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みどり花コラム
動物を利用してタネを散布する植物
スミレ(エライオソームはタネ全体のほんの一部に過ぎません)

スミレ(エライオソームはタネ全体のほんの一部に過ぎません)

植物はいろいろな手段を使ってタネを散布しようとしているなかで、風を利用する場合については前回書きましたので、今回は動物を利用して散布する植物のお話をします。

 

動物散布には、①動物にくっついて散布する方法と、②動物に食料として食べさせてタネを散布する方法、および、③一部の動物が食べ物を冬に備えて貯蔵しようとする性質を利用して散布する方法があります。一般に、①を付着散布、②を被食散布、③を貯食散布といいます。

 

付着散布も鈎状のもので動物に付着するものと、粘着物質で付着するものとがあります。鈎状のものをタネにつけて動物に付着するものは、鈎状のものが雄しべ、果実、萼など、どの部位に由来しているかでいろいろ分けることができます。
被食散布では一般に鳥や獣の食料となる実がついています。ただ、中のタネは消化されないようにしてあり、実を食べた鳥や獣から糞やペリットとして排出されます。鳥や獣が移動した分タネも広範囲に散布できるのです。
貯食散布はリス、ネズミ、カケスなどの動物が後々のため実を貯蔵しておくわけですが、その個体が食べる前に死んでしまったり、食べきれなかったり、隠し場所を忘れたりした場合、タネにしてみればその分運んでもらったことになるわけです。

 

 

貯蔵散布の一つで、タネにアリの餌をつけて、アリに運んでもらうという面白いものもあります。この散布の仕方を通常アリ散布といい、タネにつけたアリの餌をエライオソームといいます。エライオソームをつけている植物にはカタクリ、スミレ、アケビなど身近に生えている植物も多くあります。

 

カタクリのタネは大きいし、エライオソームも大きいので、分かりやすいですが、入手しにくいでしょうから、スミレのタネを採ってきて、観察しましょう。庭やベランダなどアリがいることが分かっているところにタネを数粒置いておきます。あとはただアリが来るのを待つだけです。やがて、アリが来て、タネを運んでいくでしょう。

 

ただ、アリにもいろいろな種類がいて、多くの種類が運ぶようですが、全てのアリが運ぶわけではありません。筆者はアリがスミレのタネを運ぶのを何度か見ていますが、これまで写真を撮っていなかったので、その姿を撮ろうと、ベランダにスミレのタネを置き、カメラを構えて待っていました。アリがタネのそばまでやってきて、いよいよだなと思っていた折に電話がかかってき、電話に応対し終えてベランダに戻ると全てのタネがなくなっていました。写真を撮るどころか、アリがタネを運ぶ姿さえ見ることができずじまいでした。

 

緑花文化士 柴田 規夫

(2022年2月掲載)

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