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第33回「写真を撮りたくなる」公園づくり(小豆島オリーブ公園)

第33回は、ハード、ソフトともに「写真を撮りたくなる」公園づくりを行い、多くの人が写真を撮りに訪れる道の駅 小豆島オリーブ公園の佐伯あきらさんの「チャレンジ!」をお届けします。

一般財団法人 小豆島オリーブ公園 佐伯 哲さん
一般財団法人 小豆島オリーブ公園 佐伯 哲さん

団体ツアーから個人旅行へ、客層の変化に対応する
海が望める高台にあるオリーブ公園のシンボル<br/>「ギリシャ風車」

海が望める高台にあるオリーブ公園のシンボル
「ギリシャ風車」

香川県小豆郡小豆島町にある道の駅 小豆島オリーブ公園(以下、オリーブ公園)は、オリーブの試験圃場地を中心に公園として整備された複合施設です。園内には19品種約2,000本のオリーブの木や育苗温室の他、ハーブガーデン、遊具、売店、レストラン、宿泊施設、温泉施設などがあります。

 

オリーブ公園が開園した1990年頃には、小豆島には多くの団体ツアーが訪れ、オリーブ公園でも団体旅行に照準を絞った広報や運営を行っていました。しかし、社会情勢の変化により、2013年頃から大型バスによる団体ツアーが減少し、小グループや個人での旅行客が増えたため、オリーブ公園では運営方針を転換することにしました。一般に公園では「誰もが楽しめる」場所として老若男女対象を幅広く取りがちですが、オリーブ公園では、効果的な施設づくり、商品開発のために、拡散力の高い「20~30代の女性」にターゲットを絞ることにしました。

 

 

左手に写っているのは1908年に植栽された<br/>樹齢100年以上のオリーブの古木

左手に写っているのは1908年に植栽された
樹齢100年以上のオリーブの古木


実写版映画で使われたロケセットの移築
移築されたロケセット「コリコ」

移築されたロケセット「コリコ」

小豆島は、リアス式海岸を持ち、山地が多く、山あいから豊かな田園風景が望めるため、映画やドラマなどのロケ地として多く利用されています。2014年3月に公開された映画「実写版 魔女の宅急便」も小豆島でロケが行われました。オリーブ公園での撮影はありませんでしたが、映画の撮影後、縁あってロケセットが園内に移築されました。オリーブ公園では、この建物を映画にちなんで「コリコ」と名付け、移築当初はハーブショップとして、現在は雑貨屋として活用しています。「ハーブショップ コリコ」のオープンは、映画の公開に合わせた2014年3月だったこともあり、オリーブ公園では子供向けに記念撮影用のほうきの無料貸し出しを行いました。子供向けの貸し出しでしたが、大人も一緒に撮影している姿を見て、一過性のイベントで終わらせるのではなく、継続的に実施してはどうかと考えました。

 

そこで、オリーブ公園のスタッフで、どのようにほうきの無料貸し出しをアピールするか、話し合いをし、様々なアイデアを凝らし、2015年から「オリーブ記念館」にて常時約25本のほうきの無料貸し出しを開始しました。

 

 

混雑時には園内の至る所でホウキの撮影が見られる

混雑時には園内の至る所でホウキの撮影が見られる


「写真を撮りたくなる」公園づくりへ
階段脇に植えられたオリーブの古木の並木。<br/>階段での撮影は難易度が高い

階段脇に植えられたオリーブの古木の並木。
階段での撮影は難易度が高い

私たちが売り出し方を考えていた2014年は、写真・動画を共有するSNS「Instagram」の日本語アカウントが開設(2014年2月)され、特に「20~30代の女性」の間で「フォトジェニック」な写真をアップするブームが来ていました。このため、私たちスタッフは「ハーブショップ コリコ」の前でほうきを持って写真を撮るだけでなく、園内の景色の中で撮影したり、映画の魔女のようにほうきに乗って飛んでいるように見える写真を撮ったりして「真似したくなる写真」をオリーブ公園公式SNSで発信しました。

 

また、単にほうきを貸しだすだけでなく、黒猫の形をしたハンガーにほうきをかけ女性受けする雰囲気をつくったり、お客様がほうきを使って園内で撮った写真をパネルにして写真撮影の例を展示したり、写真の撮り方チラシを配布するなど、写真の撮り方のヒントを発信しました。

 

オリーブ公園HPで紹介している“空飛ぶ”写真を撮るポイント

オリーブ公園HPで紹介している“空飛ぶ”写真を撮るポイント

 

この甲斐あって、ほうきの貸し出し開始後、少しずつ、お客様がご自身で撮った写真にハッシュタグをつけてSNSにアップしてくださるようになりました。SNSでは、公園の公式アカウントから発信された写真よりも、他のお客様が投稿した写真の方が影響力があります。多くの方が、誰かが投稿した写真を見て、オリーブ公園を知り、園内での写真撮影を目的に、多くのお客様が来園してくださるようになりました。

 

ほうきは常時20本以上貸し出しを行っています。しかし混雑時は、「すばやく撮影、すばやく返却」していただけるよう、園内アナウンスなども行っても、どうしても待ち時間ができることがあります。そこで、園内の各所でも写真が撮れるよう、2016年にオリーブ色の郵便ポストを、2018年に「寄り添う外灯ベンチ」、「始まりの本」、「魔法の扉」、「いろいろきいろ」のフォトスポットを設置しました。

 

 


誰かに見せたい「景色と自分」の写真
既存の樹木と本が調和し、人気の撮影スポット<br/>となっている「始まりの本」

既存の樹木と本が調和し、人気の撮影スポット
となっている「始まりの本」

オリーブ公園では、印刷物やインターネットに掲載する写真いずれも、プロのカメラマンではなく、スタッフが撮影したものを使っています。モデルも起用せず、来園されたお客様に声をかけ、媒体への掲載の許可をいただき、撮影しています。これは、撮影のプロでなくても素敵な写真が撮れることを媒体を通じて発信していきたいという狙いと、お客様と直接会話をすることで、お客様の意見や要望を肌で感じることができ、運営に反映させられるためです。

 

お客様から見ると、自分たちが写っている写真が公園の公式HPやSNSに載っていると、お友達や家族に伝えたくなります。また、きれいな景色、面白い景色の中に自分が写っている写真も、誰かに見てもらいたいと思い、SNSにアップします。そういった「美しい景色の中に自分がいる写真」が撮れる公園として、オリーブ公園は整備を行い、発信してきました。今後も社会の動向を見極めながら、公園のシンボルであるギリシャ風車や海を望む景色に加え、オリーブ公園の財産であるオリーブの古木をはじめとする既存の樹木を取り込んだ景色を上手く発信していきたいと思います。

 

◆関連ページ

道の駅オリーブ公園HP:https://www.olive-pk.jp/

道の駅オリーブ公園Instagram:https://www.instagram.com/olive_pk/

 

※文中に出てくる所属、肩書、情報などは、掲載時のものです。(2021年6月掲載)

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過去記事一覧
第35回 時代のニーズをとらえた花畑を(国営昭和記念公園)
第34回 身近な公園でパラリンピック競技を体験する(むさしのの都立公園)
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第31回 Onlineでも環境教育を(Project WILD)
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