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第53回 夢プラン大賞から実現へ 水前寺江津湖公園で生まれた“みんなの遊び場” 

第53回は、公園・夢プラン大賞を担当する公園財団本部の開発研究部の「チャレンジ!」をお届けします。

 

 

公園・夢プラン大賞
公園・夢プラン大賞

公園・夢プラン大賞について

「公園・夢プラン大賞」は、公園を舞台にした市民の活動を対象に、実現した取り組みを表彰する「実現した夢部門」と、これから実現したいアイデアを対象とした「やりたい夢部門」の2部門で募集・表彰を行う事業です。開始以来、令和7年度までの30年間で応募件数は約8,000件にのぼります。また、令和5年度には都市公園制度制定150周年を記念して、まだ実現していない夢である「やりたい夢部門」の受賞プランの実現に取り組みました。

 

 


期間限定の遊び場「障がいのある子もない子も一緒に遊べるひろば」

会場は、水前寺江津湖公園 広木地区(熊本県熊本市)です。2025年10月22日から27日の期間限定で開催し、平日は9:30~16:30、土日は10:00~16:00の時間帯で実施しました。

料金は無料で、未就学児は保護者同伴としました。総参加人数は1,080名にのぼり、多くの方にご来場いただきました。

 

「障がいのある子もない子も一緒に遊べるひろば」

「障がいのある子もない子も一緒に遊べるひろば」

実現にあたっては、「発達障害のある子どもが、視覚的な手がかり等により遊具の使い方を理解しやすくし、健常児と一緒に遊べる場をつくりたい」という受賞者の希望がありました。受賞翌年2月(令和6年)に受賞者へ実現の意向を確認し、時間を要することから1年以上の準備期間を確保し、令和7年秋の実現を目指しました。

 

オンラインを含め約2年間で計18回ほど打ち合わせを重ね、会場運営、設置遊具、配置、スケジュールまで具体化しました。運営は受賞者・開催公園・遊具メーカー・運営スタッフが役割分担して進めました。特に遊具は、内田工業株式会社との協働により、既製品の活用に加えて新規開発も行いました。


受賞プランが反映された5つの遊具

子どもたちの多様なニーズに対応するため、関係者で協議を重ね、合計8つの遊具を設置しました。このうち、受賞プランを反映した遊具は5種類です。受賞者のアイデアやこだわりを可能な限り形にできるよう調整しました。

 

設置された8つの遊具

設置された8つの遊具

 

受賞プランを反映した遊具は、「ユニバーサルブランコ」「くるくるテラス」「くぐるんジム」「巨大ブロック」「歩幅マーク&平均台」です。

 

「ユニバーサルブランコ」と「くるくるテラス」は、既製品を利用しつつ、プランに合わせた改良を加えました。「くぐるんジム」は、ジャングルジムを一段低く抑え、車いすでも入れるよう中心へ向かう入口を設けるなど、受賞者の具体的な希望を反映して仕様変更しました。

 

「巨大ブロック」は、受賞者の「巨大スポンジのお城」というアイデアをもとに新規開発しました。内部はポリエチレン樹脂で柔らかく、表面はポリエステルのメッシュシートで濡れてもべたつきにくい仕様です。約40センチの立方体で、子どもが持ち上げやすく、積み上げても高さに限度があるため安心して遊べる設計としました。

 

受賞者の「巨大スポンジのお城」のアイデアから新規開発された「巨大ブロック」

受賞者の「巨大スポンジのお城」のアイデアから新規開発された「巨大ブロック」

 

 

「歩幅マーク&平均台」は、平均台とウォーキングコースを一体型として検討し、足型マークで視認性を高めました。3〜5歳、6〜11歳、12歳以上の3種のコースを設け、楽しみながら正しい歩幅を習得できるようにしています。設置は安全面に配慮し、一方向で固定して設置しました。

 

受賞者の「ウォーキングコース」「平均台」のアイデアから新規開発された「歩幅マーク&平均台」

受賞者の「ウォーキングコース」「平均台」のアイデアから新規開発された
「歩幅マーク&平均台」


現地での工夫(空間と運営)

現地での工夫は「空間」と「運営」の両面にあります。まず空間面では、衝動性が強く危険予知が難しい子への配慮として、遊び場をネットフェンスで囲い、境界を明確にしました。さらにガーランドで装飾し、仮設でも“楽しい場”としての雰囲気づくりも行いました。

 

会場に設置されたネットフェンス

会場に設置されたネットフェンス

 

加えて、遊具の使い方を伝える既成サイン(ふりがな付き)に加え、ブランコ待機位置を示す「足型サイン」を独自に制作しました。子どもがルールを理解しやすい環境を整えることで、整列のための声がけが少なくなりました。

 

遊具待機位置の足型サイン

遊具待機位置の足型サイン

 

運営面では、休日の混雑を見越して定員25名・30分ごとの総入れ替え制を採用し、休日に限り整理券を配布しました。結果として、遊び場は混雑することなく、子どもたちや保護者の安心・安全な利用につながりました。

 

その他に、遊具エリアの横でプレーパークを実施し、絵の具やクレヨンの「お絵描きキャンパス」、けん玉・コマ回し、木の実やボールを転がす「ボールコロコロ」などを設置しました。会場ではスタッフが子どもと一緒に遊び、楽しさを共有しながら、安全管理にも対応しました。遊具だけでなく、多様な遊びの機会を用意した点が運営上の重要ポイントです。

 

プレーパーク

プレーパーク

 

インクルーシブな遊び場づくりは遊具などのハード面だけでなく、視覚的支援となるサインや、見守りスタッフの常駐、人数や時間制限といった運営などのソフト面を合わせることが大切であることが分かりました。


今後について

誰もが利用できる公園を目指すほど、ハードに加えて「状況に合わせて設計できるソフト」が重要になります。今回も、ネットフェンス・サイン・スタッフ配置・時間制限といった工夫を組み合わせることによって、利用者の安心感につながりました。今後も管理者と関係者が課題や希望を積極的に共有し、協働でより良い空間づくりを進めていく必要があると考えます。

 

なお、「公園・夢プラン」事業での夢の実現は、今回は記念事業の一環としての実施でしたが、誰もが自分らしく輝けるダイバーシティの実現に向け、引き続き夢ある公園利用プラン等の情報発信に取り組んでいきます。

 

 

■関連ページ

 

▼公園・夢プラン大賞

https://yumeplan.prfj.or.jp/

▼熊本市水前寺江津湖公園

https://www.ezuko-park.com/

 

※文中に出てくる所属、肩書、情報などは、取材当時のものです。画像無断転載厳禁。

 

(2026年3月掲載)

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過去記事一覧
第53回 夢プラン大賞から実現へ 水前寺江津湖公園で生まれた“みんなの遊び場” 
第52回 環境共生の森 ~生きものと人が育む未来のフィールド~(国営海の中道海浜公園)
第51回 縁の下の力持ち ~ウポポイから施設管理の挑戦~(ウポポイ 民族共生象徴空間)
第50回 公園散策を楽しめるセルフガイドマップ(新宿中央公園)
第49回 ステキな公園はスタッフの健康から「‘キラリ’健康プロジェクト」(国営みちのく杜の湖畔公園)
第48回 中学生の提案から始まった、ボール遊びができる公園の整理(千葉県船橋市)
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第45回 サステナブルな堆肥づくり「バイオネスト」の可能性 (国営木曽三川公園 138タワーパーク)
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第43回 大池公園さくら再生プロジェクト!(大池公園)
第42回 初の産学連携!地元の高校生と協同で商品開発!(稲毛海浜公園)
第41回 冬の新宿を彩るCandle Night @ Shinjuku(新宿中央公園)
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第38回 いにしえの植物を万葉歌と共に楽しむ 万葉植物画展「アートと万葉歌の出逢い」(平城宮跡歴史公園)
第37回 来園者も参加する獣害対応防災訓練(静岡県立森林公園)
第36回 「みどりの価値」を指標化し、「こころにやさしいみどり」をつくる(株式会社日比谷アメニス)
第35回 時代のニーズをとらえた花畑を(国営昭和記念公園)
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第31回 Onlineでも環境教育を(Project WILD)
第30回 コロナ禍でも市民と共に活用できる公園(兵庫県立尼崎の森中央緑地)
第29回 音楽に親しむ公園の「森のピアノ」(四万十緑林公園)
第28回 植物に関するミッションでリピーターを増やす(小田原フラワーガーデン)
第27回 猛威を振るう外来のカミキリムシを探せ(栃木県足利市)
第26回 地域と協働したプロジェクト(播磨大中古代の村(大中遺跡公園))
第25回 地域住民の意見を聞きながら公園の魅力を維持・向上させる(東京都足立区)
第24回 Stay Homeでも公園を楽しむ(国営武蔵丘陵森林公園)
第23回 できる人が、できる時に、できることを(諫早市こどもの城)
第22回 雪を有効活用して公園に笑顔を(中山公園)
第21回 地域をつなぎ、喜びを生み出す公園(柏崎・夢の森公園)
第20回 絵本の世界を楽しみながら学ぶことのできる公園(武生中央公園)
第19回 全国に注目されるゴキブリ展を開催(磐田市竜洋昆虫自然観察公園)
第18回 大蔵海岸公園のマナードッグ制度(大蔵海岸公園)
第17回 園内から出た植物発生材をスムーズに堆肥化する(国営木曽三川公園)
第16回 地域の昔話を学ぶことのできる公園(坂出緩衝緑地)
第15回 公園の看板に一工夫(国営讃岐まんのう公園)
第14回 地域に貢献する農業公園(足立区都市農業公園)
第13回 公園のイベントを通して子供たちに「外遊び」を提供!(雁の巣レクリエーションセンター)
第12回 生き物の面白さを伝える動物公園(多摩動物公園)
第11回 増大かつ多様化する公園利用者に対応する施設管理(国営ひたち海浜公園)
第10回 弘前公園のサクラを後世に引き継ぐ(弘前公園)
第9回 未来につづく公園づくり(大野極楽寺公園)
第8回 生き物にふれあえる公園づくり(桑袋ビオトープ公園)
第7回 発生材を有効活用する(公益財団法人 神奈川県公園協会)
第6回 幻の青いケシ(国営滝野すずらん丘陵公園)
第5回 「街路樹はみんなのもの」という意識を(東京都江戸川区)
第4回 最良の門出を祝う「ローズウェディング」(国営越後丘陵公園)
第3回 感謝の気持ちを伝えるくまモン(水前寺江津湖公園)
第2回 ふるさと村で人形道祖神を紹介(国営みちのく杜の湖畔公園)
第1回 様々な競技会にチャレンジ!(国営木曽三川公園)


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