流部で変えたり、近くにササを植えることでささ舟づくりなど昔ながらの遊びを楽しめるような施設「かわ」にしました。

 

このように、絵本館や加古総合研究所と相談しながら素案を作り、何度かかこ氏を訪れ、意見を伺い、細かい部分についてはメールや電話で相談しながら実施設計を進め、最終的に、『からすのパンやさん』『だるまちゃんとてんぐちゃん』などの長く読み継がれている人気絵本は遊具のモチーフや広場の仕掛けに、『宇宙』『みんなの生命 くらしの化学』などの科学絵本は、その内容を展示や、前述の「かわ」などの施設の核に用いました。

 

かこ氏の科学絵本に記載してある動物についての情報、自然遊びなど様々な情報を遊具に取り込み、知識を得るだけでなく、動物の飛ぶ高さがわかる遊具など、実体験できる遊具、施設を設置しました。また、かこ氏の提案で、越前市にゆかりのある歴史上の人物碑を設置し遊びながら学ぶことの出来る公園にしました。

「絵本の世界を映し出す空間」を実現するためには、単に、かこ氏の絵本に出てくるキャラクターが置いてあるだけでなく、公園を回りながら絵本の世界を体験できるような仕組みが良いと考え、公園内を巡ると絵本のだるまちゃんとかかわりのある遊具やモチーフが見つけられるようなルートをいくつか設定し、絵本の世界を追随できるようにしました。

太陽系をモチーフにした噴水

太陽系をモチーフにした噴水


越前市の文化の中心となる公園
だるまちゃん広場を10倍楽しむための公園パンフレットや「あそびの絵本」も作成した

だるまちゃん広場を10倍楽しむための公園パンフレットや「あそびの絵本」も作成した

市民広場の名前は、かこ氏と相談の上「だるまちゃん広場」とし、2017年8月11日にオープンし、7ヶ月あまり(2017年8月~2018年3月)で28万人以上、2018年度も40万人を超える市民が訪れました。今回の再整備の一環で、官民連携で複合施設を整備し、飲食施設と乳幼児の遊べる屋内施設をオープンしたこともあいまって、再整備前に比べて親子連れの利用が増えました。

だるまちゃん広場にある芝生広場では、恒例で行われてきた「ふるさと踊り」や「たけふ菊人形」に加え、地元の企業、市民団体等様々な団体がイベントを実施しています。昨年(2018年)からは、大学等の若い世代によるイベントも開催され、地域活性化の核となる空間としての期待も高まっています。

 

その一方で、イベント時に芝生が大きなダメージを受け、芝生の補植が必要になる、700台分確保した駐車場もイベント時には足りなくなるなど課題も出てきています。公園の施設においても、展示物や特殊な形状の遊具が多いため、計画的なメンテナンスが必要になってくると考えられます。今後更に多くの方に公園を楽しんでいただき、だるまちゃんのように多くの人から愛される公園になるためにも、一つ一つの課題と向かい、周辺施設や地元団体と連携をとりながら解決して行きたいと考えています。

園内に設置した越前市ゆかりの人物碑のひとつにはかこ氏も

園内に設置した越前市ゆかりの人物碑のひとつにはかこ氏も


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武生中央公園リニューアルオープン

http://www.city.echizen.lg.jp/office/070/020/takefutyuokouen.html/

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