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第33回「写真を撮りたくなる」公園づくり(小豆島オリーブ公園)

第27回目は、2012年に日本国内で生息が確認され、街路樹や果樹を枯らしている外来昆虫クビアカツヤカミキリの駆除に、市民の協力を得て取り組んでいる足利市の「チャレンジ!」をお届けします。

足利市生活環境部環境政策課 <ruby><rb>小此木</rb><rt>おこのぎ</rt><rb>也実</rb><rt>なりみ</rt></ruby>さん
足利市生活環境部環境政策課 小此木おこのぎ也実なりみさん

特定外来生物に指定されたクビアカツヤカミキリ
クビアカの成虫は6月から8月に発生する<br>(写真提供:栃木県)

クビアカの成虫は6月から8月に発生する
(写真提供:栃木県)

クビアカツヤカミキリ(以下、クビアカ)は、中国や朝鮮半島が原産の大型のカミキリムシです。日本では、2012年に愛知県で確認されたのを初めとして各地で発見され、現在は東京、大阪など11都府県で確認されています。栃木県足利市では2016年7月の成虫発見後、毎年発見されています。

 

 

クビアカは、主にサクラやモモ、ウメなどのバラ科の樹木に卵を産みつけます。ふ化した幼虫は2~3年かけて樹木内部を食べて育つため、被害を放置すると枯死してしまう可能性があり、花見の名所や果樹園農家に被害を及ぼすほか、街路樹などに寄生すると落ち枝や倒伏の原因となります。また在来のカミキリムシに比べ繁殖力が強く、年々被害木が増加しています。このように、景観や農業、生態系に大きな影響を及ぼす可能性があることから、2018年には外来生物法に基づく特定外来生物に指定されました。

 

クビアカの防除は、いかに幼虫の段階で発見し被害を食い止め、また成虫の移動を防ぐかがカギであり、幼虫がフラス(木くずと糞が混ざったもの)を排出する時期を中心に市内を見回り、幼虫と成虫を見つけて捕殺する地道な対策が必要です。しかし、市役所の担当職員、果樹園農家などの関係者だけで見回るには限界があります。そこで、クビアカを探す目を多くするために、市民にも協力してもらうことにしました。


防除のために市民が協力する「クビアカみっけ隊」を結成
かりんとうのような木くず(フラス)が大量に出るのが<br>クビアカの幼虫の特徴(写真提供:足利市)

かりんとうのような木くず(フラス)が大量に出るのが
クビアカの幼虫の特徴(写真提供:足利市)

クビアカの被害を食い止めるため、市の広報紙やホームページ、自治会の回覧などでクビアカの情報を提供するだけでなく、積極的に市民に参加してもらう仕組みづくりを考え、結成されたのが「クビアカみっけ隊」です。「クビアカみっけ隊」は、あらかじめ市に隊員登録してもらい、クビアカやフラスを発見したら報告するもので、昨年度(2019年度)から募集を開始しました。

 

「クビアカみっけ隊」は市内に在住、在勤、在学の小学生以上の人を対象とし、電話で市環境政策課へ入隊申し込みをしてもらいます。活動内容は、市内の公園や河川敷、学校などにあるサクラ・ウメ・モモを対象にフラスの排出や成虫の有無を確認し、フラスを発見した場合は環境政策課へ報告を、成虫を発見した場合はできる限り捕殺し、報告することです。活動期間は幼虫がフラスを出し始める時期(概ね4月)からとし、昨年度は9月末までとしましたが、昨年の状況を踏まえ、今年度は10月末までに延長しました。

 

活動初年度となる昨年度は子供から85歳までの老若男女107人が入隊しました。小学生には、保護者と一緒に活動してもらうようお願いしているため、ご家族の方と入隊してくれる人が多くみられました。昨年度は、34件のフラスの発見報告があり、今年度も昨年度入隊した隊員に加え新たに入隊した隊員から少しずつ報告が寄せられています。

 

環境政策課では、報告を受けた後、現地を確認し、必要に応じて幼虫の開けた穴から薬剤を注入して駆除をしたり、ネットを巻き、成虫が発生したときに拡散しないよう処置をしたりしています。

隊員の方も積極的に駆除をしてくださっていますが、「クビアカの成虫を捕殺するのは抵抗がある」等の意見もあります。クビアカは特定外来生物に指定されており許可なく飼育したり運んだりすることができないため、できる限りその場で捕殺してもらうか、逃げないように袋などに捕まえ、捨ててもらうようお願いしています。

 

 

ネットを巻きつけ、成虫の拡散防止を図った後も定期的な見回りが必要(写真提供:足利市)

ネットを巻きつけ、成虫の拡散防止を図った後も定期的な見回りが必要(写真提供:足利市)


市民一人ひとりに感心を持ってもらうために
エコバッグと隊員証、クビアカカードいずれも<br>小此木さんがデザインした(写真提供:足利市)

エコバッグと隊員証、クビアカカードいずれも
小此木さんがデザインした(写真提供:足利市)

クビアカについては「クビアカみっけ隊」の隊員募集も含め、市の広報紙、ホームページ、自治会の回覧、小学校へのチラシ配布によって広報をしています。今年度はさらに市内の公民館でもチラシを配布し、周知を図っています。

 

また、入隊特典として、オリジナルエコバッグと隊員証、クビアカカードを進呈しています。エコバッグは虫が苦手な人でも親しみを持ってもらえるようなデザインとなっており、隊員からの評判も上々です。特に今年はレジ袋が有料になるため、隊員にエコバッグを日常的に使ってもらえれば、「クビアカみっけ隊」のPRにつながるのではないかと期待しています。クビアカカードは表面にクビアカの写真、裏面にクビアカの生態などが書かれています。隊員には、単にフラスや成虫の発見報告に協力していただくだけでなく、隊員自身が色々な人にカードを配ってクビアカの被害や駆除について周知したり、「クビアカみっけ隊」のPRができるよう、5枚ずつお渡ししています。

 

足利市では「クビアカみっけ隊」の活動を通して、多くの市民の協力を得てクビアカの駆除を続けていくとともに、地域の環境を守る活動に取り組んでいきます。

 

サクラの名所を守るためにも、クビアカを撲滅させたい<br>(写真提供:足利市)

サクラの名所を守るためにも、クビアカを撲滅させたい
(写真提供:足利市)


■関連ページ

足利市 緊急SOS!!!「クビアカみっけ隊」隊員大募集!!足利市クビアカツヤカミキリ撲滅大作戦! 

https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/page/kubiakamikke.html

 

※文中に出てくる所属、肩書、情報などは、掲載時のものです。(2020年8月掲載)

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