コスモスに秘められた物語 下田あや子
9月末から11月初めにかけて、国営昭和記念公園北側の花の丘やみんなの原っぱでは、色とりどりのコスモスの花が見頃を迎え、毎年コスモスまつりも開催されて賑わいます。みんなの原っぱのケヤキと共に東京のふるさと切手にもなって、まさに国営昭和記念公園を代表する花と言えるでしょう。
日本の秋の風景にとてもよく似合うコスモスですが、昔から日本に自生していた種類ではありません。元々はメキシコ原産のキク科植物です。といっても、多くの帰化植物のように、外国からの荷物に紛れて運ばれて来た訳でもありません。
明治時代の初め、西洋美術を教えるために招かれたイタリア人彫刻家が、来日の際に、故郷の自宅の庭に咲いていた花の種を持って来たとも、彼の愛弟子だった日本人女性、清原玉のためにわざわざ取り寄せたのだとも伝えられているのです。二人はやがて我が国初の国際結婚をしました。その後、夫と共にイタリアに渡ったお玉さんは、かの地で女流画家として活躍します。
コスモスは日本の風土に適していました。また、かれんな花が当時の人々にたいそう好まれて次々と植え広げられ、大正時代にはもう、全国で秋の風にそよぐほどになりました。
お玉さんは晩年になってから再び日本に帰って来ました。秋桜というすてきな名前までもらって、愛され続けている日本のコスモスを見て、何を思ったでしょうか。
ラグーザお玉こと清原玉の墓は麻布の長玄寺というお寺にあります。
緑花文化士 下田 あやこ
(2018年10月掲載)
※今回のコラムは、国営昭和記念公園で販売されている『国営昭和記念公園オリジナル 植物ガイドブック 花ごよみ』からの出典です。
過去記事一覧(敬称略)
野山の手入れと草木染め
キチジョウソウ 横山 直江
旅と植物 日名保彦
ナギの葉 松井恭
雑木林~私の大好きな庭 千村ユミ子
名札の問題 逸見愉偉
ミソハギ ~盆の花~ 三輪礼二郎
葛粉についてもっと知りたくて 柴田規夫
明治期にコゴメガヤツリを記録した先生 小林正明
「ムラサキ」の苗を育てる 服部早苗
活躍広がる日本発のDNA解析手法 植物の”新種”報告がまだまだ増えそう! 米山正寛
地に咲く風花 セツブンソウ 田中由紀子
稲架木 に会いに 松井恭
クリスマスローズを植物画で描く 豊島秀麿
カラムシ(イラクサ科) 福留晴子
園芸と江戸のレガシー 鈴木泰
植物標本作りは昔も今もあまり変わらず 逸見愉偉
カポックの復権 日名保彦
オオマツヨイグサ(アカバナ科) 横山直江
森の幽霊? ギンリョウソウ 三輪礼二郎
ジャカランダの思い出 松井恭
水を利用してタネを散布する植物 柴田規夫
都市緑化植物と江戸の園芸 鈴木泰
スノードロップの季節 服部早苗
枯れるオオシラビソ 蔵王の樹氷に危機 米山正寛
シモバシラ 森江晃三
葛布 の話 臼井治子
琥珀 松井恭
うちの藪は深山なり 千村ユミ子
神社で出会った木々 田中由紀子
光を効率よく求めて生きるつる植物 柴田規夫
モッコウバラとヒマラヤザクラ 服部早苗
志賀直哉と赤城の躑躅 小林正明
花の距 のいろいろ 古川克彌
桜の園芸文化 鈴木泰
動物を利用してタネを散布する植物 柴田規夫
お餅とカビ 森江晃三
危ない!お豆にご用心 川本幸子
風を利用してタネを散布する植物 柴田規夫
山椒の力 いつも緑のとまと
土佐で見たコウゾの栽培 米山正寛
大伴家持の愛した花 カワラナデシコ 安田尚武
「シアバターノキ」とブルキナファソ 松井恭
白い十字の花、ドクダミの魅力 柴田規夫
いずれアヤメか 三輪礼二郎
すみれの花咲く頃 川本幸子
シマテンナンショウの話 臼井治子
セツブンソウ(節分草) 森江晃三
ハイジとアルプスのシストの花 松井恭
年賀状 再び 永田順子
開閉するマツカサ 小野泰子
和の色、そして、茜染めの思い出 柴田規夫
岩 沙 参 を毎年咲かせよう 川本幸子
知らないうちに 逸見愉偉
ボタニカル・アートのすすめ 日名保彦
ハマナスの緑の真珠 志田隆文
恋する植物:テイカカズラ 古田満規子
マメナシを知っていますか? 服部早苗
桜を植えた人 伊藤登里子
春の楽しみ 鯉渕仁子
みゆちゃんのわすれもの 山岸文子
遅くなってゆく年賀状 永田順子
イソギクは化石のかわりに 古川克彌
イノコズチの虫こぶ 清水美重子
ヒマラヤスギの毬果 小野泰子
私たちのくらしと海藻 川本幸子
河童に会いに 松井恭
カラスビシャクを観察して 志田隆文
何もかも大きい~トチノキ~ 三輪礼二郎
キンラン・ギンラン 横山直江
早春の楽しみ 豊島秀麿
キンセンカ、ホンキンセンカ 佐藤久江
カラスウリの魅力 小林正明
イチョウ並木と精子 森江晃三
コスモスに秘められた物語 下田あや子
「蟻の火吹き」の語源について 志田隆文
新しい植物分類 豊島秀麿
サルスベリ(猿滑、百日紅) 宮本水文
小松原湿原への小さな旅 松村文子
野生植物の緑のカーテン 小林英成
江戸の文化を伝えるサクラソウ 黒子哲靖
工都日立のさくら物語 ―大島桜と染井吉野― 鯉渕仁子
ニリンソウ(キンポウゲ科イチリンソウ属) 佐藤久江
能楽と植物 川本幸子
サカキの冬芽と花芽 古川克彌
ケンポナシみつけた 永田順子
セイダカアワダチソウの話 逸見愉偉
ヒガンバナ、そしてふるさと 森江晃三
いにしえの薬草‘ガガイモ’ 服部早苗
トリカブトの話し 三輪礼二郎
ツユクサ、花で染めても色落ちしてしまう欠点を逆利用!柴田規夫
アサギマダラ 横山直江
「思い込み」の桜 田中由紀子
常磐の木 タチバナ 清水美重子
柿とくらし 三島好信
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