開園して間もない本公園にはいくつかの課題がありました。そのひとつが公園のメイン施設である平城宮いざない館内にある文化財も展示できるほどの設備が整う大きな企画展示室でした。魅力ある施設である一方で維持管理費には限りがあるため、これに見合う展示を季節毎に企画し、実施するのは一苦労でした。特に文化財の展示にはその保険代が想像以上に高く、1回の展示会で年間予算をオーバーするほどでした。もうひとつは公園の認知度向上です。奈良市内の最大の観光地である奈良公園や東大寺に比べると知名度はまだまだ低く、リピーターであるコアの歴史ファンだけでなく、先ずは1度公園に足を運んでいただくきっかけづくりをして、利用のすそ野を広げていく必要がありました。
講演会が終了した後に、小西さんたちとお茶を飲みながら講演会の出来や感想について雑談に花を咲かせていました。その時に日本植物画倶楽部が各地で定期的に作品展を開催していること、その会場探しに苦労していることを知りました。公園は企画展示室の活用が課題でしたので、両者の思惑が合致しました。
次に企画展のテーマについてです。折しも、講演会が実施された2019年は「令和」に改元された年であり、「万葉集」に注目が集まっていました。万葉歌に詠まれた「万葉植物」にスポットをあてて作品を描いてもらい、万葉歌の解説をつけることにより歴史、歌、植物、アートなど様々な分野に関心のある方々に発信し、交流につなげたい。「新作で展示会を開催するのならば、私も1種類描きますよ。」との山中さんの言葉にも後押しされて、テーマが定まりました。
その後の話ですが、植物画倶楽部の中で調整が図られ、描きたい植物が重ならないよう人選と新規作品を描くために少なくとも2年~3年は必要との見解でした。そこで本企画展を公園開園5周年企画と位置づけて準備を進めることとしました。ちょうど国が整備を進める第一次大極殿院南門の完成時期とも重なります。またその過程で山中さんがイギリスに帰り、英国王立キュー植物園主席画家クリスタベル・キングさんに声掛けいただいたことでさらに輪が広がりました。余談ですが、日本植物画倶楽部にとって、他団体との共催企画により新たに作品を書き起こして展示会を開催するのは今回が初めての試みであり挑戦であったようです。
第50回 公園散策を楽しめるセルフガイドマップ(新宿中央公園)
第49回 ステキな公園はスタッフの健康から「‘キラリ’健康プロジェクト」(国営みちのく杜の湖畔公園)
第48回 中学生の提案から始まった、ボール遊びができる公園の整理(千葉県船橋市)
第47回 公園の魅力を見つめ直して「秋のライトアップ」できっかけづくり(足立区花畑公園・桜花亭)
第46回 “五感”を満たす空間づくり ~統一感あるデザインと、一貫したコンセプトを守っていく~ (いばらきフラワーパーク)
第45回 サステナブルな堆肥づくり「バイオネスト」の可能性 (国営木曽三川公園 138タワーパーク)
第44回 都心に残るゲンジボタル(国立科学博物館附属自然教育園)
第43回 大池公園さくら再生プロジェクト!(大池公園)
第42回 初の産学連携!地元の高校生と協同で商品開発!(稲毛海浜公園)
第41回 冬の新宿を彩るCandle Night @ Shinjuku(新宿中央公園)
第40回 20年目を迎える「第20回日比谷公園ガーデニングショー2022」を開催(都立日比谷公園)
第39回 多様な生き物と人が集まるビオトープを作る!(国営アルプスあづみの公園)
第38回 いにしえの植物を万葉歌と共に楽しむ 万葉植物画展「アートと万葉歌の出逢い」(平城宮跡歴史公園)
第37回 来園者も参加する獣害対応防災訓練(静岡県立森林公園)
第36回 「みどりの価値」を指標化し、「こころにやさしいみどり」をつくる(株式会社日比谷アメニス)
第35回 時代のニーズをとらえた花畑を(国営昭和記念公園)
第34回 身近な公園でパラリンピック競技を体験する(むさしのの都立公園)
第33回「写真を撮りたくなる」公園づくり(小豆島オリーブ公園)
第32回 「自然学習」アプリは「広い園内で遊べる」ツール(国営昭和記念公園)
第31回 Onlineでも環境教育を(Project WILD)
第30回 コロナ禍でも市民と共に活用できる公園(兵庫県立尼崎の森中央緑地)
第29回 音楽に親しむ公園の「森のピアノ」(四万十緑林公園)
第28回 植物に関するミッションでリピーターを増やす(小田原フラワーガーデン)
第27回 猛威を振るう外来のカミキリムシを探せ(栃木県足利市)
第26回 地域と協働したプロジェクト(播磨大中古代の村(大中遺跡公園))
第25回 地域住民の意見を聞きながら公園の魅力を維持・向上させる(東京都足立区)
第24回 Stay Homeでも公園を楽しむ(国営武蔵丘陵森林公園)
第23回 できる人が、できる時に、できることを(諫早市こどもの城)
第22回 雪を有効活用して公園に笑顔を(中山公園)
第21回 地域をつなぎ、喜びを生み出す公園(柏崎・夢の森公園)
第20回 絵本の世界を楽しみながら学ぶことのできる公園(武生中央公園)
第19回 全国に注目されるゴキブリ展を開催(磐田市竜洋昆虫自然観察公園)
第18回 大蔵海岸公園のマナードッグ制度(大蔵海岸公園)
第17回 園内から出た植物発生材をスムーズに堆肥化する(国営木曽三川公園)
第16回 地域の昔話を学ぶことのできる公園(坂出緩衝緑地)
第15回 公園の看板に一工夫(国営讃岐まんのう公園)
第14回 地域に貢献する農業公園(足立区都市農業公園)
第13回 公園のイベントを通して子供たちに「外遊び」を提供!(雁の巣レクリエーションセンター)
第12回 生き物の面白さを伝える動物公園(多摩動物公園)
第11回 増大かつ多様化する公園利用者に対応する施設管理(国営ひたち海浜公園)
第10回 弘前公園のサクラを後世に引き継ぐ(弘前公園)
第9回 未来につづく公園づくり(大野極楽寺公園)
第8回 生き物にふれあえる公園づくり(桑袋ビオトープ公園)
第7回 発生材を有効活用する(公益財団法人 神奈川県公園協会)
第6回 幻の青いケシ(国営滝野すずらん丘陵公園)
第5回 「街路樹はみんなのもの」という意識を(東京都江戸川区)
第4回 最良の門出を祝う「ローズウェディング」(国営越後丘陵公園)
第3回 感謝の気持ちを伝えるくまモン(水前寺江津湖公園)
第2回 ふるさと村で人形道祖神を紹介(国営みちのく杜の湖畔公園)
第1回 様々な競技会にチャレンジ!(国営木曽三川公園)