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みどり花コラム
ツユクサ、花で染めても色落ちしてしまう欠点を逆利用!柴田規夫
(左)道端に生えているツユクサ<br>(右)青花紙をつくるオオボウシバナ

(左)道端に生えているツユクサ
(右)青花紙をつくるオオボウシバナ

子供の頃に花の汁を絞って、色水を作って遊んだ方もいらっしゃるでしょう。ツユクサは青い水を作るのに格好の植物だったと思います。いろいろある花の中でもこんなにきれいな青色をした花はそうある物ではありません。しかも、道端にいくらでも生えているのです。

ツユクサは青色の花が目立ち、すぐそれと分かりますが、もう一つよく目立つのは、鳥追い女がかぶる編み笠のような形をした緑色の総苞から花が顔を出すように咲いていることです。「ボウシバナ」の別名はこれに由来します。帽子の中には3~5輪の蕾が入っていて、次々と立ち上がって咲きます。

花は早朝に開き、正午頃には閉じ始めます。不思議なことに、閉じるとき花びらから青い液がにじみ出てきます。ですから、ティッシュなどで花に触っただけでティッシュが青く染まります。花で摺染めすると色がよく付くので、ツユクサは昔は「ツキクサ」と呼ばれ、『万葉集』などでもそう詠まれています。

ただ、この花で染めても色が留まらず、水で色落ちしてしまう欠点があります。ところが、この欠点を逆にうまく利用して、手描き友禅などの下絵を描くのにこの花を使っています。花をたくさん集めて、布袋に入れ、絞って青い液を作ります。その液を薄い和紙に刷毛で塗って、日向に干し、乾いたらまた、青い液を塗って干します。この作業を100回近く行って、和紙の重さの3倍位になったものを青花紙といいます。友禅の下絵を描く職人さんは水に浸した筆をこの青花紙につけながら下絵を描くのです。友禅染の行程の中で水に浸り、下絵は消えます。もっとも、青花紙を作る場合は、通常オオボウシバナというツユクサの大輪の品種が使われています。オオボウシバナの花は重さにしてツユクサの花のおよそ10倍もあるのです。青花紙は人工染料が発達した現在でも滋賀県の草津で生産されています。

 

緑花文化士 柴田規夫

(2017年6月掲載)

 

(左)オオボウシバナをつむ作業<br>(右)青花紙

(左)オオボウシバナをつむ作業
(右)青花紙

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