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第47回 公園の魅力を見つめ直して「秋のライトアップ」できっかけづくり(足立区花畑公園・桜花亭)

第47回は、花畑記念庭園の魅力アップと周知に取り組み、「秋のライトアップ」を開催した足立区花畑公園・桜花亭の浅田増美さんの「チャレンジ!」をお届けします。

 

今年度より、新たな指定管理者として、桜花亭カフェの新メニュー作りや地域連携など、新しい取り組みに力を入れており、中でも11月下旬に開催した「秋のライトアップ」イベントは、4日間で約1,500名と、多くの方が訪れました。

花畑公園・桜花亭管理事務所長 浅田増美さん
花畑公園・桜花亭管理事務所長 浅田増美さん

まずは公園の魅力を伝えたい
花畑公園でウォーミングアップする来園者の様子 

花畑公園でウォーミングアップする来園者の様子 

花畑公園・花畑記念庭園がある東京都足立区は、千住付近に大学が集まり、最近では若者中心のお洒落な街として人気が急上昇しています。綾瀬、北綾瀬、竹の塚、六町、江北などの地域も、各々の魅力を活かした「エリアデザイン」の街づくりが進められ、若者や子育て世代の人口も急増しています。

 

この公園は住宅街の中にある公園で、地元の方の利用が中心となっています。どうすれば、もっと多くの方に公園を利用して頂けるか、まずは公園の魅力をしっかりと周知できるよう取り組むことが大事ではないかと考えました。

 

花畑公園は開放感にあふれ、子どもたちが遊べるエリアの他、ウォーキングコースや芝生ひろばがあり、花畑記念庭園は滝・池・小川・築山などがある「池泉回遊式」の日本庭園です。2つの利用形態は異なりますが、花畑公園は桜の名所となっており、花畑記念庭園は秋の紅葉が魅力です。

 

この春の桜と秋の紅葉が最大の魅力と考え、この公園を知っていただくきっかけとして、秋のライトアップを開催することにしました。

 

 

雪吊りや紅葉が楽しめる秋の花畑記念庭園

 

 

ライトアップの予算は当初計画には入っていなかったため、資金集めが必要です。そこで、東京都と(公財)東京観光財団が募集していた「秋のライトアップモデル事業費助成金」に応募し、助成を受けることになりました。この助成金を活用し、約150個のライトの購入やチラシの作成を行うことができました。

また幅広い層に公園に足を運んでいただけるよう、「秋のライトアップ」期間は「オータムフェスティバル」として、日中は体験プログラムを実施しました。これらを1つのイベントとしてとりまとめチラシを作成しました。チラシは区内に約1万部、草加市など埼玉の南東部の一部に約1万部、合計2万部を配布し、広報手段や範囲の拡大も行いました。アンケートの結果から草加市からの来園者の増加や、初めて当公園に来園した方が多いことがわかり、公園の魅力を伝えたいという思いが届いていると実感しています。

 

花畑記念公園 秋のライトアップチラシ


庭園の魅力の掘り起こしと周辺地域の協力
ライトアップを楽しむ来園者

ライトアップを楽しむ来園者

これまでのライトアップは庭園を周遊することはできず、滝・池・小川・築山などがある「池泉回遊式」の当庭園の魅力を十分に堪能できるものではありませんでした。そこで、照明デザイナーや設営業者と綿密な打ち合わせを重ねた結果、今年は庭園本来の美しさが際立つよう暖色系のライトのみを使用することにしました。暖色系のライトのみを使用したことで、素晴らしい石組みや滝を美しく照らし出す他、当庭園の秋の見どころである紅葉や雪吊りを際立たせ、これらが池の水面に映る姿もお楽しみいただくことができました。

池の水面に映る花畑記念庭園

 

またライトアップ開催期間中は、近くの文教大学の地域連携をテーマとするゼミが「蜜ろうキャンドルづくり」を開催したり、地域包括支援センターが「モルック体験」を実施するなど、地域と一緒になったイベント運営に取り組みました。他にも「たねダンゴづくり」や足立区生物園の協力で「ぼうけんあそび」を開催するなど、幅広い年齢層に来園いただくことができました。このイベントをきっかけに初めて来園された方も多く、期間終了後も来園者の増加が続きました。

 

「モルック体験」の様子

「たねダンゴで花を咲かせましょう!」では子どもたちもたねダンゴづくりを


スタッフが楽しんで仕事をすること
桜花亭カフェスタッフは新メニューの開発も

桜花亭カフェスタッフは新メニューの開発も

公園の魅力を多くの方に伝えるため、様々な取り組みにチャレンジしていますが、この取り組みが、スタッフのモチベーションの向上にも繋がればよいと思っています。

 

この公園で長く勤務しているスタッフは、園内を把握し業務にも慣れている一方で、これまでの経験にとらわれていることがあります。「ここにはこれしかない」「ここではこれしかできない」と現状を否定的に考えるのではなく、「あるものを活かす」という発想が大切です。

 

桜花亭カフェではスタッフみんなで試行錯誤し、新メニューを提供したところ、予想以上の売れ行きとお客様が喜ぶ姿が見られ、売上アップにもつながりました。来年の秋のライトアップでは、開催日数を増やし、さらなるカフェの新メニュー提供で飲食の充実に取り組み、来園者増を目指します。

 

また、イベントに関わるスタッフ配置の見直しや、作業エリアの整理整頓をすることで、業務の効率化がはかれることを実感すると、少しずつ「変化」を楽しめるようになってきました。スタッフにはこれからも「変化」を恐れず、ますます魅力的になる公園を目にし、公園管理という仕事を楽しんでもらえるとうれしいです。

今回は、着任してわずか3か月のドタバタの中で「秋のライトアップ」の準備を始めました。無事に開催できたのは、スタッフだけでなく、関係者の皆さんも一緒にこのイベントを盛り上げようという気持ちがあったからだと思います。これからもみんなで楽しみながら、「この公園があってよかった」と言っていただける公園づくりをすすめていきたいと思います。

 

■関連ページ

東京都足立区 花畑公園・桜花亭

https://www.adachiku-oukatei.com/

 

※文中に出てくる所属、肩書、情報などは、掲載時のものです。

(2023年12月掲載)

 

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過去記事一覧
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