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みどり花コラム
夏野菜のズッキーニ

ズッキーニは、夏野菜を代表するウリ科の植物です。その実の形は細長く、キュウリに似ていますが、カボチャの仲間に分類されます。原産地はアメリカの南部からメキシコにかけての地域です。

 

ズッキーニ。これで長さ20cmほど

ズッキーニ。これで長さ20cmほど

 

カボチャの仲間といっても、ズッキーニはつるを伸ばして広がるのではなく、つるを伸ばさず太い茎に大きな葉をつけます。そのため、日本では「つるなしカボチャ」や「ウリカボチャ」と呼ばれています。野菜売り場で見かける機会が増えたことで、最近は「ズッキーニ」という呼び名が定着してきました。

 

カボチャは、実が完熟してから食べるのが一般的ですが、ズッキーニは未熟果を食べます。食感は見た目が似ているキュウリと異なり、どちらかと言えばナスに似ています。店頭では一つ100円以上で売られており、キュウリやナスに比べると価格は高めです。このため、私はなかなか手が出せず、食べる機会はほとんどありませんでした。

 

3年前に畑のある家に引っ越し、春に畑に植えるための野菜苗をホームセンターで購入する際、売り場にズッキーニの苗が並んでいるのを見かけました。自分たちで育てれば安上がりですし、新しいことに挑戦するのもおもしろそうだと思い購入しました。それ以来、家族でズッキーニ栽培を続けています。

 

ズッキーニは、地面に這わせるように育てるのが一般的です。キュウリほどの長さで収穫しますが、30cmほどに大きくしても食感はあまり変わらないため、少し大きくしてから収穫する方がコスパは良いようです。当然ながら、実に土が付いて汚れることや、病虫害にも注意が必要です。

 

地面を這うように育てたズッキーニ手前の個体には濃緑色、奥の個体には黄色の実がなっている

地面を這うように育てたズッキーニ
手前の個体には濃緑色、奥の個体には黄色の実がなっている

 

 

そうしたリスクを多少なりとも避ける方法として、家族が調べた情報をもとに、4本の支柱で囲んで太い茎をその中に立ち上げて育てる「まっすぐ仕立て」を試みました。茎が倒れないようにひもで上へと誘導し、大きな葉が偏りなく支柱の間から出るようにします。この方法なら実が汚れず、全体の風通しも良くなります。仕立てる手間はかかりますが、作業のたびにしゃがみ込むことが減り収穫がしやすくなるのも利点です。人の背丈を超えるズッキーニが公園や学校にあれば、人目を引くアクセントとなるかもしれません。

 

まっすぐ仕立てにしたズッキーニ。人の背丈を超えるほどに育つ

まっすぐ仕立てにしたズッキーニ。人の背丈を超えるほどに育つ

 

ズッキーニ栽培の難しいところは、茎や葉柄が折れやすいことです。葉が少しなくなっても問題ありませんが、茎が折れると生育が止まってしまいます。今年も植えてまもない苗の茎が強風で折れ、植えなおしをしました。

 

花は6月には咲き始めます。昆虫が花粉を媒介してくれれば自然に実りますが、確実に肥大させるには人工授粉が有効です。ただし、雌花と雄花が同時に咲くとは限りません。そんな時、助っ人として活躍するのが、畑に同居しているカボチャの雄花です。カボチャの花粉をズッキーニの雌花につけても実は大きくなります。状態が良ければ9月ごろまで実が育ちます。ただし肥料が不足すると雌花が少なくなるため、適切な追肥が大切です。

 

最後に食べ方ですが、最近はオンライン上に多くのレシピが紹介されています。ナスと食感が似て油との相性が良いためか、素揚げやチーズ焼き、ラタトゥーユのような煮込みが多く見られます。生で食べてもおいしいですし、濃緑色や淡緑色、黄色など実の色の違いを生かし、サラダの素材に使っても楽しいです。たくさん採れたらナムルを作り、いつでも食べられる常備菜としておくのがお薦めです。

 

 

緑花文化士 米山 正寛

(2025年8月掲載)

 

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