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第18回 大蔵海岸公園のマナードッグ制度(大蔵海岸公園)

第18回目は、大蔵海岸公園でマナードッグ制度を取り入れている大蔵海岸指定管理者 株式会社神戸新聞事業社・兵庫県サッカー協会共同事業体、大蔵海岸公園管理事務所の「チャレンジ!」をお届けします。

平成30年度のマナードッグ
平成30年度のマナードッグ

1.犬の散歩の見本となるマナードッグ
天気の良い日には淡路島が見える

天気の良い日には淡路島が見える

大蔵海岸公園は兵庫県明石市に位置し、明石海峡大橋を一望できる面積約32㏊の公園です。人工芝のグラウンドで様々なスポーツを楽しむことができ、夏には、海水浴場がオープンします。海風を感じながら海岸沿いを散歩することができ、芝生の広場も整備されていることなどから、犬の散歩に訪れる方もたくさんいます。

 

後述するように、大蔵海岸公園では、犬の散歩利用について苦情が寄せられた時期がありました。その対応策の一つとして、マナー意識の高い飼い主さんと愛犬を「大蔵海岸マナードッグ(以下、マナードッグ)」に認定し、公園を散歩する際の見本となっていただくことで、犬連れ利用者のマナーを啓発する取り組みを実施しています。


2.10年前から活躍しているマナードッグ
遠くからも一目で分かる赤いバンダナ

遠くからも一目で分かる赤いバンダナ

マナードッグの誕生は10年前の2009年(平成21年)7月です。以前から犬の放し飼い(ノーリード)や糞などの放置に対して、一般利用者だけでなく、マナーを守っている犬連れの利用者からも苦情が寄せられるようになりました。そこで、注意看板を設置したり飼い主の方へ呼びかけを地道に行い、苦情は徐々に減少しました。

 

このとき、犬連れの利用者のマナーを更に高めたいと考え、2009年に「大蔵海岸マナードッグ制度(以下、マナードッグ制度)」を始めました。

 

この制度は、飼い主と愛犬にマナードッグとして公園を散歩してもらい、マナー向上を広げていくことが目的であり、犬を連れていない公園利用者にも、気持ち良く公園を利用してもらうための取り組みです。

 

マナードッグに登録された飼い主と愛犬の主な活動は、愛犬に赤いオリジナルのベストまたはバンダナをつけて、週に1回以上マナーを守って園内を散歩することです。リードをつけて散歩をし、おしっこをした場所には水をかけ、うんちをしたら持ち帰るという基本的なマナーです。


3.5つの基準をクリアして選定されるマナードッグ

マナードッグは毎年4月に募集を行い、5月に選考会、6月までに結果通知をして、7月から活動を開始します。毎年目標の10人(10頭)に対し、7~13人(7~13頭)程度のご応募をいただいています。
この応募者を対象に、公園管理事務所、ドッグトレーナーなど専門家が選考委員となる選考会を行い、約10人(10頭)のマナードッグを選びます。

 

募集条件は飼い犬が生後6か月以上で、狂犬病の予防ワクチン接種済みであること。そして、表1の5つの判定基準に挑戦してもらいます。

 

選考会では、5つの選考基準を問題なくクリアする犬もいれば、リードを引っ張りぎみのやんちゃな犬など、様々な犬がいますが、選考委員で話し合い、ある程度の基準を満たした犬約10頭を選びます。選ばれた犬は、他の犬連れの公園利用者のお手本となることができるよう「リードを引っ張らずに散歩する」「飼い主の指示を聞く」などの内容で、年に3回実施するしつけ方教室に参加してもらいます。しつけ方教室は、普段のお散歩のときに大変役に立つ内容であるため、マナードッグ認定者(以下、認定者)から好評を得ています。

 

また、認定者は「活動時にノーリードの飼い主がいた」などの情報や、活動についての意見や要望を公園スタッフへ伝えてくれます。この意見は、公園の管理運営に反映させ、より良い公園管理運営に役立てています。

ドッグトレーナーによるしつけ方教室

ドッグトレーナーによるしつけ方教室


4.リピーターや紹介者も多いマナードッグ
浜辺で散歩するマナードッグと一般の犬

浜辺で散歩するマナードッグと一般の犬

マナードッグ制度は、2019年で活動開始から11年目になり、大蔵海岸公園はもちろん、市内でも認知されるようになりました。園内での掲示や公園のホームページに犬の写真と共に掲載したり、地元の新聞でも紹介されることもあり、行儀の良いマナードッグは、愛犬家から一目置かれた存在となっています。

 

マナードッグ制度は、自動更新ではないため、次年度もマナードッグとして活動したい場合には、改めて応募し、選考会に参加してもらいます。現在、5~7割のマナードッグがリピーターとして応募してくれる他、認定者の友人が当制度に賛同してマナードッグに応募してくれることもあります。

 

おかげ様で、この数年は、犬の散歩利用に関する苦情も無く、大蔵海岸公園の犬の散歩マナーは確実に良くなっています。今後もマナードッグ制度を通して公園の理解者を増やし、公園全体のマナー向上を図っていきたいと思っています。


■関連サイト
大蔵海岸公園HP:https://www.okura-beach.jp/

 

※文中に出てくる所属、肩書等は、掲載時のものです。(2019年6月掲載)

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