第34回は、身近にある公園で様々なスポーツ教室やイベントを行い、体を動かす楽しさを伝えたり、新しいスポーツを普及啓発する西武・武蔵野パートナーズの内田貴之さんの「チャレンジ!」をお届けします。
内田貴之さん
むさしのの都立公園は、東京都の都市部と丘陵地・山地の中間に位置する8つの都市公園、緑道を指し(図1)、西武・武蔵野パートナーズ(西武造園株式会社、NPO法人NPO birth、ミズノスポーツサービス株式会社、一般社団法人 防災教育普及協会)が指定管理者として管理運営を行っています。
むさしのの都立公園では、公園で見られる動植物を紹介し環境教育を行うパークレンジャーや、イベントの企画運営や地域との連携を担うパークコーディネーター、公園での運動や健康づくりをサポートするスポーツコーディネーター等、専門スタッフを配置しています。
スポーツコーディネーターは、年間150件以上のスポーツ教室・イベントをむさしのの都立公園で実施しています。身近な公園を健康づくりに活かしてもらえるように、ウォーキングやストレッチなど公園で簡単にできる運動の方法を伝える教室、親子で楽しめる教室のほか、1日で多様なスポーツ体験ができる「チャレンジキャラバン」など、スポーツに関する様々な教室やイベントを開催しています。これらのスポーツ教室は、勝ち負けを競うのではなく、青空の下で体を動かすことの気持ちよさやスポーツの楽しさを知ってもらう機会になっています(表1)。
スポーツ教室やスポーツイベントでは、フラフープやパラバルーン、ミズノ(株)独自開発の計測器具ヘキサスロンを使った運動遊びなど、新しいスポーツ等の普及活動も行っています。更に、障害者スポーツを体験できる機会も作っています。これまで、目隠しをして鈴の入ったボールを扱う「ブラインドサッカー」や、離れた場所からゴールに向けてフライングディスクを投げる「アキュラシー」、投球したボールを目標に近づけることを競う「ボッチャ」等、東京2020パラリンピック競技大会(以下、パラ大会)の正式種目などの体験会を実施してきました。特に、ボッチャは、老若男女問わず楽しめるスポーツとして、積極的にプログラムに取り入れてきました。武蔵国分寺公園では、国分寺市スポーツ振興課との連携を実現し、用具の貸し出しや指導員の派遣などの協力を得ながら、チャレンジキャラバン内で定期的に体験企画を実施してきました。イベント当日に気軽に参加できる形で実施してきたため、様々な人が気軽にパラ競技を楽しんでくれました。
ある時、車いすで公園に遊びに来られた年配の女性が「車いすに乗っていてもできるならやってみたい。」とボッチャに挑戦されました。その女性は、ボッチャをやるのは初めて、とのことでしたが、みるみるうちにコツを覚え、白い目標球(ジャックボール)にぴったりと近づけられるようになり、楽しそうにボッチャをしている姿がとても印象的でした。
2020年になり、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)がまん延するにつれ、スポーツ教室の中止、実施方法の変更を余儀なくされました。2月25日からはすべてのスポーツ教室が中止となりましたが、10月頃からは、定員を減らして事前申込制にし、参加者は必ず検温や健康状態のチェックを行うことを条件に、ウォーキング教室や走り方教室など、3密回避ができるスポーツ教室から順次再開しました。
しかし、これまで積極的に実施してきたボッチャ体験会は3密回避が難しいため、12月6日(日)に開催した「あおぞら★チャレンジキャラバン2020」では、「パラリンピック競技ボッチャ展示コーナー!」を設置しました。展示コーナーには、東京都障害者スポーツ協会や国分寺市スポーツ振興課協力のもと、ボッチャに使う道具やルールを解説したパネルを展示しました。今後は、コロナの状況を見ながら、少しずつ体験会などを復活させ、一人でも多くの方に楽しんでもらうとともに、ボッチャの試合の様子を多くの方に見ていただけるような工夫もしていきたいと思います。
今年(2021年)8月にパラ大会の開催が予定されていますが、ボッチャを公園で体験した人がパラ大会に興味を持ち、ボッチャをはじめ様々なパラスポーツの観戦を楽しんでくれることを期待しています。今後も東京2020大会のレガシーとして、ボッチャをはじめとする様々なスポーツを楽しむことのできる体験会などを続け、老若男女誰もが身近な公園を日々の健康づくりに活かしていけるような取組を実施していきたいと考えています。
関連ページ
むさしのの都立公園:https://musashinoparks.com/
(2021年7月掲載)
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