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芹ヶ谷公園に誕生した「せりがや冒険遊び場」

遊び場づくりの原点「たぬき山」

1998年、日本冒険あそび場づくり協会の研修会に参加したとき、公園や空地を使ってプレーパークを実施している人の話を聞きました。私はその話に刺激を受け、「いつか地域の自然の中に遊び場を作りたい」という思いがふくらみました。

 

その頃、地域で開催していた行事「どんど焼き」で使う焚き木を、近隣の地主さんの山林で拾わせてもらっていました。その地主さんに、子どもたちの遊び場づくりの場所を探している話をしたところ、地主さんが所有する里山を貸してくれることになりました。その里山は鬱蒼としていましたが、竹林などを適度に伐採してくれていたおかげで、秘密基地を思わせるような自然あふれる理想的な遊び場ができました。その里山には野生のたぬきが生息していたことから、遊び場の名称は「三ツ又冒険遊び場たぬき山」に決まりました。子どもたちからは「たぬき山」という名で親しまれ、小学生を中心とした子どもたちが毎回遊びに来るようになりました。地主さんには水道やトイレを設置していただき、その後、多くの子どもが自転車で遊びに来るため、所有する山の一部を削って駐輪場を作って下さる等、多くの支援をしていただきました。

 

遊び場づくりのために数々のご厚意に恐縮する当会に対し、地主さんは、田や畑が次々と住宅地に開発されていく中で、少しでも木々や緑を残したかったという思いを話してくれました。

約15年間、子どもの遊び場として土地を無償で貸してもらいましたが、「たぬき山」は2014年3月に閉鎖が決まりました。子どもたちのために遊び場を作り、当会に協力してくれた地主さんには、感謝の言葉しかありません。

 

◆芹ヶ谷公園で冒険遊び場の再開

「せりぼう」の手作りの遊び場(一例)

竹の基地

 

当会は「たぬき山」が閉鎖されることで、別の場所での再開を市に要望したところ、市は芹ヶ谷公園内の約4,500㎡の斜面に常設の冒険遊び場の設置を決めてくれました。新たな遊び場は、たぬき山よりも広く自然豊かです。そして何よりも誰もが気軽に利用する公園の中にあるという素晴らしい環境でした。遊び場の名称は「せりがや冒険遊び場」(以下、通称の「せりぼう」)に決まり、2014年9月にオープンしました。

芹ヶ谷公園は、JR・小田急町田駅から徒歩15分程の場所にあり、豊かな緑と水の中に彫刻が点在する公園です。ジャブジャブ池やせせらぎ、虹と水の広場、ターザンロープや各種遊具のある冒険広場、多目的広場などを整備しています。そして桜や藤棚、カキツバタ園など、四季を通じて色とりどりの花が楽しめる市民憩いの公園です。また、公園の一角には国際版画美術館(以下、版画美術館)があり、歌川広重や葛飾北斎の作品が常設されています。

 

せりぼうは、常設の遊び場として水曜から日曜日までの週5日、午前10時から午後5時30分(10~2月は午後4時30分まで)にオープンしています。竹ブランコやロープ、竹を利用した楽器などさまざまな手作りの遊具があり、本物の工具を揃えた自由に木工ができるスペース、実際に火が使用できるかまどもあります。子どもたちの「やってみたい!」という思いを大切にして、できる限り規制を無くした遊び場です。子どもたちが自然の中で自由に遊び、子どもたちの冒険はもちろん、挑戦や体験を通して成長していく場にしたいと考えています。

 

写真左:ウォータースライダー/写真右:やぐら

写真左:ウォータースライダー / 写真右:やぐら

 

写真左:黒板 / 写真右:手作りハンモック

 

スタッフは現在36人で、開園日には3人のスタッフが常駐しています。常駐のプレーリーダー(スガ)は昔、たぬき山で遊んでいた子です。プレーパークを理解しているので子どもたちとの遊び、見守り、冒険を後押ししてくれています。また工務店を経営しているスタッフがいるので、ステージや櫓(やぐら)をはじめ、遊具や設備のほとんどが、スタッフによる手作りです。

平日の10時30分から午後2時30分までは、乳幼児とママが対象の「にじいろ・ひろば」を開催しています。木漏れ日の林の中で、保育士(クロちゃん)が絵本や紙芝居の読み聞かせをします。「にじいろ・ひろば」で知り合った常連のママたちが、せりぼうのイベントのスタッフとしても活躍してくれています。

にじいろひろば看板

親子の憩いの場「にじいろ・ひろば」

親子の憩いの場「にじいろ・ひろば」

 

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過去記事一覧
45 手ごわい放置竹林から広がる可能性と人のつながり
44 公園で行う表現活動は「誰かを力づけている」(せりがや冒険遊び場:東京都町田市)
43 市民団体の力で「やりたいこと」を実現(あぐりの丘:長崎県長崎市)
42 自然の中での主体的な遊びが、学びと成長につながる(山田緑地:福岡県北九州市)
41 次世代に、そして子供たちへ、遊び場づくりのバトンをつなげたい(徳島県阿波市阿波町)
40 3公園でキャンプ まちづくりとして活用(小山総合公園、生井桜づつみ公園、城山公園:栃木県小山市)
39 科学を通じて地域の人々と研究者をつなげる(千葉県柏市)
38 北海道の公園で「やってみたい!」を実現(恵庭ふるさと公園:恵庭市)
37 土器づくりを通じて縄文文化を学ぶ(三ツ池公園:川崎市)
36 公園を地域住民の手で心地よい場所に変えていく(熊野公園:東村山市)
35 次世代のために故郷の自然環境を守り、伝えていく(亀山里山公園「みちくさ」:亀山市)
34 公園は楽しい学びの場!「サバイバルピクニック」、「地域住民による公園づくり」(都立野川公園:東京都)
33 外遊びの楽しさを伝えていく(柏崎・夢の森公園:柏崎市)
32 筑豊の自然を楽しむ会(健康の森公園 他:飯塚市)
31 自然を愛する仲間との森づくりボランティア(びわこ地球市民の森:守山市)
30 野外人形劇で、公園に広がった笑い声(水前寺江津湖公園:熊本市)
29 公園での新たな遊び「珍樹探し」(国営昭和記念公園:立川市)
28 子供たちの居場所で、寄り添い、見守り続ける(柳島公園:富士市)
27 市民とともに育て続ける公園を目指して(安満遺跡公園:高槻市)
26 砂場から広がった子供たちの笑顔(福島市内 他:福島市)
25 造園業者と子供たちがつくる 公園でのコミュニティ(京坪川河川公園(オレンジパーク):舟橋村)
24 子供と子育て世代の目線で再生されたゴーカートのある公園(桂公園:十日町市)
23 市民による、市民のための花火大会(伊勢原市総合運動公園:伊勢原市)
22 かかしで地域を活性化 海外も注目する山里(かかしの里:三好市)
21 市民の手によって「つくり続ける公園」(みなとのもり公園(神戸震災復興記念公園):神戸市)
20 下町に残る、手つかずの自然を守り、育てる(尾久の原公園:荒川区)
19 絵本、ケルナー広場を通して、子供たちの成長を見守る(ケルナー広場:高崎市)
18 生かされていることを実感 自然と一体になれるサップヨガ(国営木曽三川公園ワイルドネイチャープラザ:稲沢市)
17 震災後、市民の手によって再生された西公園(西公園:仙台市)
16 住民の心をつないだ3万個のキャンドル(大栗川公園:八王子市)
15 市民がつくり、見守る広場(朝霞の森:朝霞市)
14 満月BARで公園の非日常を楽しむ(西川緑道公園:北区)
13 わらアートで、地域に笑顔と一体感を(上堰潟公園:西蒲区)
12 再生物語を支えるボランティア組織「MEG」(七ツ洞公園:水戸市)
11 公園が図書館に変わる「敷島。本の森」(敷島公園:前橋市)
10 公園に地域の人が集う「はじっこまつり」(和田公園:杉並区和田)
09 トンボの魅力を子供たちに伝える(西岡公園:札幌市)
08 「朝市」で公園がコミュニケーションの場に(茅ヶ崎公園野球場:茅ヶ崎市)
07 「スポーツ鬼ごっこ」を通じて 子供たちの居場所づくりを実現(しらかた広場:松江市)
06 高齢者、障がい者に公園案内 ボランティア側も癒される(大泉緑地:堺市)
05 仲間と共に成長してきたみはまプレーパーク(みはまプレーパーク:千葉市)
04 地域で子供たちを育成・指導 地元の公園でイルミネーション作り(宇部市ときわ公園:宇部市)
03 公園がアートな空間に生まれ変わる日 あそびの重要性を考える「アートパーク」(松戸中央公園:松戸市)
02 子供たちにワークショップで地域貢献 公園での活動は発見の連続(松戸中央公園:松戸市)
01 自然環境は、利用しながら保全する(国営ひたち海浜公園:ひたちなか市)


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