公園文化ロゴ
公園文化ロゴ
公園文化を語る 公園の達人 公園管理運営「チャレンジ!」しました 公園とSDGs 生きもの小話 みどり花コラム アートコラム 花みどり検定 公園の本棚 世界の公園 たまて箱 公園”Q&A /
公園管理運営チャレンジしました
第24回 Stay Homeでも公園を楽しむ(国営武蔵丘陵森林公園)

第24回目は、新型コロナウイルス感染拡大防止のために閉園が続く公園で、おうち時間を楽しんでもらおうと、公園のモチーフとなっているキャラクターのぬりえ素材を配信している国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県比企郡滑川町)の臼井ひとみさんの「チャレンジ!」をお届けします。

 

国営武蔵丘陵森林公園管理センター 企画グループ行催事担当 臼井ひとみさん
国営武蔵丘陵森林公園管理センター 企画グループ行催事担当 臼井ひとみさん

臨時休園中の公園にできること
いつもなら大勢のお客様が見に来る<br/>アイスランドポピー

いつもなら大勢のお客様が見に来る
アイスランドポピー

国営武蔵丘陵森林公園(以下、森林公園)は、明治百年記念事業の一環として作られた面積304haの全国で初めての国営公園です。雑木林を中心に池沼、湿地、草地等の多様な自然環境の中に、親子で遊ぶことのできるフィールドアスレチックや遊具、季節の花が楽しめる大規模な花畑など様々な施設があります。例年、ソメイヨシノが開花する3月下旬から、大型連休の5月中旬にかけて、繁忙期となり、多くのお客様が来園されます。

しかし、今年(2020年)は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、森林公園は4月8日から臨時休園することになりました。外出自粛が求められ家で過ごす時間が増えるため、いつも公園に遊びに来てくださるお客様におうちで楽しく過ごしてもらえるよう、公園スタッフが森林公園の公式HPやSNSに見ごろの花の写真やドローンで撮った園内の様子、スタッフが園内の見どころを紹介する「園内ガイドツアー」を動画で発信している中、私は自分が担当するイベントを活かすことができないかと考えていました。

 

私は、昨年(2019年)4月から森林公園を管理運営する森林公園管理センターの企画グループ行催事担当に配属され、植物を活用したクラフト教室や公園を巡り謎を解いていくフィールドラリー等のイベントを担当してきました。今年の母の日には、公園に咲いている花を使ってミニブーケを作るイベント「母の日ミニプレゼント」を予定していました。例年園内の植物を活用するイベントを実施していますが、今年は私が最初から企画し、どんな植物を使ってブーケを作るか、検討してきました。しかし、臨時休園により中止になったため、母の日に家でも取り組める何かを提供できないか考え、ぬりえのメッセージカードを配信することを思いつきました。

2019年の母の日の公園のイベントでは<br/>フラワーボックスを作った

2019年の母の日の公園のイベントでは
フラワーボックスを作った


森林公園のイベントで親しまれているキャラクターをぬりえに
見ごろの花畑など園内の状況に合わせて登場するモーリー。写真は、見ごろ時のルピナス

見ごろの花畑など園内の状況に合わせて登場するモーリー。写真は、見ごろ時のルピナス

ぬりえは、動物園や他の公園でも既に配信されていたため、それらを参考に検討し、森林公園で毎年実施しているフィールドラリーでおなじみのキャラクター「森の妖精モーリー(以下、モーリー)」のイラストをぬりえとして配信することにしました。

森の妖精モーリーは、10年以上前に園内から出た剪定枝等を材料に作られたオブジェです。当初、名前はなく、イベント時の開催看板などの添景として使ってきました。しかし、そのシンプルさとかわいらしさが森林公園の風景になじんだことから、歴代の担当者がパンフレットやチラシ、イベントに用い、いつの間にかモーリーという名前もつきました。

 

このフィールドラリーの一番の特徴は、モーリーと参加者が協力して謎解きをするストーリー仕立てになっているところです。特にリピーターの多いイベントのため、モーリーの仲間にワル者などの新キャラクターを毎回発案し、飽きさせない努力もしています。昨年(2019年)秋からの夜間イベントでは海賊をテーマとした「キャプテンバブルと6人の手下」と題し、新キャラクターのキャプテンバブルや手下達を上司と考案し、さまざまな謎を解きながら森に隠された宝箱を探し出すストーリーを作りました。11月9日から12月30日の約8週間、計約6,400人のお客様が参加し、楽しそうに園内を巡る親子の姿が印象的でした。

そこで、ちょうどぬりえをするお子さんのいる親子を対象に、「公園のイベントに出てくるキャラクター」として親しみを持ってもらえるよう、モーリーと仲間たちが集うイラストにしました。ぬりえの配信を行うにあたり、フィールドラリー同様、モーリーと仲間になってぬりえをしてもらいたいと考え、「森林公園ぬりえ隊」と名付け、SNSの投稿では「森林公園ぬりえ隊、隊員募集中」としました。

2019年の夏と秋冬のラリー時に参加者に渡した用紙

2019年の夏と秋冬のラリー時に参加者に渡した用紙

夜間開園時に設置した<br/>ワル者キャプテンバブルと手下たち

夜間開園時に設置した
ワル者キャプテンバブルと手下たち


おうち時間を楽しく過ごして欲しい
現在配信中の制作キットモーリー

現在配信中の制作キットモーリー

ぬりえは、モーリーの仲間たちのイラストと母の日用に描いたメッセージイラストに加え、点線で切って割りばし等に張り付ければ棒人形になる制作キットを配信しました。制作キットは棒人形だけでなく、シールにしたり、モーリーの使う道具や武器を自分で描いて追加して物語を作れば、お家で家族と一緒に楽しい時間を過ごし、子供たちの発想で様々な遊びができるツールになるのではないかと期待しています。

実は当初、公園から一方的に配信するのではなく、お客様に塗り終わった絵を公園にお持ちいただき、それを園内に展示したいと考えていました。持参するのは難しくても、郵送でお送りいただくことも検討しました。しかし、不要不急の外出を控えるよう呼びかけられている中、ぬりえを送るために外出することは本末転倒であると考え、今回、塗り終わった絵を「SNSで「#森林公園ぬりえ隊」をつけて投稿してみてください。」と案内するようにしました。

今後このような状況が続くようであれば、父の日のメッセージ等もぬりえとして配信していきたいと考えていますが、それよりも、新型コロナウイルスが1日でも早く終息し、多くのお客様が公園に遊びに来られる日を待ち望んでいます。そして、来園されたお客様が楽しく公園で過ごせるよう、楽しい企画を準備して参りますので、新型コロナウイルスが終息しましたら、森の妖精モーリーに会いに森林公園へお越しください。


区切り線
過去記事一覧
第47回 公園の魅力を見つめ直して「秋のライトアップ」できっかけづくり(足立区花畑公園・桜花亭)
第46回 “五感”を満たす空間づくり ~統一感あるデザインと、一貫したコンセプトを守っていく~ (いばらきフラワーパーク)
第45回 サステナブルな堆肥づくり「バイオネスト」の可能性 (国営木曽三川公園 138タワーパーク)
第44回 都心に残るゲンジボタル(国立科学博物館附属自然教育園)
第43回 大池公園さくら再生プロジェクト!(大池公園)
第42回 初の産学連携!地元の高校生と協同で商品開発!(稲毛海浜公園)
第41回 冬の新宿を彩るCandle Night @ Shinjuku(新宿中央公園)
第40回 20年目を迎える「第20回日比谷公園ガーデニングショー2022」を開催(都立日比谷公園)
第39回 多様な生き物と人が集まるビオトープを作る!(国営アルプスあづみの公園)
第38回 いにしえの植物を万葉歌と共に楽しむ 万葉植物画展「アートと万葉歌の出逢い」(平城宮跡歴史公園)
第37回 来園者も参加する獣害対応防災訓練
第36回 「みどりの価値」を指標化し、「こころにやさしいみどり」をつくる
第35回 時代のニーズをとらえた花畑を(国営昭和記念公園)
第34回 身近な公園でパラリンピック競技を体験する(むさしのの都立公園)
第33回「写真を撮りたくなる」公園づくり(小豆島オリーブ公園)
第32回 「自然学習」アプリは「広い園内で遊べる」ツール(国営昭和記念公園)
第31回 Onlineでも環境教育を(Project WILD)
第30回 コロナ禍でも市民と共に活用できる公園(兵庫県立尼崎の森中央緑地)
第29回 音楽に親しむ公園の「森のピアノ」(四万十緑林公園)
第28回 植物に関するミッションでリピーターを増やす(小田原フラワーガーデン)
第27回 猛威を振るう外来のカミキリムシを探せ(栃木県足利市)
第26回 地域と協働したプロジェクト(播磨大中古代の村(大中遺跡公園))
第25回 地域住民の意見を聞きながら公園の魅力を維持・向上させる(足立区)
第24回 Stay Homeでも公園を楽しむ(国営武蔵丘陵森林公園)
第23回 できる人が、できる時に、できることを(こどもの城)
第22回 雪を有効活用して公園に笑顔を(中山公園)
第21回 地域をつなぎ、喜びを生み出す公園(柏崎・夢の森公園)
第20回 絵本の世界を楽しみながら学ぶことのできる公園(武生中央公園)
第19回 全国に注目されるゴキブリ展を開催(磐田市竜洋昆虫自然観察公園)
第18回 大蔵海岸公園のマナードッグ制度(大蔵海岸公園)
第17回 園内から出た植物発生材をスムーズに堆肥化する(国営木曽三川公園)
第16回 地域の昔話を学ぶことのできる公園(坂出緩衝緑地)
第15回 公園の看板に一工夫(国営讃岐まんのう公園)
第14回 地域に貢献する農業公園(足立区都市農業公園)
第13回 公園のイベントを通して子供たちに「外遊び」を提供!(雁の巣レクリエーションセンター)
第12回 生き物の面白さを伝える動物公園(多摩動物公園)
第11回 増大かつ多様化する公園利用者に対応する施設管理(国営ひたち海浜公園)
第10回 弘前公園のサクラを後世に引き継ぐ(弘前公園)
第9回 未来につづく公園づくり(大野極楽寺公園)
第8回 生き物にふれあえる公園づくり(桑袋ビオトープ公園)
第7回 発生材を有効活用する(公益財団法人 神奈川県公園協会)
第6回 幻の青いケシ(国営滝野すずらん丘陵公園)
第5回 「街路樹はみんなのもの」という意識を(東京都江戸川区)
第4回 最良の門出を祝う「ローズウェディング」(国営越後丘陵公園)
第3回 感謝の気持ちを伝えるくまモン(水前寺江津湖公園)
第2回 ふるさと村で人形道祖神を紹介(国営みちのく杜の湖畔公園)
第1回 様々な競技会にチャレンジ!(国営木曽三川公園)


TOPに戻る

公園文化ロゴ2