今もすでに始まっていますが、地域との連携をもっともっと強化していきたいと考えています。フラワーパークをきっかけに地域全体のファンにもなってもらいたいと思っています。地域連携はどんどん力を入れていきたい部分で、宿泊ツアーの第2弾を計画しています。
計画の段階で、「バラのトンネルの中で食事ができたらいいな」とパースの一つに描いていたところ、それが実現しました。バラに囲まれた場所でランチを食べるのがメインのイベントですが、出てくるのは全て地元の食材です。地元食材を使うだけではなく、地元食材の生産現場を見学するツアーもあわせて行っています。日帰りプランでは朝、フラワーパークに集合して、トゥクトゥクに乗って、参加者みんなで野菜畑や果樹園など、地元の生産者2軒ほど巡って、フラワーパークに戻ってランチを食べ、午後はバラのブーケづくりをするという企画です。花に囲まれた空間で食事をする、という体験だけではなく、食材がどう作られているのかとか、生産者のこだわりに触れられることで、食事の時間に深みを持たせられると思っています。その体験や時間が価値になるし、「この地域は野菜もすごく美味しい、花もきれいでいい場所だな」と、地域のファンになってもらうことを目標にしています。
園内のレストランやカフェで仕入れている地元生産者の情報を記事にしてインスタグラムで紹介することも今年から始めました。これまでレストランで仕入れているイチゴ農家、シャインマスカット農家のほか、マーケットで仕入れているリシアンサスの切り花農家を紹介しています。これも今後どんどんやっていきたいと思っています。
これらが代表的な地域連携企画ですが、その他にも地元の人限定のマルシェイベント「八郷マルシェ」を開催しています。出店者は全て地元の方で、野菜や果樹の農家さんや、ツルで籠を編む作家さん、スカイスポーツの事業者など、当園が位置する八郷地区の魅力が詰まった約50店舗が出店します。年2回くらいやっていて、10/1で4回目の開催となります。
現在は特に、地元の魅力をピックアップして、園を通じて地域の魅力を発信する拠点となることを目指しています。観光協会的な活動までするつもりはありませんが、生産者と繋がりながらゆるやかに発信していきたいと思っています。
また、今後の課題は「園のコンセプトが維持され続けること」だと思っています。誰かがいなくなったら終わりではなく、園としてのスピリットとなるスタッフ共通の意識を醸成していけば、持続的にコンセプトを一貫して守っていけると考えています。
また、繁忙期と閑散期の差が激しいことも課題の一つです。当園は指定管理施設ですが、指定管理料なしの独立採算で管理運営しており、季節の差による経営の難しさを感じています。一方で、それを成立させていかないと、全国にある当園のような施設は減少していってしまう気がしています。行政の支援を最小限に抑えて運営できる事業モデルをフラワーパークで作って、それが全国に拡がっていけばいいなと考えています。
全国に、花や自然との距離が近づく場所が増え、ふと花に触れたい自然を感じたいと思った時、苦労せずアクセスできることが理想であり、それを実現させるためにも、持続的な運営体制を確立したいと考えています。
■関連ページ
▼いばらきフラワーパーク
▼いばらきフラワーパーク 公式Instagram
https://www.instagram.com/ibarakiflowerpark/
※文中に出てくる所属、肩書、情報などは、掲載時のものです。画像無断転載厳禁。
(2023年11月掲載)
第50回 公園散策を楽しめるセルフガイドマップ
第49回 ステキな公園はスタッフの健康から「‘キラリ’健康プロジェクト」(みちのく公園)
第48回 中学生の提案から始まった、ボール遊びができる公園の整理(船橋市)
第47回 公園の魅力を見つめ直して「秋のライトアップ」できっかけづくり(足立区花畑公園・桜花亭)
第46回 “五感”を満たす空間づくり ~統一感あるデザインと、一貫したコンセプトを守っていく~ (いばらきフラワーパーク)
第45回 サステナブルな堆肥づくり「バイオネスト」の可能性 (国営木曽三川公園 138タワーパーク)
第44回 都心に残るゲンジボタル(国立科学博物館附属自然教育園)
第43回 大池公園さくら再生プロジェクト!(大池公園)
第42回 初の産学連携!地元の高校生と協同で商品開発!(稲毛海浜公園)
第41回 冬の新宿を彩るCandle Night @ Shinjuku(新宿中央公園)
第40回 20年目を迎える「第20回日比谷公園ガーデニングショー2022」を開催(都立日比谷公園)
第39回 多様な生き物と人が集まるビオトープを作る!(国営アルプスあづみの公園)
第38回 いにしえの植物を万葉歌と共に楽しむ 万葉植物画展「アートと万葉歌の出逢い」(平城宮跡歴史公園)
第37回 来園者も参加する獣害対応防災訓練(静岡県立森林公園)
第36回 「みどりの価値」を指標化し、「こころにやさしいみどり」をつくる(株式会社日比谷アメニス)
第35回 時代のニーズをとらえた花畑を(国営昭和記念公園)
第34回 身近な公園でパラリンピック競技を体験する(むさしのの都立公園)
第33回「写真を撮りたくなる」公園づくり(小豆島オリーブ公園)
第32回 「自然学習」アプリは「広い園内で遊べる」ツール(国営昭和記念公園)
第31回 Onlineでも環境教育を(Project WILD)
第30回 コロナ禍でも市民と共に活用できる公園(兵庫県立尼崎の森中央緑地)
第29回 音楽に親しむ公園の「森のピアノ」(四万十緑林公園)
第28回 植物に関するミッションでリピーターを増やす(小田原フラワーガーデン)
第27回 猛威を振るう外来のカミキリムシを探せ(栃木県足利市)
第26回 地域と協働したプロジェクト(播磨大中古代の村(大中遺跡公園))
第25回 地域住民の意見を聞きながら公園の魅力を維持・向上させる(足立区)
第24回 Stay Homeでも公園を楽しむ(国営武蔵丘陵森林公園)
第23回 できる人が、できる時に、できることを(こどもの城)
第22回 雪を有効活用して公園に笑顔を(中山公園)
第21回 地域をつなぎ、喜びを生み出す公園(柏崎・夢の森公園)
第20回 絵本の世界を楽しみながら学ぶことのできる公園(武生中央公園)
第19回 全国に注目されるゴキブリ展を開催(磐田市竜洋昆虫自然観察公園)
第18回 大蔵海岸公園のマナードッグ制度(大蔵海岸公園)
第17回 園内から出た植物発生材をスムーズに堆肥化する(国営木曽三川公園)
第16回 地域の昔話を学ぶことのできる公園(坂出緩衝緑地)
第15回 公園の看板に一工夫(国営讃岐まんのう公園)
第14回 地域に貢献する農業公園(足立区都市農業公園)
第13回 公園のイベントを通して子供たちに「外遊び」を提供!(雁の巣レクリエーションセンター)
第12回 生き物の面白さを伝える動物公園(多摩動物公園)
第11回 増大かつ多様化する公園利用者に対応する施設管理(国営ひたち海浜公園)
第10回 弘前公園のサクラを後世に引き継ぐ(弘前公園)
第9回 未来につづく公園づくり(大野極楽寺公園)
第8回 生き物にふれあえる公園づくり(桑袋ビオトープ公園)
第7回 発生材を有効活用する(公益財団法人 神奈川県公園協会)
第6回 幻の青いケシ(国営滝野すずらん丘陵公園)
第5回 「街路樹はみんなのもの」という意識を(東京都江戸川区)
第4回 最良の門出を祝う「ローズウェディング」(国営越後丘陵公園)
第3回 感謝の気持ちを伝えるくまモン(水前寺江津湖公園)
第2回 ふるさと村で人形道祖神を紹介(国営みちのく杜の湖畔公園)
第1回 様々な競技会にチャレンジ!(国営木曽三川公園)