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公園管理運営チャレンジしました
第17回 園内から出た植物発生材をスムーズに堆肥化する

第17回目は、国営木曽三川公園 三派川地区で植物管理を担当し、コンポストセンターの運用を行っている一般財団法人 公園財団 柴田 雅子さんの「チャレンジ!」をお届けします。

木曽三川公園管理センター 柴田 雅子さん
木曽三川公園管理センター 柴田 雅子さん

公園の維持管理の際に出る植物発生材を処理するためのコンポストセンター

国営木曽三川公園(以下、木曽三川公園)は愛知、岐阜、三重の3県にまたがる公園で、2019年(平成31年)4月現在、13拠点が開園しています。そのひとつであるフラワーパーク江南(愛知県江南市)に2013年から植物管理の一環という位置づけでコンポストセンターの運用がはじまりました。

 

 

コンポストセンターでは、各拠点から出る剪定枝、刈草、除草した草、花壇の植替時に発生した古い花苗などの植物発生材を収集し、剪定枝は破砕、その他は堆積後、発酵させ堆肥にしています。生産した堆肥は木曽三川公園のフラワーパーク江南周辺の拠点5箇所の花畑や植栽地の土壌改良材として使ってきました。

 

 

2018年までは、毎年4月下旬に堆積しておいた前年度の植物発生材に菌を散布し仕込みを行い、5月中旬から8月中旬まで毎月1回、計4回切り返し、発酵させ堆肥を作っていました。


増えた発生材がストックしている間にヘドロ化
1年間堆積した植物発生材は下層がヘドロ化していた。

1年間堆積した植物発生材は下層がヘドロ化していた。

ところが2018年は、公園の拠点が前々年に1つ増えたこと、多雨や大型台風通過により草本類の伸びが良かったこと、樹木の枝折れが多かったことなどから、ストックしてあった植物発生材が例年よりも多く、4月下旬に堆肥づくりを開始したときには、堆積した下層部がヘドロ化していました。

 

 

それでも例年通り仕込みを行い1回目の切返しを行いましたが、堆肥の作成に必要な温度(55~60度)まで上がりませんでした。この理由として、堆肥の材料となる堆積していた植物発生材がヘドロ化していることに加えて、草本類の比率が例年より高く、水分量が多いことが考えられたため、対応策として、6月の2回目の切返しの際にチップと発酵促進剤を追加投入しました。これにより、植物発生材の温度が上がり、3ヶ月間55~60度を保ち続け、10月に無事、堆肥が完成しました。


草本類の発生量を減らす工夫を
咲き終わったソバをハンマーナイフで細かく破砕しながらの刈り取り。

咲き終わったソバをハンマーナイフで細かく破砕しながらの刈り取り。

2018年は、なんとか堆肥を作ることができましたが、植物発生材の堆積方法などを変えなければ来年も同じことが起きると考え、前項の堆肥作成と平行して次の2点の対策を行いました。

 

 

1点目は、草本類の発生材の比率を減らす対策です。刈草や花苗等草本類の植物発生材は水分量が多く、剪定枝などから作ったチップも混ぜなければ良い堆肥はできません。これまでの実績から、例年と同じように植物管理を行っていては、草本類の植物発生材が多くなると予測されました。そのため、出来る限り草本類を集積せず、植物発生材を減らす工夫をしました。具体的には、それまで「年3回集草あり」で施工していた林地の下草刈りを「集草あり1回、集草なし3回」に変更したり、咲き終わった草花や雑草を微生物資材と共に土壌にすき込み、有機物として堆肥の代わりに土壌に還元しました。

 

 

2点目の対策は、堆積した植物発生材のヘドロ化防止です。これには、コンポストセンターが運用される前に実施していた堆肥作りの方法を木曽三川公園の拠点の一つ、河川環境楽園の植物発生材仮置き場で堆積していた芝生の刈草にて試行しました(7月14日、8月3日に微生物資材を散布)。この結果、対策をとらずそのまま堆積した植物発生材は、8月21日の時点で一部ヘドロ化していたのに対して、微生物資材を散布した植物発生材は菌糸がまわり甘酸っぱい匂いがして、堆肥化するのに適した状態になっていました。この植物発生材は、そのまま堆積し、1月には一部堆肥が完成しました。これらの堆肥は河川環境楽園内の花畑の土壌改良材として使うことができました。

 

 

これらの対策により、草本類の植物発生材は前年と比較して2/3程度に減り、集草回数を減らしたことは、運搬費の縮減にもつながりました。この結果を受けて、2019年は、雑草等は出来る限り土壌にすき込み、「集草あり」の芝刈・草刈回数を減らすことにしました。その上で、4~10月に堆積している植物発生材へ微生物資材を添加し、堆肥化を行っていく予定です。

ヘドロ化を防ぐ微生物資材は納豆など身近にある食品から簡単に作成することができる。

ヘドロ化を防ぐ微生物資材は納豆など身近にある食品から簡単に作成することができる。


新たなる課題の解決に向けて
2019年4月からはコンポストセンターの草本類のストックヤードにて微生物資材を添加して堆積状態を改善する。

2019年4月からはコンポストセンターの草本類のストックヤードにて微生物資材を添加して堆積状態を改善する。

堆肥化の方針が決まりましたが、植栽地の土壌改良が概ね済んだこと、管理費の縮減により運搬、敷均し作業が制限されることから、今後、堆肥が余るようになってくると考えられました。余った堆肥をどうするか、新たな課題が発生しました。

 

 

 

そんなある時、近隣の類似施設では、生産した堆肥が駐車場の隅に積まれており、自由にもって帰ることができるようになっていることを知りました。コンポストセンターがあるフラワーパーク江南にも、お客様や農家の方から堆肥配布の問い合わせがありました。そこで、木曽三川公園でも堆肥配布に向けて関係機関に必要な手続きを行い、公園管理者である国土交通省と配布の告知方法、配布方法等について、調整を行っています。

 

 

 

コンポストセンターは、専任のスタッフがいるわけではなく、植物管理の一環で限られた予算の中で工夫や試行を重ねながら運用しているのが現状です。これらの経験をノウハウとして蓄積し、時には専門家に意見を仰ぎながら今後も実施していきたいと考えています。また、堆肥の配布にあわせて、地域の人々が家庭菜園やガーデニングを楽しむことができるような情報も発信していき、公園文化の醸成に寄与したいと考えています。

木曽三川公園のシンボルの一つ138タワー

木曽三川公園のシンボルの一つ138タワー


■関連サイト

国営木曽三川公園HP:http://kisosansenkoen.jp/index.html

 

※文中に出てくる所属、肩書等は、掲載時のものです。(2019年4月掲載)

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