ヤンマ団は公募で集まった小学生が、5月から翌年の3月まで活動をします。年会費は3,000円、その他標本箱代や調査員帽子代といった経費が必要となります。小学生が対象なので誰でも参加できるよう、なるべくお金をかけない工夫をしています。
5月に入団式と保護者説明会を行います。団員一人ずつ自己紹介をしてもらい、トンボを収める標本箱を手渡します。活動日は毎月1回(第2土曜日)。9時半に管理事務所に集合し、グループに分かれてその日の予定を紹介します。各自活動テーマを確認してからトンボ採集です。外でお弁当を食べて午後は標本づくりと調査報告会を行い、午後3時に終了します。冬季の11月からは管理事務所内で、今年採集したトンボの標本整理と、報告会の準備。2月~3月に市内で1年間の成果を発表して終了です。
ヤンマ団はトンボを採るだけではなく、団員それぞれがテーマを決めて、トンボの調査研究を行います。テーマの内容は、「トンボの止まり方について」「モノサシトンボはものさしになるか」「トンボの顔について」など自由です。活動で最も大切なことは、「楽しんで取り組む」ことです。楽しんで取り組んだ結果、ヤンマ団の採集記録につながればいいと思っています。
毎年、公募で1年生から6年生までの小学生が15人前後集まります。小学生は何でも吸収する時期なので、トンボの名前から標本作りまで、驚くほどの早さで覚えて実践します。ベテラン団員になると希少種のトンボの名前や特徴を憶え、場所や時期を狙って追いかけます。女の子や低学年の団員は、最初は怖がっていた標本作りも1年も経過すると手慣れた様子で取り組んでいます。
先輩が後輩を指導したり、頼もしい先輩のやり方を見て、後輩たちが真似て覚える姿が見られるなど、学校では学べない貴重な活動だと思います。
活動の場は、西岡公園以外にもあります。
年に1回、遠征調査に出掛けます。遠征の目的は西岡公園以外の環境に生息するトンボの調査です。場所の選定には毎回苦労しますが、遠足のような雰囲気に子供たちも大喜びです。遠征先の地域との折衝は管理事務所が担当します。
今年は「コカ・コーラ環境教育賞活動表彰部門*1」に応募したご縁で、公益財団法人コカ・コーラ教育・環境財団などが運営している夕張郡栗山町ハサンベツ里山地区に遠征に行き、ヤゴと成虫の調査を行いました。
9月には、西岡公園の魅力を伝えることを目的に、管理事務所とボランティアグループ「ニハルクラブ*2」の主催で、札幌駅と大通公園をつなぐ地下歩行空間「チ・カ・ホ」で「西岡水源池inチカホ」という発信イベントを開催しました。このイベントでは、西岡公園内で活動する「西岡さかな組(以下、さかな組)」と共同で、同じくパネルや標本などを展示して、活動を紹介しました。展示には、保護者やボランティアの皆さんにも協力してもらいますが、団員が自ら進んで来場者にトンボの説明や調査内容を紹介しました。小学生とは思えないほど、みんな立派に説明していました。
そして2月(円山動物園内を予定)と3月(さけ科学館を予定)にはこれまで採集したトンボの研究報告展を行います。これまでの活動の集大成を人前で発表する場となります。
ヤンマ団の子供たちは、トンボの調査・研究や標本作りを憶えるだけでなく、地域とのかかわり、団員とのコミュニケーション、私や管理事務所スタッフといった大人とのかかわり、西岡公園の自然とのかかわりなど、活動を通して多くの経験を学びます。
*1「コカ・コーラ環境教育賞活動表彰部門」では、地域に根ざした小学生の環境教育活動が評価され、ヤンマ団は優秀賞を受賞しました。
*2ニハルクラブは、ヤンマ団とさかな組の保護者と有志(卒団生や地域の方等)によるボランティアグループです。ニハルとは、アイヌの言葉で「宿り木」の意味です。
46 鉄道ファンによる、公園を軸としたまちづくり(一之宮公園:神奈川県寒川町)
45 手ごわい放置竹林から広がる可能性と人のつながり(籔の傍:京都府向日市)
44 公園で行う表現活動は「誰かを力づけている」(せりがや冒険遊び場:東京都町田市)
43 市民団体の力で「やりたいこと」を実現(あぐりの丘:長崎県長崎市)
42 自然の中での主体的な遊びが、学びと成長につながる(山田緑地:福岡県北九州市)
41 次世代に、そして子供たちへ、遊び場づくりのバトンをつなげたい(徳島県阿波市阿波町)
40 3公園でキャンプ まちづくりとして活用(小山総合公園、生井桜づつみ公園、城山公園:栃木県小山市)
39 科学を通じて地域の人々と研究者をつなげる(千葉県柏市)
38 北海道の公園で「やってみたい!」を実現(恵庭ふるさと公園:恵庭市)
37 土器づくりを通じて縄文文化を学ぶ(三ツ池公園:川崎市)
36 公園を地域住民の手で心地よい場所に変えていく(熊野公園:東村山市)
35 次世代のために故郷の自然環境を守り、伝えていく(亀山里山公園「みちくさ」:亀山市)
34 公園は楽しい学びの場!「サバイバルピクニック」、「地域住民による公園づくり」(都立野川公園:東京都)
33 外遊びの楽しさを伝えていく(柏崎・夢の森公園:柏崎市)
32 筑豊の自然を楽しむ会(健康の森公園 他:飯塚市)
31 自然を愛する仲間との森づくりボランティア(びわこ地球市民の森:守山市)
30 野外人形劇で、公園に広がった笑い声(水前寺江津湖公園:熊本市)
29 公園での新たな遊び「珍樹探し」(国営昭和記念公園:立川市)
28 子供たちの居場所で、寄り添い、見守り続ける(柳島公園:富士市)
27 市民とともに育て続ける公園を目指して(安満遺跡公園:高槻市)
26 砂場から広がった子供たちの笑顔(福島市内 他:福島市)
25 造園業者と子供たちがつくる 公園でのコミュニティ(京坪川河川公園(オレンジパーク):舟橋村)
24 子供と子育て世代の目線で再生されたゴーカートのある公園(桂公園:十日町市)
23 市民による、市民のための花火大会(伊勢原市総合運動公園:伊勢原市)
22 かかしで地域を活性化 海外も注目する山里(かかしの里:三好市)
21 市民の手によって「つくり続ける公園」(みなとのもり公園(神戸震災復興記念公園):神戸市)
20 下町に残る、手つかずの自然を守り、育てる(尾久の原公園:荒川区)
19 絵本、ケルナー広場を通して、子供たちの成長を見守る(ケルナー広場:高崎市)
18 生かされていることを実感 自然と一体になれるサップヨガ(国営木曽三川公園ワイルドネイチャープラザ:稲沢市)
17 震災後、市民の手によって再生された西公園(西公園:仙台市)
16 住民の心をつないだ3万個のキャンドル(大栗川公園:八王子市)
15 市民がつくり、見守る広場(朝霞の森:朝霞市)
14 満月BARで公園の非日常を楽しむ(西川緑道公園:北区)
13 わらアートで、地域に笑顔と一体感を(上堰潟公園:西蒲区)
12 再生物語を支えるボランティア組織「MEG」(七ツ洞公園:水戸市)
11 公園が図書館に変わる「敷島。本の森」(敷島公園:前橋市)
10 公園に地域の人が集う「はじっこまつり」(和田公園:杉並区和田)
09 トンボの魅力を子供たちに伝える(西岡公園:札幌市)
08 「朝市」で公園がコミュニケーションの場に(茅ヶ崎公園野球場:茅ヶ崎市)
07 「スポーツ鬼ごっこ」を通じて 子供たちの居場所づくりを実現(しらかた広場:松江市)
06 高齢者、障がい者に公園案内 ボランティア側も癒される(大泉緑地:堺市)
05 仲間と共に成長してきたみはまプレーパーク(みはまプレーパーク:千葉市)
04 地域で子供たちを育成・指導 地元の公園でイルミネーション作り(宇部市ときわ公園:宇部市)
03 公園がアートな空間に生まれ変わる日 あそびの重要性を考える「アートパーク」(松戸中央公園:松戸市)
02 子供たちにワークショップで地域貢献 公園での活動は発見の連続(松戸中央公園:松戸市)
01 自然環境は、利用しながら保全する(国営ひたち海浜公園:ひたちなか市)