群馬県在住の
今年も春から夏にかけて、子どもたちと群馬のフィールドでキャンプをし、沢山の生き物と出会うことが出来ました。
私のキャンプでは、「フィールドに生息生育する動植物を直接五感で感じること」を大切にしています。
その原点はやはり幼少期の原体験にあります。ドキッ!としたり、ハッ!としたり、息を殺してジッと観察したり、怖い思いをしたり、うっとりしたり・・・、数々の原体験の積み重ねがあり、今日の自然体験活動に繋がっているのだと感じています。
今回は、数あるエピソードの引き出しから、中学時代の夏休みに体験した出来事をご紹介します。
わたしにとっての夏休みと言えば、宿題を忘れ朝から晩まで自然と共に過ごしていたこと。ほとんどの宿題は夏休み中には終わらず、2学期スタート時の先生の困った顔が今でも目に浮かびます。
そんな中 “胸を張って提出” 出来たのが中学2年生の夏休み自由研究「どれが痛いか調査」でした!
その調査は至ってシンプルなものでした。
自宅周辺に生息するヘビのうち、かまれたらどれが一番痛いかという素晴らしい調査です(自画自賛)。
その調査方法も至ってシンプルなもので、捕まえたヘビに腕を噛ませて、どれが一番痛いかというものです。しかしながら、その調査結果は、自己評価でしかなかったということです。なぜなら、他に誰一人一緒になって調査して、共感出来る仲間がいなかったのですから。
さて、夏休みの半分ほどの日数を費やし、捕獲出来たヘビは、ヤマカガシ、シマヘビ、ジムグリ、ヒバカリ、アオダイショウ、マムシの6種類でした。
もうお分かりと思いますが、マムシは噛ませることをやめました。その代わりに近くの本家の、明治生まれのおばあちゃんにマムシを料理してもらい、美味しいおやつになっていただきました。
食感は、柔らかくしたスルメのようで、甘じょっぱい味でした。今から思うとレシピを聞いておけばよかったと後悔するばかりです。
それはそうと、ヤマカガシはどうしたの? そうですよね! じつはこの時代ヤマカガシは無毒という認識でしたし、この調査までに自身が1回、友達が1回噛まれていましたが、まったく大丈夫だったので、調査対象種になったのです(たった2回で無毒の判断はどうかと・・・)。
それよりも、ヒバカリには少し躊躇しました。名前の由来が、このヘビに噛まれると“そのひばかりの命”ということで、ヒバカリとなったという説があったからです。その後、理科の先生から確認したり本で調べたりして、無毒ということが分かりこの種も調査対象種に加わりました。
いよいよ調査段階です。ところが、調査中にハプニングが起きました!!
嚙みついたアオダイショウの牙が思いのほか深く食い込み、取れなくなってしまったのです。悔やみました・・・・、友達を一人助手ということで呼んでおけばよかったと・・・。
左手でヘビを持って、右腕に噛ませたヘビなので、両手で引き離すことが出来ない!
野外での調査実行。照り付ける夏の日差し。どの位の時間が経過したのか記憶にありません。アオダイショウも牙が取れず困った様子で “瞬きしません!!” 血も滲みだしました。
※ヘビはまぶたがないので、瞬きできません。
最終決断は、右腕にヘビを絡ませたまま、自転車をこぎ、友達の家に行き、引き離してもらうということでした。
冷たい缶ジュース1本と引き換えに友達は引き受けてくれ、事なきを得ました。
しかしながら、なぜ、アオダイショウはそれほどまでに深く嚙んだのでしょうか?
噛ませる前に頭を叩いたりして怒らせた後に噛ませたのですが、頭を叩く前、ある出来事が頭をよぎりました。それは、この調査を行う数年前、ベニスズメという鳥を飼っていたのですが、軒下につるしておいた鳥かごの中のベニスズメ2羽がいなくなっていたのです。
鳥かごの中の下には胴体が2つ膨らんだアオダイショウが食後休みを決め込んでいたのです。胴体が膨らんだその体は鳥かごから出られなかったのです。
この後のことは、ここには書きません(書けません・・・)。ご想像にお任せいたします。
ということから、結論は、頭を叩く力が強くなってしまったからでしょう。
いよいよ、調査結果ですが、その前に、順位予想を立ててください。
この自由研究「どれが痛いか調査」の提出後を先にお話ししておきます。
“金賞” を頂いたという記憶があります。
でもそうだったのかなという疑問符が残っています。
確かに今の時代では大問題に発展しかねない内容だからです。
もしかしたら、先生から金賞を頂いたのかもしれません。
なぜなら、この先生は、このような自分自身で考えて結果を出すことが大好きな先生でしたし、何よりも、この調査内容は学校内に留めておかなくてはならない内容でしょう。
さてさて、お待たせしました「調査結果」の発表です!
“痛かった”順に、
1:アオダイショウ ※何しろ牙が深く食い込んだのですから
2:シマヘビ ※気性が荒くすぐ噛みつき、噛んだ後、体をよじっていました
3:ヤマカガシ ※甘嚙みしてくれてありがとう!
4:ジムグリ ※ヤマカガシと互角でしたがすぐに噛むのをやめたため
5:ヒバカリ ※えっ?噛んだの?という感じ
この暑い夏から40数年の月日が流れましたが、実体験は「昨日のように記憶が蘇るもの」ですね。
この原稿をまとめた後、五感を蛇モードにして近くのフィールドへ出かけました。
久しぶりにヒバカリに出会いました!
自宅周辺で捕獲した6種のうち、最近、見かけてないのはシマヘビです。ヒバカリをはじめ他の種類(アオダイショウはけっこう見かけます)も、なかなか出会えなくなってきています。
いつまでも、身近な自然の中で、様々な生き物と共存しながら、“ドキドキ” “ワクワク” していたいものです。
※子どもたちは、もちろん、読者の皆様にお伝え致します。野生児ケンさんに憧れて、試してみよう!なんて考えてはいけません。絶対に真似しないよう、お願い致します。PW事務局より
(2022年12月掲載)
Project WILD公式HPには環境教育活動事例などが掲載されています。 https://www.projectwild.jp/
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