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公園管理運営チャレンジしました
第16回 地域の昔話を学ぶことのできる公園

第16回目は、「明るく安全で憩いと学びのある公園」をスローガンに坂出緩衝緑地を管理運営している坂出緩衝緑地管理事務所 所長 田辺 剛久さんの「チャレンジ!」をお届けします。

坂出緩衝緑地管理事務所 所長 田辺 剛久さん
坂出緩衝緑地管理事務所 所長 田辺 剛久さん

工業団地に設けられた緩衝緑地
上空から望んだ坂出市街地。緑色が坂出緑地。<br/>(坂出市立大橋記念図書館提供写真に一部加筆)

上空から望んだ坂出市街地。緑色が坂出緑地。
(坂出市立大橋記念図書館提供写真に一部加筆)

坂出緩衝緑地は、香川県の瀬戸内海に面した坂出市にあり、瀬戸大橋を渡るとすぐ岡山県へアクセスできる位置にあります。江戸時代に播州(現在の赤穂市)から来た人々が坂出の番の州に塩田を開拓し、さらに高松藩の久米栄左衛門による採塩方法の開発で、塩田産業が盛んになりました。その後、輸入塩の影響を受けて塩田は廃止されていき、埋め立てられたこの地は工業団地として発展しました。

 

坂出緩衝緑地は、番の州公園、西大浜緑地、東大浜緑地の3つの地区からなる緩衝緑地として1977年(昭和52年)に設置されました。その後も瀬戸大橋の開通(1988年)や四国横断自動車道開通(1992年)によって、利便性が高まった番の州工業団地は発展を続け、坂出緩衝緑地は工業団地の環境を緩和するとともに、市街地に隣接した市民が憩える貴重な緑地となりました。


スローガンを掲げての公園管理運営
上空から見た番の州公園。

上空から見た番の州公園。

私達、五栄海陸興業株式会社は指定管理者として2006年(平成18年)から坂出緩衝緑地を管理運営しています。私達が管理運営を始めるまでは、緩衝緑地としての機能が重視されてきたため、坂出緩衝緑地は常緑樹がうっそうと繁り、薄暗い公園となっていました。そこで、まずは「明るく見通しの良い安全な公園」をスローガンに掲げ、見通しを良くするために樹木を剪定し、明るい雰囲気を演出するために園内にバラやアジサイなどの花木を植栽し、花壇に色鮮やかな花を植えました。また、坂出緩衝緑地のドングリなどを使った作品を展示する「木の実アート展」など人が集まるイベントを開催し公園のイメージアップを図りました。

 

この結果、私達が指定管理をするようになって2期、6年間で坂出緩衝緑地は明るくなり、近隣の保・幼稚園など、散策や行事利用などに訪れる人も多くなりました。

恒例となった木の実アート展では、250点以上の作品を展示している。

恒例となった木の実アート展では、250点以上の作品を展示している。


坂出緩衝緑地ゆかりの昔話
約70mの竹垣に沿って仕立てたつるバラ

約70mの竹垣に沿って仕立てたつるバラ

指定管理者として3期目となる2012年からはスローガンを「明るく安全で憩いと学びのある公園」へと進化させました。まず、これまで植栽してきたバラやアジサイを用いたイベントを実施することを検討し始め、2014年から花を楽しむイベントを始めました。

 

一方で、スローガンに新しく加わった「学び」の部分として、恒例となった木の実アート展で「園内の風景画」や「坂出緩衝緑地39年の歴史写真」を掲示することにしました。また、各種イベントとは別に常設で学べる何かが欲しいと考えていました。そんな時、調べ物のために行った市の図書館で『さかいでの昔話』の本を見つけ何気なしに読んでみると、坂出に実在する山や川、地名などをモチーフにした話や、塩田があったときの興味深い話などが載っていましたので「多くの方に地域の歴史を知ってもらいたい」と即座に思いました。そこで、数ある昔話の中から、坂出緩衝緑地周辺の昔話12話を園内に展示することに決めました。

 

まず当時の図書館長に相談しました。館長から「現代風の表現で書き改めてはどうか」とアドバイスをいただき、併せてパネル作成に協力して下さる2人の坂出市民をご紹介いただきました。こうして歴史教育者協議会※1石井雍大イシイ ヨウダイさんには、話を現代風に書き改めていただく作業を、日本童画大賞(イルフビエンナーレ)※2特別賞を受賞されたことのあるヒコサカ・ノリコさんには、話の内容に沿った絵を描いていただくことをお願いしたところお二人ともボランティアで引き受けてくださいました。

 

 

※1 国民の歴史意識の形成、発展に寄与することを目的とし、その目的に資するため、歴史・社会科教育の実践及び研究等を行っている全国組織の協議会。

 

※2 21世紀における新しい児童文化の創造を目指して岡谷市 イルフ童画館が主催している賞。


様々な工夫を凝らしたパネルの設置
車椅子の方にも読みやすいよう、なおかつ泥はねの影響を受けにくい高さに設置した。

車椅子の方にも読みやすいよう、なおかつ泥はねの影響を受けにくい高さに設置した。

設置したときの見やすさ・読みやすさを考え、1話1枚のパネルにまとめていただくことにしましたが、1話1枚のパネルにするのはなかなか難しく、何度も石井さん、ヒコサカさんと話し合いを重ねながら、パネルを作成しました。

 

また、 パネルは、屋外への設置であるため、風雨に耐え、紫外線等で脱色しにくい素材を選びました。設置する場所は、坂出緩衝緑地3地区の中で最も面積が広く、球場や広場のある番の州公園にしました。公園内を巡りながら早朝や夕暮れでも読むことができるように、園路沿いの外灯の近くへ2014年10月に12枚のパネルを設置しました。設置後は、散歩の人や保育園、幼稚園、小学校の遠足や校外学習など、様々な年齢層の人にパネルを見ていただいています。

 

設置してから4年が経過しましたが、現在も、地元の人の他に、橋を利用した県外の方も公園に立ち寄り、家族で声に出して物語を読んでいる姿を見かけます。このため、坂出緩衝緑地の他の2地区(西大浜緑地、東大浜緑地)も楽しく散策することのできる緑地になるよう12枚のパネルを設置していく予定です。

 

これからも坂出緩衝緑地が憩いの場として、地域の方々はもちろん、旅行で来られた県外の方にも愛され、活用されるよう、今後も指定管理者として、特色のある維持管理に努めて参ります。

パネルは、地元の子供たちが地域の歴史を知るきっかけになっている。

パネルは、地元の子供たちが地域の歴史を知るきっかけになっている。


■関連サイト

坂出緩衝緑地HP:http://bannosu5.com/
※文中に出てくる所属、肩書等は、掲載時のものです。2019年2月掲載

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