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生きもの小話
チョウチョと思ったら!I thought it’s a butterfly!

今から45年前…私が小学4年生だった時のお話!

 

5月の連休に青蓮寺川で川遊びをしていた時です。青蓮寺川は三重県名張市に南から流れ込む名張川(木津川~淀川)の上流域で、その両岸に山がそそり立つ峡谷は香落渓こうちだにと呼ばれ、自然景勝地に指定されています。

なんと45年前の写真がありました。当時は、父に散髪してもらっていました。<br /> 素敵なヘルメットカット…いやヘアカットです…笑

なんと45年前の写真がありました。当時は、父に散髪してもらっていました。
素敵なヘルメットカット…いやヘアカットです…笑

 

香落渓でご機嫌に生きもの探しをしていたとき、薄暗い林の中で大型の蝶がパタパタと羽ばたいているのを見つけました。パッと見た瞬間、見たこともない種類の蝶だ!とすぐに私の脳は判断しました。父に褒めてもらいたい!珍しい蝶を採ると父は褒めてくれます。

直ぐさま林内に突入!虫網を振りに振り回して…

横殴りに振ったアミに獲物が入った瞬間、あれ!重たい…重量感がある。体に毛が生えている…

それもそのはず、網の中でバタバタしているのは、小型のコウモリでした。今から考えると、おそらくアブラコウモリだったと思われます。

なぜ昼間に飛んでいたのだろうか??

コウモリなんて触れるのは初めて…両手で持つと温かみがあって、フワフワの毛が気持ち良い。居心地が良かったのか、私の手の中にピタッと納まっていました。なんて軽いんだろう!

 

早速、獲物を持って得意気に戻ると、私の性格をよく知る母の第一声は…

「逃がしてきなさい!」…

まぁ、私は逃がさないんですよ!

かわいいお顔、ネズミに翼がついているような…珍しい初物を捕まえた。

捕まえたら、自分の物。そして手元に置きたい=飼育したい!

一度言い出したら、なかなか言うことを聞かない私をよく知る母は、条件付きで許してくれました。

「ちゃんと責任をもって飼うんですよ!『命』があるんだからね。」と!

まぁ、説得は無理だと!あきらめたと言った方が正しいでしょう(笑)

家に持ち帰り、飼育を始めました。一番大きなハムスター用の飼育カゴを引っ張り出してきました。VIP待遇です。

そして…イチゴ、ミカン、リンゴなどをあげてました。

なぜだろう?幼い頃、コウモリはフルーツを食べると思い込んでいました。

当時はインターネットなどもなく、コウモリが昆虫を食べているなんて…

私に捕獲されてから、ずっと絶食させられて…、やはり死んでしまいました。

本当に可哀そうなことをしたと思います。掌に乗せると体が硬く冷たくなっ

ていました。今でも記憶によ~く残っています。

 

小4の掌に、すっぽりと納まったので体長は3~4センチほど。おそらくアブラコウモリだったと思います。エコーロケーションEcholocationを活用して、飛行している小型の昆虫を空中で捕えて食べます。

小4の掌に、すっぽりと納まったので体長は3~4センチほど。
おそらくアブラコウモリだったと思います。エコーロケーションEcholocationを活用して、飛行している小型の昆虫を空中で捕えて食べます。

 

 

母の教えでしたが、飼育した生きものが死んだら、必ずお墓を作りました。

当時は、団地に住んでいたため、自分の庭なんてありません。だから公園の片隅や街路樹の根元など、家の近くにはたくさんのお墓がありました。一番多かったのは、昆虫のお墓でした。

 

生きものを意味なく殺す=悪いこと

その考えは正しい。ただ、幼い頃にたくさん生きものを飼育して、その死を体験することで、子どもは多くのことを学びます。

採って満足する私(多くの子ども)は、飼育は疎か…。ヒドイことをたくさんしました。

でも、そのことを通して、小さな昆虫をはじめ全ての生きものには大切な「命」があることを学ぶことができました。

バカなことを言っていると思われるかもしれませんが、血を吸いにやって来る蚊を叩くときにも、心の中で「子孫を残そうと必死なんだよなぁ~。ごめんよ!」なんて思いながら…でも叩きますよ…苦笑

何も考えずに叩く(殺す)人と、少しでも「悪いな!」って思って叩くのとでは、私は大きく違うと思っています。

 

ずいぶん前に、子ども向けのイベントを開催した時に、

「生きものを飼育している人~??」って聞いてみました。

すると、ほとんどの子どもたちが手を挙げてくれました。嬉しくなって、目の前に座っている子どもに何を飼育しているの?って聞いてみると…熱帯魚を飼ってるというのです。私も長く熱帯魚水槽をキープしていたので、水替えや餌やりとか大変でしょ!忘れると、すぐに水槽が緑色になるしね!なんて返すと…

ヒロさん、大丈夫なんだよ!エサやるの忘れると死んじゃうんだけど、リセットすると生き返るから!って…

 

生き返る!?ゾンビ??

 

その子は、パソコンの中の熱帯魚飼育ゲームのことを言っていたのです。

得意気に話す子どもの顔を見たら何も言えませんでした…ただ心からガッカリしました。そして、ボタンを押すと生き返る!って言った子どもが、すごく気になりました。生きものは、一度、死んでしまったら、絶対に生き返りません。

本物の(リアルな)生きものを飼育してほしいと心から思いました。

生きものを通した環境教育の大切さを改めて気づかせてもらいました。子どもたちのリアルな体験の場が少しでも増えますように!微力ですが、引き続き、生きものを通した環境教育Project WILDの普及を頑張って行きたいと思います。

 

クビワオオコウモリの亜種であるオリイオオコウモリこのコウモリはフルーツなどを主食とし、フルーツバットFruits Batと呼ばれています。エコーロケーションEcholocationは使わず、大きな目(視覚)で食べ物を探します。 そうです。コウモリは草食系と肉食系の2タイプに分かれるのです。私に捕まったコウモリは主に昆虫を食べる肉食系でした。フルーツばかりあげて、本当にごめんなさい。

クビワオオコウモリの亜種であるオリイオオコウモリ
このコウモリはフルーツなどを主食とし、フルーツバットFruits Batと呼ばれています。エコーロケーションEcholocationは使わず、大きな目(視覚)で食べ物を探します。 そうです。コウモリは草食系と肉食系の2タイプに分かれるのです。
私に捕まったコウモリは主に昆虫を食べる肉食系でした。
フルーツばかりあげて、本当にごめんなさい。

 

※エコーロケーション(反響定位)とは…

音や超音波を自ら発し、その反響を捉えることで物体の距離や方向、その大きさを正確に把握します。この能力を有効活用している代表的な動物は、コウモリとクジラの仲間です。

(2023年1月掲載)

 

Project WILD公式HPには環境教育活動事例などが掲載されています: https://www.projectwild.jp/

キーワード: コウモリ、アブラコウモリ、オリイオオコウモリ、生きもの飼育
川原 洋(かわはら ひろし) <br/>Nickname / ひろ(Hiro)
川原 洋(かわはら ひろし)
Nickname / ひろ(Hiro)
一般財団法人 公園財団 公園管理運営研究所 開発研究部 環境教育推進室長
Project WILD 日本代表 コーディネーター
東京都「体験の風をおこそう」実行委員
INSECT MARKET 自然教育アドバイザー

幼少から奈良で育ち、今年、56歳になります。
大阪府立大学農学部卒業後、同大学の修士課程(造園学修士)を修了。修士の時にオーストラリアのメルボルン工科大学に留学経験を持っています。
29歳のときに転職し(財)公園緑地管理財団に入社。得意の英語を生かして2008年から東京本部にてProject WILDの普及に力を注いでいます。アメリカで年1回開催されるProject WILD コーディネーター会議に、日本代表として毎年参加し、AFWA(全米野生生物協会)や全米各州の環境教育関係者としっかりとしたネットワークを持っていることが強みです。
2019年に全米各州の指導者から選出される名誉ある「最優秀コーディネーター賞」を受賞。アメリカ人以外の受賞は、Project WILDの長い歴史の中で初めて!日本人初の受賞となりました。
幼少から自然の中で遊ぶことが大好きで、家の中で遊んだ記憶がほとんどありません。私の小話はすべて実体験から生まれたものです。
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