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第10回 弘前公園のサクラを後世に引き継ぐ

第10回目は、弘前市でチーム桜守の一員として弘前公園のサクラを管理する橋場 真紀子さんの「チャレンジ!」をお届けします。

弘前市 都市環境部 公園緑地課 チーム桜守 橋場 真紀子さん
弘前市 都市環境部 公園緑地課 チーム桜守 橋場 真紀子さん

リンゴ栽培の技術を参考にした弘前方式
ソメイヨシノだけでなく、シダレザクラやヤエベニシダレも楽しむことのできる弘前公園。遠くに見えるのは<br>岩木山。

ソメイヨシノだけでなく、シダレザクラやヤエベニシダレも楽しむことのできる弘前公園。遠くに見えるのは
岩木山。

弘前公園(青森県弘前市)には、52種約2600本のサクラが植栽され、明治15年旧藩士により植えられたソメイヨシノを筆頭に樹齢100年を超える古木のソメイヨシノが約400本あり今もなお豊かな花を咲かせています。

リンゴ栽培の技術を参考に昭和30年代から続く「弘前方式」と呼ばれるサクラの管理法により、弘前公園のサクラは花数が多く、「さくらの名所100選の地」にも選ばれ、国内はもとより海外からのお客様にもお楽しみいただいています。

「弘前方式」では毎年冬に、若い活力のある枝を伸ばすために弱っている枝を切る剪定と、施肥、適期の薬剤散布をします。これまでは、弘前市の担当職員1人が年間のサクラの管理方針を決め、それに従い実施してきました。しかし、長年サクラの管理を担当してきた小林勝さんの定年を期に、弘前市は、樹木医の資格を有することを条件に職員を公募しました。担当者が退職したり、病気になったりしても適切な管理ができるようチームで管理することにしたのです。それまで私は、一般財団法人 弘前市みどりの協会に勤務し、弘前公園三の丸にある弘前城植物園でサクラ等の管理に携わりながら樹木医の資格を得ていましたので、弘前公園全体のサクラの管理をするために平成26年度に公園緑地課内に組織されたチーム桜守の一員となりました。

「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」にも選ばれた弘前公園外濠の花筏。

「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」にも選ばれた弘前公園外濠の花筏。


サクラの管理の要となる剪定
剪定作業の様子。必要に応じて大枝にも手を入れる。

剪定作業の様子。必要に応じて大枝にも手を入れる。

チーム桜守の仕事は、弘前公園の樹木の管理、サクラ管理方針の策定、管理作業の指導、サクラに関する普及啓発等多岐にわたります。平成26年度からチーム桜守は、小林勝さん、海老名雄次さん、私の3人です。弘前公園でのサクラの管理は、私達チーム桜守3人の他に市の職員9人、臨時職員36人の約50人で1年を通して実施しています(表1)。

サクラの管理の中で一番重要な作業は、毎年2月20日前後から3月末まで行う剪定です。剪定を行う前には担当職員を集め、剪定の理論と作業の基本を確認し、安全に作業を行うよう剪定講習会を実施します。私が講習会を担当するときは、参加者に質問を投げかけたり、自分の失敗談を話すなど、身につく講習会となるよう工夫しています。



市民に愛されるサクラに
弘前公園にある樹木を紹介する看板。市民に弘前公園の桜に愛着を持ってもらう一助となっている。

弘前公園にある樹木を紹介する看板。市民に弘前公園の桜に愛着を持ってもらう一助となっている。

私は弘前公園内を見回り、サクラ以外にもマツやナラ類の状態を確認しますが、毎日全ての木を確認できるわけではありません。そんなときに、毎日公園を利用している市民が「あそこのサクラの様子がおかしい」「枯れ枝があった」等、情報提供してくれます。樹木を見守る目は多い方が良いので、助かっています。既に確認している木であれば治療方針や対処法をその場でお伝えします。現在、公園の様々な状況を教えてくれる市民は30人ほどいます。

また、2~3月に剪定したサクラの枝は、水差しし加温すると花が咲くため、剪定作業が始まると定期的に市民に配布しています。単にお渡しするだけでなく、きれいに咲かせる方法のレクチャーと共にお渡ししています。最近では、自宅で咲かせた剪定枝のMyサクラ映像を交換しあうなど、弘前公園のサクラをきっかけに、市民の間で交流が広がっているようです。

毎年4月中旬から5月上旬に開催する『弘前さくらまつり』は、サクラと共に先人から受け継いだものです。平成30年度で100周年を迎え北国の春を楽しむ『文化』と言えます。これからも管理手法を模索し市民から愛されるサクラを後世につなげることで、この先も『弘前さくらまつり』を楽しんでもらえたら嬉しいです。

 

※文中に出てくる所属、肩書、情報などは、取材時のものです。(2018年2月掲載)

弘前市で発見されたサクラ‛弘前雪明かり’。平成29年11月に新しい園芸品種として認定を受けた。

弘前市で発見されたサクラ‛弘前雪明かり’。平成29年11月に新しい園芸品種として認定を受けた。

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