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第50回 公園散策を楽しめるセルフガイドマップ(新宿中央公園)

第50回は、新宿区立新宿中央公園でセルフガイドマップを作成した伊藤光さんの「チャレンジ!」をお届けします。

新宿区立新宿中央公園 伊藤光さん
新宿区立新宿中央公園 伊藤光さん

新宿中央公園について

新宿中央公園は、新宿区立の公園としては最大の面積を誇る都市公園です。

東京都庁を始め、そびえ立つ高層ビル群の中に、大都会のオアシスとして多くのお客様に親しまれている、緑豊かな公園です。かつて淀橋浄水場だった場所に昭和35年、新宿副都心建設事業の一環として計画され、昭和43年に都立公園として開園しました。昭和50年、東京都から新宿区に移管された後、数回にわたり改修工事・リニューアルが行われ、現在に至っています。


セルフガイドマップ導入の背景

新宿中央公園では、指定管理者が管理するようになった平成26年頃から数万人が参加する大規模な集客型イベントを多く開催してきました。

ところが、令和2年に新型コロナウイルス感染症が流行し、コロナ収束時期の見通しが立たず、この年は公園の断続的な利用規制(イベント中止、公園内の複合型遊具やフットサル施設の利用中止等)が続きました。利用規制が繰り返された事で、集客型イベント開催が困難になり、不特定多数の参加者を集めるイベントの4割が中止となりました。

そこで、これまでの公園利用を見直し、新しい生活様式に対応した利用方法とは何かを考え直し、個人や家族など少人数で公園を楽しむための取り組みを検討しました。

 

四川料理の美味しさを楽しめる<br/>四川フェス2019

四川料理の美味しさを楽しめる四川フェス2019

夜空の下映画を楽しめる Screen @ Shinjuku Central Park

夜空の下映画を楽しめる Screen @ Shinjuku Central Park


コロナ禍で作成したセルフガイドマップ

新宿中央公園は、都会にありながらも植物、野鳥や昆虫等の生き物を身近に感じられる場所です。季節の移ろいを楽しむことができ、特に園内の花修景は、春はバルブガーデン、梅雨時はあじさいロード等、新宿中央公園ならではのおすすめスポットがあります。これらの魅力を伝え個人や少人数で公園を楽しめるツールとして、セルフで楽しめるガイドマップを作成することとしました。

 

作成したセルフガイドマップは、大きく分けて「魅力再発見シリーズ」、「新宿中央公園の生き物シリーズ」の2種類です。

 

(1)魅力再発見シリーズ

「魅力再発見シリーズ」は季節ごとに楽しめる植物をピックアップし、見頃時期や開花場所の案内にあわせておすすめスポットを掲載しました。このセルフガイドマップでは、利用者が気付かない植物、野鳥や施設など、知ることで公園の見え方が変わって新たな魅力的を感じ、公園歩きがより充実するための情報を提供しました。その他に、近日開催するイベント情報やグッドマナー講座と題して園内マナーのお願い等も掲載しています。

 

 

魅力再発見シリーズ(表)

魅力再発見シリーズ(表)

魅力再発見シリーズ(裏)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2)新宿中央公園の生き物シリーズ

新宿中央公園の生き物たちにスポットを当てたセルフガイドマップが「新宿中央公園の生き物シリーズ」です。生き物シリーズは公園内で観られる計16種の野鳥を取り上げた「新宿中央公園にあつまる鳥たち」、どんぐり探しが楽しめる「どんぐりお散歩ガイドマップ」、季節で異なる葉の色などで季節により姿を変える落葉樹に焦点を当てた「新宿中央公園落葉樹マップ」の計3種類を作成しました。

 

➀新宿中央公園にあつまる鳥たち

新宿中央公園にあつまる鳥たちは、園内で観察できる野鳥を紹介しています。野鳥観察が初心の方でも楽しめるよう、写真に加えて鳴き声等の見分けるポイントを記載しています。管理事務所では、このガイドマップの配布だけでなく、双眼鏡の貸し出しも行っており、気軽に野鳥観察ができます。

 

新宿中央公園にあつまる鳥たち〈新宿中央公園の生き物シリーズ〉

新宿中央公園にあつまる鳥たち〈新宿中央公園の生き物シリーズ〉

 

②どんぐりお散歩ガイドマップ

どんぐりお散歩ガイドマップは、園内にあるクヌギやスダジイなど6種類のどんぐりを園内マップとともに紹介しています。キャラクターを取り入れることで、子供たちにも気軽に手に取って貰えるよう工夫しました。

どんぐりお散歩ガイドマップ〈新宿中央公園の生き物シリーズ〉

どんぐりお散歩ガイドマップ〈新宿中央公園の生き物シリーズ〉

どんぐりお散歩ガイドマップ〈新宿中央公園の生き物シリーズ〉

 

③落葉樹マップ

樹種の調査

樹種の調査

落葉樹マップは、他の新宿中央公園の生き物シリーズより、四季の移ろいを感じるガイドマップになるため特に力を入れて作成しました。季節の花々や森林浴を楽しめる園内の「区民の森」エリアに焦点を当て他の新宿中央公園の生き物シリーズより、温かみや親しみを出すため、園路や施設及び全43種の樹木を全て手書きで表しました。このマップは、当時新宿中央公園に勤務していた石井さん(現在越後丘陵公園勤務)と二人で製作しました。まずは、既存樹木の樹種名と位置を目視で確認し、平面図におとす作業から始めました。樹種が多く判別するのに苦労しました。夏の暑い時期の調査だったので、心身ともにくたびれました。調査した樹種名は、植物担当に最終確認をお願いしました。

 

落葉樹調査資料

 

次にマップに掲載する樹種を分かりやすく表現するための方法をみんなで話し合いました。その結果、手書きのアイコン作成をすることになり、どんなデザインがいいか、イラストが得意なスタッフを中心に、1つ1つ、樹種ごとにアイコンを考えました。しかし樹種ごとにアイコンを作った結果、似通ったデザインが多くなったことが反省点です。また樹種の中でもどんぐりがなる等、特徴が似たものを1つの仲間として紹介することで、落葉樹をより詳しく知るきっかけになるようにしました。公園内の施設や、舗装路、未舗装路もイラストで表現することで、よりデザインの統一感と温かみが出たと思っています。

 

手書きのイラスト

新宿中央公園落葉樹マップ~区民の森編~

新宿中央公園落葉樹マップ~区民の森編~

 

 

 


セルフガイドマップの反響

「魅力再発見シリーズ」は、公園内のほかに近隣の施設やホテルに配架いただいています。一度お渡ししても追加で欲しいとのお問い合わせがあるため、多くの方に手に取ってもらえていると実感しています。また魅力再発見シリーズを求めて公園を訪れた方もいらっしゃいました。

 

「新宿中央公園の生き物シリーズ」は公園内のみで配布していますが、ご高齢の方やファミリーの公園利用者を中心に幅広い方々に手に取ってもらえています。いつも来園される保育園や幼稚園などの保育者の方にも好評で、お散歩コースの参考にもなっているようです。


セルフガイド作成 今後の方針

令和6年度現在、新宿中央公園では集客型イベントの開催を再開していますが、多様な公園利用に対応するツールとしてセルフガイドマップの発行を継続しています。より多くの公園利用者に楽しんでもらえるよう、デザイン・内容を工夫して魅力あるものを作成していきたいです。また、新宿中央公園には様々な国籍の公園利用者の方が来園されるので、今後は日本語だけでなく多言語に対応したセルフガイドマップ作りが課題です。これからも公園の魅力を発信することで、新宿中央公園に訪れる人が増えれば何よりも嬉しいです。

 

■関連ページ

▼新宿中央公園

https://shinjukuchuo-park.jp/

 

※文中に出てくる所属、肩書、情報などは、取材当時のものです。画像無断転載厳禁。

(2024年10月掲載)

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過去記事一覧
第50回 公園散策を楽しめるセルフガイドマップ(新宿中央公園)
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第9回 未来につづく公園づくり(大野極楽寺公園)
第8回 生き物にふれあえる公園づくり(桑袋ビオトープ公園)
第7回 発生材を有効活用する(公益財団法人 神奈川県公園協会)
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第2回 ふるさと村で人形道祖神を紹介(国営みちのく杜の湖畔公園)
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