公園文化ロゴ
公園文化ロゴ
生きもの小話パンくず
公園文化を語る 公園の達人 公園管理運営「チャレンジ!」しました 公園とSDGs 生きもの小話 みどり花コラム アートコラム 花みどり検定 公園の本棚 世界の公園 たまて箱 公園”Q&A /
生きもの小話
ゆりかご代わり?こんなところに?!

こんにちは。(一財)公園財団の赤田あかたと申します。

 

昨年、勤務していた国営海の中道管理センターでのこと。

企画課市民交流係として、国営海の中道海浜公園のボランティア活動の受入れや環境教育プログラムなどを主に行なっていました。

 

その日は朝から登録ボランティアさんたちとの活動があり、管理センターから管理車両で園内の活動場所まで移動しました。

運転中、どこからともなく鳥の声が聞こえてきました。

春だったので、鳥たちのさえずりもにぎやかな季節。ただ、ちょっとおかしいなと思ったのは移動しているにもかかわらず、「ピィピィピィ」と定期的に聞こえてきたこと。

活動場所に到着したので車を止め、ボランティアさんたちと活動を開始しました。

午後になって活動が終わり、車に戻ると、また鳥の声が聞こえました。

明らかに近くで聞こえます。上かな?下かな?

車の上や下、周囲も探してみましたが、鳴き声の主は見つかりませんでした。

耳をすませて、鳴き声をたどると…なんと、車のバンパーの中に鳥の巣が!(写真参照)

3羽のヒナが「ピィピィピィ」と口を開けて鳴いていました。

 

赤丸のところに・・・。

赤丸のところに・・・。

 

ヒナが3羽いました。

 

 

新型コロナウイルス感染症拡大で、その時は緊急事態宣言の発令下。

管理センターでも対策として出勤日減の日が続いていており、管理車両を使う頻度も例年より少なかったかもしれません。

とはいえ車を全く使わなかったわけではありません。市街地へ外出する業務もありました。

図らずも一緒にドライブしていたとは…!

 

慎重に運転し、管理センターに戻って定位置に駐車しました。

しばらく離れてみていると、親鳥が近づいて車の下に入って行きました。

その鳥は、管理センターの周りで目にすることの多いハクセキレイでした。街中でもよくみかける身近な鳥です。

ほぼ半日ご飯をもらえなかったヒナたちは、さぞお腹をすかせていたことでしょう。

気づいてからはできるだけ車を動かさないように、なるべく近づかないようにしました。

次の出勤日に確認すると巣が空っぽになっていたので、無事巣立ったようです。よかった!

 

ハクセキレイ

 

 

しかし「こんなことってある?!」と思い、野鳥の会福岡支部に所属する登録ボランティアさんに聞いてみました。

その方のお話では、ハクセキレイは結構いろんなところに巣を作るそうです。

その人が知る中で一番すごいところに巣を作ったのが、博多湾に浮かぶ能古島という島への渡船の上とのこと。毎日、海上を行ったり来たりの子育て…すごいですね。

ハクセキレイのたくましさに驚きました。

人の近くだと、大型の鳥や、ヘビなどの外敵が近づきにくいという効果があるのかもしれませんね。海上なら言わずもがな?

 

プロジェクトワイルドの本編に「安心するには近すぎる」というアクティビティがあります。

簡単に説明すると、野生動物たちとのソーシャルディスタンスを考える内容です。自然観察会の前などに子供たちにやってもらうのがおすすめの1つです。

春は鳥たちも子育てのシーズン。

中には巣に近づくだけで、親鳥が子育てを放棄するデリケートな種類もあります。

人との距離が近めなハクセキレイではありますが、流石に何度も巣に近づかれると親鳥も嫌がるのではないかと思います。

近くで巣を発見した時は、鳥たちともソーシャルディスタンスをとって、あたたかく見守ってあげてくださいね。

 

余談ですが、今年2月に海の中道海浜公園のお隣にある、福岡市の雁の巣レクリエーションセンターに異動になりました。野球場やサッカー場、テニスコートなど運動施設がたくさんある公園です。

毎週末、子供から大人まで、たくさんの方がスポーツを楽しみにきてくれ、大会も催されます。

春になり、野球場の1塁側のベンチに鳥の巣を発見!

ハクセキレイでした…人との距離、近すぎ!!

 

赤丸のところに巣

 

抱卵中♪

 

(2022年6月掲載)

Project WILD公式HPには環境教育活動事例などが掲載されています: https://www.projectwild.jp/

キーワード: ハクセキレイ、営巣、野鳥の子育て、プロジェクト・ワイルド
赤田 佳代(あかた かよ)
赤田 佳代(あかた かよ)
1981年和歌山県生まれ
一般財団法人公園財団
雁の巣レクリエーションセンター勤務
プロジェクトワイルドファシリテーター
樹木医
植物が好きで入団。プロジェクトワイルドや、生きもの好きの財団スタッフ、自然観察イベントの先生方のおかげで、写真を見るのも嫌だったチョウ目の苦手意識がちょっぴりなくなりました。 まだまだ触れませんが…。
イモムシは平気なんですけどね…。
区切り線
過去記事一覧
かいじゅうの棲む世界
今、青い海の中で・・・。
少年の日の想い出 Memories of my Childhood
カラスの子には、ご用心?!
母とペンギンとコウモリ MOM, Penguin and Bat
「豊かさが繋いでくれるもの」
あなたの隣にもきっといる、クモ界のアイドル「ハエトリグモ」
幼少期は好きで触っていたのに今は…
どこもかしこも野生生物「ロードキル編」
夏の闇の恐怖、その後、風通し良く 
ハリガネ Rock’n’roll
出会いは当然に~振り向けばリュウキュウヤマガメがいる~
なんで苦手?
今年はクマのニュースが! Bear Coming Out
「生きもの」小話? わたしが生きものを愛するようになったわけ
母のイビキと猫 Mom’s Snoring and Cat
真夏のシャワー…香り付き
Midsummer Shower with some Fragrance

「秘境」の国の生きものたち ~海の生きもの編~
音のあるじは? Where does this sound come from?
ブナの森で実感した「オーディア」の必須要素
渡らない渡り鳥 ~変わりゆく渡り鳥のゆくえ~
海の仲間と船乗り
チョウチョと思ったら!I thought it’s a butterfly!
少年時代の生き物回顧録
恐るべし!驚異の身体能力を持つゴキブリ君
朋が教えてくれたこと
痛っ! It Hurts!
イトウの原野
爺ちゃんとの思い出 Memories with my Grandpa
ゆりかご代わり?こんなところに?!
牛乳ビンと幼虫 Milk Bottle and Caterpillar
スコーピオン Scorpion
カラスとおしゃべり!
生きもの小話 ホッキョクグマ編
忘れられない“お正月” Unforgettable "New Year"
「沖縄、トカゲモドキ奮闘記!」
I LOVEイモリ💗
サケの遡上を体験する
かわいい?厄介者? 『ニホンザル』人と野生動物との関係とは。
今年もバルタン星人 現わる! The Emergence of Alien Baltan
「Pura Vida」の国の生きものたち~魚編~
危険??生物 マムシ
Dangerous??Creature Japanese Copperhead

初めて触れた天然記念物の生きもの
Natural Treasure Creature that I touched for the first time



TOPに戻る