第42回目は、稲毛海浜公園(千葉県千葉市)内の「SUNSET BEACH PARK INAGE」のグランピング施設で、近隣の千葉経済大学付属高等学校商業科の課外授業の場としてフィールドを提供し、商品開発からサービス提供までのサポートを行った株式会社ワールドパークSunset Beach Park事業部 MDの木村俊孝さんらの「チャレンジ!」をお届けします。
お話を伺ったのは写真左の木村 俊孝さん
稲毛海浜公園は、海浜ニュータウンの前面、東京湾沿岸に位置する長さ約3km、面積約83haの総合公園です。園内には我が国初の人工海浜「いなげの浜」や千葉市花の美術館、プール、運動施設、ヨットハーバーなどがあり、四季を通じて楽しむことができます。
私たち株式会社ワールドパークは、稲毛海浜公園内の「SUNSET BEACH PARK INAGE」の管理運営を担っています。「SUNSET BEACH PARK INAGE」は、稲毛海浜公園内のTHE POOL(稲毛海浜公園プール)、THE BEACH(ビーチ&ピアカフェ)、THE GLAMPING(グランピング&カフェ)の3つのエリアなどを指し、稲毛海浜公園の浜辺に広がる美しい白い砂浜や夕焼けが見られるベイエリアとして日本でも有数の観光スポットです。
弊社が管理運営する「SUNSET BEACH PARK INAGE」の中のグランピング施設「small planet CAMP&GRILL」に併設されているカフェでは、2022年9月末より産学連携の取組として、近隣の千葉経済大学付属高等学校商業科の3年生の実習に協力することになりました。
このコラボ企画に至った経緯は、なんと千葉経済大学付属高等学校の教員の方から弊社に直接連絡があり、「是非とも生徒に学びの場として協力してほしい」という熱い思いを伺ったことからでした。もともと同校商業科の授業では、生徒による模擬会社の設立と商品開発までは行っていたそうですが、実際に販売するというリアリティを追求し、生徒に体験してもらいたいということで、私たちは販売場所を提供するほか授業に積極的に協力しサポートさせていただくことにしました。
我々はあくまで生徒の皆さんの課外授業をサポートする立場ですが、実際に店頭で販売するので一切の妥協はしていません。
生徒の皆さんが元々提案していた商品の企画は、授業の一環としては素晴らしいアイディアでした。しかし、実際に販売するとなると、食材の産地や提供する商品の企画(ストローやコップの素材等)、原価率と利益率、商品のコンセプト、さらには商品の売り出し方まで精査しなければなりません。それらについて我々の持つノウハウを伝えるため、座学や打合せ、試食会を通して、商品の質を昇華させていきました。
生徒の皆さんに伝えていくうえで重視したことは、「“モノ”を開発することの大変さ」と「“モノ”を売ることの難しさ」です。通常の原価率は何%で、生徒の皆さんが考えた商品ではこのくらいの利益が出るというような、数字を用いてコスト感覚を伝えていきました。“モノ”を作るのにどれだけのコストがかかっているかは、普段の生活では見えてこないので、生徒の皆さんに一番伝えたかったポイントです。その他にも考案した商品に対する議論や試食会などの実習を通して、実際にお客様が召し上がる“モノ”を形にしていく過程を学んでいただきました。
また、商品は開発して終わりではないので、売る時にもどのくらいのコストがかかるのか実際に店頭に立ったり、店内で作って提供する現場の苦労、さらにはSNS等を使った商品のPRまで、商品開発から販売までのすべての過程を体験していただきました。
そして、商品が完成し、2022年11月5日(土)から30日(水)までの約1か月間、グランピング施設併設のカフェ店頭で販売をいたしました。生徒の皆さんが店頭に立った際には、最後の1週間どう売っていくのかそのアプローチについて考えてもらいました。また、アルバイトの経験もなく初めて作って売る経験をした生徒もいましたが、皆さん楽しみながら最後まで真剣に取り組んでくれていました。作って終わりではなく、そのあとのお店の運営まで考えることの大切さが伝わったのではないかと思います。
今回の高校生とのコラボ企画は、9月末から11月末までの2ヶ月というタイトなスケジュールでしたが、生徒の皆さんの頑張りもあり販売期間の約1ヶ月で150杯以上も売れました。お客様は近隣の方が多く、普段からカフェを利用している方々に、地元で有名な高校と私たちのカフェがコラボしていることや地元の食材を使っていることに興味を持っていただき、ご購入につながる場面が多く見受けられました。また、生徒の親御さんも我が子が作った商品を買いに足を運んでくれたりと、多くのお客様に高校生の皆さんと作ったコラボ商品を提供することができました。
私たちの企業理念である「100 年先も続く文化創造を目指して、土地と地域・人がつながる場をつくる。」を実現するためには、自治体や地元の企業との協力はもちろんですが、教育機関との連携が必須になります。今回のような地元の高校生が地元企業と連携する企画は、地元の若い世代の力を借りつつ、未来のためにこれからの地域産業を担う人材を育てていくというような、地域の力の底上げにつながると考えています。
今後も教育機関との連携企画は継続して続けていき、地元を盛り上げ、人材を育む活動を続けてまいりますので、ぜひ公園に遊びにいらしてください。
■関連ページ
SUNSET BEACH PARK INAGE(稲毛海浜公園内)
small planet-CAMP&GRILLチケット予約サイト
※文中に出てくる所属、肩書、情報などは、掲載時のものです。(2023年1月掲載)
第50回 公園散策を楽しめるセルフガイドマップ
第49回 ステキな公園はスタッフの健康から「‘キラリ’健康プロジェクト」(みちのく公園)
第48回 中学生の提案から始まった、ボール遊びができる公園の整理(船橋市)
第47回 公園の魅力を見つめ直して「秋のライトアップ」できっかけづくり(足立区花畑公園・桜花亭)
第46回 “五感”を満たす空間づくり ~統一感あるデザインと、一貫したコンセプトを守っていく~ (いばらきフラワーパーク)
第45回 サステナブルな堆肥づくり「バイオネスト」の可能性 (国営木曽三川公園 138タワーパーク)
第44回 都心に残るゲンジボタル(国立科学博物館附属自然教育園)
第43回 大池公園さくら再生プロジェクト!(大池公園)
第42回 初の産学連携!地元の高校生と協同で商品開発!(稲毛海浜公園)
第41回 冬の新宿を彩るCandle Night @ Shinjuku(新宿中央公園)
第40回 20年目を迎える「第20回日比谷公園ガーデニングショー2022」を開催(都立日比谷公園)
第39回 多様な生き物と人が集まるビオトープを作る!(国営アルプスあづみの公園)
第38回 いにしえの植物を万葉歌と共に楽しむ 万葉植物画展「アートと万葉歌の出逢い」(平城宮跡歴史公園)
第37回 来園者も参加する獣害対応防災訓練(静岡県立森林公園)
第36回 「みどりの価値」を指標化し、「こころにやさしいみどり」をつくる(株式会社日比谷アメニス)
第35回 時代のニーズをとらえた花畑を(国営昭和記念公園)
第34回 身近な公園でパラリンピック競技を体験する(むさしのの都立公園)
第33回「写真を撮りたくなる」公園づくり(小豆島オリーブ公園)
第32回 「自然学習」アプリは「広い園内で遊べる」ツール(国営昭和記念公園)
第31回 Onlineでも環境教育を(Project WILD)
第30回 コロナ禍でも市民と共に活用できる公園(兵庫県立尼崎の森中央緑地)
第29回 音楽に親しむ公園の「森のピアノ」(四万十緑林公園)
第28回 植物に関するミッションでリピーターを増やす(小田原フラワーガーデン)
第27回 猛威を振るう外来のカミキリムシを探せ(栃木県足利市)
第26回 地域と協働したプロジェクト(播磨大中古代の村(大中遺跡公園))
第25回 地域住民の意見を聞きながら公園の魅力を維持・向上させる(足立区)
第24回 Stay Homeでも公園を楽しむ(国営武蔵丘陵森林公園)
第23回 できる人が、できる時に、できることを(こどもの城)
第22回 雪を有効活用して公園に笑顔を(中山公園)
第21回 地域をつなぎ、喜びを生み出す公園(柏崎・夢の森公園)
第20回 絵本の世界を楽しみながら学ぶことのできる公園(武生中央公園)
第19回 全国に注目されるゴキブリ展を開催(磐田市竜洋昆虫自然観察公園)
第18回 大蔵海岸公園のマナードッグ制度(大蔵海岸公園)
第17回 園内から出た植物発生材をスムーズに堆肥化する(国営木曽三川公園)
第16回 地域の昔話を学ぶことのできる公園(坂出緩衝緑地)
第15回 公園の看板に一工夫(国営讃岐まんのう公園)
第14回 地域に貢献する農業公園(足立区都市農業公園)
第13回 公園のイベントを通して子供たちに「外遊び」を提供!(雁の巣レクリエーションセンター)
第12回 生き物の面白さを伝える動物公園(多摩動物公園)
第11回 増大かつ多様化する公園利用者に対応する施設管理(国営ひたち海浜公園)
第10回 弘前公園のサクラを後世に引き継ぐ(弘前公園)
第9回 未来につづく公園づくり(大野極楽寺公園)
第8回 生き物にふれあえる公園づくり(桑袋ビオトープ公園)
第7回 発生材を有効活用する(公益財団法人 神奈川県公園協会)
第6回 幻の青いケシ(国営滝野すずらん丘陵公園)
第5回 「街路樹はみんなのもの」という意識を(東京都江戸川区)
第4回 最良の門出を祝う「ローズウェディング」(国営越後丘陵公園)
第3回 感謝の気持ちを伝えるくまモン(水前寺江津湖公園)
第2回 ふるさと村で人形道祖神を紹介(国営みちのく杜の湖畔公園)
第1回 様々な競技会にチャレンジ!(国営木曽三川公園)