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第33回「写真を撮りたくなる」公園づくり(小豆島オリーブ公園)

第30回目は、市民と共にコロナ禍における公園利用について考え、実験的な取り組みを行っている兵庫県立尼崎の森中央緑地(兵庫県尼崎市)の「チャレンジ!」をお届けします。

 

「森の会議」参加者(2020年9月5日(土)開催分)
「森の会議」参加者(2020年9月5日(土)開催分)

公園を中心にまちづくりを目指す「森の会議」
中央緑地の将来像。<br/>手前が100年かけて育てていく森(未開園区域)で、高架橋奥のはじまりの森や中央の大芝生広場とパークセンターが現在開園している

中央緑地の将来像。
手前が100年かけて育てていく森(未開園区域)で、高架橋奥のはじまりの森や中央の大芝生広場とパークセンターが現在開園している

兵庫県では、尼崎臨海地域を魅力と活力あるまちに再生するため、水と緑豊かな自然環境の創出による環境共生型のまちづくりをめざす「尼崎21世紀の森構想(以下、森構想)」を策定し、それを先導する拠点地区として「兵庫県立尼崎の森中央緑地(以下、中央緑地)」が整備され、2020年12月現在18.9haが開園しています(計画面積約29ha)。

 

森構想を推進するにあたり、中央緑地では市民との協働で行う森づくりに加え、市民がイベントやアイデアを持ち寄り実現へ向けて企画・実施する場として、「森の会議」が兵庫県及び尼崎市の運営により2013年12月から毎月1回開催されています。私たち指定管理者である兵協・尼協・阪神共同体は、「森の会議」がスムーズに運営できるよう当日の司会進行や、他の公園利用との調整、市民が参加しやすい雰囲気づくり、積極的な広報を行っています。「森の会議」には、毎回20代から60代の男女20~30名程度が集まり、中央緑地で行うイベントについて宣伝したり、やってみたい活動について話し合ったり、地域の話題を情報共有したりしています。

 

例えば、「あまがさきモリンピック」は「森の会議」をきっかけに始まったイベントで、5人一組で間伐材を目分量で20kg量り運ぶ競技や、芝生の上を寝たまま転がり進む競技等、中央緑地の施設を活かしたり、森づくりの作業で出てくる間伐材等を活かした独自の競技を2018年、2019年秋に実施し、2020年秋にも実施予定でいました。

 

 

2019年のモリンピックの様子。<br/>5人一組で、目分量で間伐材20Kgを計って運ぶ競技

2019年のモリンピックの様子。
5人一組で、目分量で間伐材20Kgを計って運ぶ競技


コロナ禍でも「森の会議」を開こう!
コロナの前の「森の会議」の様子。<br/>男性が8割、女性が2割で男性の参加者が多い

コロナの前の「森の会議」の様子。
男性が8割、女性が2割で男性の参加者が多い

2020年には「森の会議」は7年目となり、中央緑地だけでなく、森構想エリアの尼崎北堀運河等での活動についても議題とするなど、しっかりと森構想推進の一翼を担ってきました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中央緑地でも、当面の間公園でのイベントなどを延期、中止せざるを得なくなり、3月、4月の「森の会議」も中止となりました。

 

「森の会議」が中止となった期間中、私たちスタッフの元には、「森の会議」に関わっている様々な市民から活動の近況や今後の活動再開に向けての取り組みなどがメールなどで寄せられました。コロナ禍でも何とか工夫をして「森の会議」を再開できないか、兵庫県や尼崎市とも相談し、5月9日の「森の会議」はオンラインで実施しました。

 

オンラインの会議には、「森の会議」の常連参加者を中心に約17名の参加があり、距離を取りながら公園を利用する「ソーシャルディスタンシング研究」のメニューを考えました。糸電話での会議など考えたメニューのいくつかは、次回6月の「森の会議」にて中央緑地に集い、検証してみることにしました。

 

5月に実施したオンライン会議では、<br/>画面越しでも顔を合わせることの大切さを実感した

5月に実施したオンライン会議では、
画面越しでも顔を合わせることの大切さを実感した


「ソーシャルディスタンシング研究」を経て「日常以上イベント未満」の催しを
糸電話は分岐していても会話ができることを発見

糸電話は分岐していても会話ができることを発見

6月6日の「森の会議」では、常連、その友人、SNSなどで会議を知った人、当日たまたま来園していた人などが参加し、いつもよりも多い約50人が集まりました。

 

芝生に白線で引いた直径3メートルの円に沿って距離を保ちながら自己紹介をした後、「糸電話で会議はできるのか?」という実験をしました。参加者は、久々に見る糸電話に歓声を上げながら、糸電話でしりとりをしたり、複数人で話しても聞こえるか試していました。また、間伐材を使ってできる新しいスポーツを考えたり、ライン引きを使って直径3メートルの円を地面に描き、対人距離を可視化したり、様々なメニューに取り組みました。

 

これを受けて、7月には、ソーシャルディスタンスを取りながら公園でできる活動について話し合い、今年中止になったスポーツやヨガ、森の自由研究を毎年秋に実施していた「あまがさきモリンピック」と合わせ、11月1日(日)に「AMAGASAKI 2020」として開催することにしました。

 

「AMAGASAKI 2020」では、大芝生広場に直径20メートルの円を、五輪をイメージして5つ描き、5つのアクティビティ(ヨガ、森の自由研究、モリンピック、今年度より新たに開始したモルック※、おうちに眠っている楽器をもちよっての演奏)を行いました。マスク着用、手指の消毒、検温等の感染対策をとっていただければ、誰でも気軽に参加できるイベントとして実施し、約200人の参加がありました。

 

※モルックとは、フィンランド発祥のスポーツで、モルックと呼ばれる木の棒を投げ、点数の書いてある木製のピンを倒し、50点得点すると勝ちとなります。中央緑地では、間伐材を利用して実施するという提案があり、何度かの試行を経て「AMAGASAKI 2020」で実施しました。この日、モルックの円は想像以上に盛り上がり、「尼崎モルッククラブ」が立ち上がりました。

 

「AMAGASAKI 2020」では、感染対策を行いながらイベントを楽しんだ

「AMAGASAKI 2020」では、
感染対策を行いながらイベントを楽しんだ

直径3mの円を描き、ソーシャルディスタンスが可視化されると、くつろいだ気分になる

直径3mの円を描き、ソーシャルディスタンスが可視化されると、くつろいだ気分になる


今後の活動に向けて
老若男女楽しむことができるのも<br/>モルックの魅力の一つ

老若男女楽しむことができるのも
モルックの魅力の一つ

11月7日の「森の会議」では、11月1日に実施した「AMAGASAKI 2020」の振り返りを行い、「中央緑地で開催している別の企画とコラボできてよかった」「それぞれのサークルで遊んでいる人を見てまわる感覚は遊園地のようでした」など、初めての試みならではの感想が聞かれました。

 

その後、冬に向けて森の会議でやってみたいことを話し合ったところ、「AMAGASAKI 2020」で実施したモルックが想像以上に楽しかったことから、モルックの生まれ故郷であるフィンランドにちなんだ企画を考えることにしました。フィンランドについて話し合っているうちに、「本場のようにソーセージを焼きながらモルックがしたい!」という声も上がり、社会実験として森の会議で試行しながら、公園でのイベントとしてどのような形で実現できるかを探っていきたいと考えています。

 

コロナ禍での公園運営について、公園の管理者や指定管理者だけが考えるのではなく、市民からアイデアや希望を聞きながら、新しい公園のあり方、公園を中心としたまちづくりへの発展を考え、「森の会議」に取り組んでいきます。

 

関連ページ

兵庫県立尼崎の森中央緑地ホームページ /http://www.hyogo-park.or.jp/amagasaki

尼崎21世紀の森 Web Magazine http://ama21mag.jp/

 

 

※文中に出てくる所属、肩書、情報などは、掲載時のものです。(2020年12月掲載)

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