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みどり花コラム
光を効率よく求めて生きるつる植物 柴田規夫

つる植物は、他の植物などにからんで、高い所まで上り、いち早く葉を光のよく当たるところで展開させます。からんだりして上るため、茎をあまり太くする必要がなく、効率よく光を得ることができるのです。つる植物をいろいろ見ているうちに、上る方法には、「くっつく」、「巻きつく」、「引っ掛ける」の3つの方法があることに気づきました。

 

クスノキを上るキヅタ

クスノキを上るキヅタ

 

「くっつく」とは、茎から付着根を出して、それで木々の幹や枝などにくっついて上る方法です。くっつくタイプの変わったつる植物としてツタがあります。カエルの足指のような形の付着盤があり、これでくっついて上るのです。付着盤はしばしば吸盤とされますが、粘液状の物質で付着しているだけで、決して吸いついているわけではありません。かなり前のことですが、粘着物質はデンプンではないかと思い、実証しようとヨードチンキを持ち歩き付着盤につけて回ったことがあります。しかし、残念ながら調べることができませんでした。ショックだったのは、不審者と思われ、声をかけられたことです。ただ、そんな人を見かけたら、怪しいと思うのも当然でしょうね。

 

「巻きつく」を分けると、①茎で巻きついたり、②巻きひげを伸ばして巻きついたり、③葉柄や複葉の場合葉軸・小葉柄で巻きついたりする、の3通りがあります。

 

「引っ掛ける」は刺や鈎状のもので引っ掛けて上ることです。植物にとって刺は動物に食べられないように枝に生えさせていることが多いですが、つる植物にとっては上に上るためにつけているのです。引っ掛けて上るつる植物の中でツルグミやマルバグミは、長い枝の先に下~横向きの短い枝を出して、それで引っ掛けて上ります。長い枝が自分の重さで弓なりに曲がり、他の植物の横向きの枝などに短い枝が引っ掛かるようにしているのです。ツルグミが、高さ10メートル以上はあろうかと思われるシイノキのほぼ天辺まで上っているのを見たことがあります。しかも、ツルグミがシイノキの南側に茂り、太陽の光を独り占めするような状態でした。

 

つる植物は光を効率よく求めて生きる姿を見ることができるだけでなく、上る方法を調べることによってその植物が何であるかおおよその見当をつけることもできるのです。それを表にしてみましたので、ご参照ください。

 

表 つる植物の上り方の分類とその例

 

緑花文化士 柴田規夫

(2022年7月掲載)

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