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第47回 公園の魅力を見つめ直して「秋のライトアップ」できっかけづくり(足立区花畑公園・桜花亭)

第15回目は、国営讃岐まんのう公園(以下、まんのう公園)でお客様に分かりやすく、なおかつ風景に溶け込む看板の設置に取り組んでいる島崎 竜太朗さんの「チャレンジ!」をお届けします。

まんのう公園管理センター 島崎 竜太朗さん
まんのう公園管理センター 島崎 竜太朗さん

お客様の利用に影響を与える看板
写真1 子供たちに大人気の飛んで跳ねて遊べる遊具(ふわふわドーム)。

写真1 子供たちに大人気の飛んで跳ねて遊べる遊具(ふわふわドーム)。

まんのう公園は、香川県仲多度郡まんのう町にある日本最大の灌漑用のため池「満濃池」に隣接した国営公園で、毎年約50万人のお客様がいらっしゃいます。面積は約350haで、大型遊具やサイクリング、季節の花が咲く大規模花壇など様々な施設があります。

 

 

私は2017年4月に、まんのう公園管理センターの業務管理グループに配属され、施設管理担当として園内の遊具、トイレ等の便益施設、看板の管理を担当することになりました。赴任した当初から、遊具の安全点検や施設の不具合の応急処置等のために、私が園内で作業や巡回をしているとお客様から道を聞かれることがよくありました。園内で道を聞かれることが重なり、私は園内の看板がお客様にとって分かりやすいものであるか気になりはじめました。


看板のもっとも重要な役割は情報の伝達
写真2 下り坂であるためスピードが出やすいサイクリングコース。

写真2 下り坂であるためスピードが出やすいサイクリングコース。

そこで、園内にどのような看板があるのか確認し、看板の役割について調べた上で、まんのう公園の看板の課題を抽出しました。

 

 

この結果、まんのう公園には主に5種類の看板があることがわかり(図1)、仮設で設置している規制看板が多く、これらの視認性と見栄えが良くないことが課題として考えられました。過去にお客様同士がぶつかる事故が発生しているサイクリングコースには、事故が発生した都度、「スピードおとして」や「一方通行を知らせる矢印」等の規制看板を仮設で設置してきました(写真2)。

これらの看板は応急処置として設置したものがそのままになっているものもあり、公園の景観を阻害していたため撤去し、一般の道路のように、コース上に文字を書きました(写真3)。大きな白い文字と自転車のマークはお客様からきちんと認識してもらえるようになり、逆走する人が少なくなったり、「「ゆっくりはしろう」って書いてあるよ」という会話しながらスピードを落とす親子の姿が見られるようになりました。

写真3 仮設の看板をやめ、コース上に案内文字を書き、分かりやすく、視認性を上げた。

 

 

 

 

 

 


場にふさわしい看板を
写真4 昇竜の滝において、1時間に1回水が布のように流れる瀑布の説明がされている看板。

写真4 昇竜の滝において、1時間に1回水が布のように流れる瀑布の説明がされている看板。

改良した看板は、規制看板だけではありません。まんのう公園は、家族で楽しい時間を過ごす場所です。にもかかわらず、園内の看板がみすぼらしくては気分が台無しになります。まんのう公園の見所の一つである昇竜の滝を説明する文字は小さく、瀑布の説明は分かりにくい看板でした(写真4)。そこで、常設のカラーの看板に替え、実際に瀑布が流れているときの写真を大きく掲示することで瀑布以外の時間に来られたお客様にも瀑布を理解していただけるよう工夫しました(写真5)。この看板を設置してから、お客様から「わかりやすい」「見やすい」というご意見をいただくようになりました。中には、瀑布の時間に合わせて昇竜の滝に戻ってこられるお客様もいらっしゃり、看板を改良した効果を感じています。

写真5 新しく設置した看板は瀑布の時間が変更できるマグネット式にした。

写真5 新しく設置した看板は瀑布の時間が変更できるマグネット式にした。


情報収集をしながら改良を
写真6 ふわふわドームに次いで人気の超ロング滑り台エックススライダーは、メインの駐車場から離れた場所にあるため誘導看板は重要。

写真6 ふわふわドームに次いで人気の超ロング滑り台エックススライダーは、メインの駐車場から離れた場所にあるため誘導看板は重要。

園内を見渡すと様々な場所で文字が小さく見づらかったり、仮設のままの看板があります。常設している誘導看板でも、更新のタイミングなどに、見やすい洗練されたデザインの看板に替えることもできます。このため、日頃から街中や海外の公園等で見かける素敵な看板やサインを常チェックしアイデアを蓄積しています。また「高等学校と公園の連携によるまんのう公園プロジェクト」の活動の一つとして、デザインを勉強している香川県立善通寺第一高等学校の生徒さんから、まんのう公園の看板についての提案をいただくこともあります。高校生からの提案は、公園を使う人の目線から見たもの、若い感性が反映されたもので、新しい気づきがあります。

 

 

日々の情報収集や様々な人の意見を参考にしながら、まんのう公園で多くのお客様が迷うことなく様々な施設を利用し、安心して楽しい思い出を作り、「また、まんのう公園に行きたい!」と思っていただけるよう、今後も看板の改良に取り組んで行きます。


■関連サイト

国営讃岐まんのう公園HP:https://sanukimannoupark.jp/

 

 

※文中に出てくる所属、肩書等は、掲載時のものです。2018年12月掲載

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