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生きもの小話
スコーピオン Scorpion
けっこう重たい岩でした。2匹の小さなサソリが見えますか?

けっこう重たい岩でした。2匹の小さなサソリが見えますか?

 

大きな石をゴロリと転がすと…おっ!サソリ!

2012年、テキサス州を仕事で訪れた時のこと、少し時間ができたので町をブラブラしてみました。すると自然度高めの空き地を見つけ、何か生き物がいないかと…いつもの私の行動です。民家からそう遠くない石の下に2頭のサソリが鎮座していました。自然の中でサソリに出会ったのは初めてのことで、けっこう驚きました。

ブラブラと歩いたテキサスの郊外に広がる自然地

ブラブラと歩いたテキサスの郊外に広がる自然地

 

さて、皆さんがサソリ!と聞くと、頭に浮かぶのは…??

 

毒を持った怖い生きもの!マッチョな強面の兄さんが腕や肩に入れたタトゥー、夜空の星座、さそり座の女!を思い出す人もいるでしょう。ヨーロッパの神話伝説にも猛毒サソリの話がよく出てきます。英雄オリオンを殺したのはサソリの毒だそうな。

 

 

自然地の中にサボテンをはじめトゲのある植物がたくさん自生していました。生きもの探しのために茂みに突入したかったのですが、痛くて入れなかった。

自然地の中にサボテンをはじめトゲのある植物が
たくさん自生していました。生きもの探しのために
茂みに突入したかったのですが、痛くて入れなかった。

私が思い出すのは小5のときに父から聞いた話です。父は地質学の専門家であり、仕事で海外のダム建設現場に数か月出張することがよくありました。ミャンマー(旧ビルマ)の現場から帰ってきた父の話が鮮烈でした。

サソリにお尻を刺されて参ったわ!と…

どうやってお尻を刺されたのだろうか?サソリの存在に気付かず、その上に座ってしまったのか?寝ているときにベッドによじ登ってきたのか?

 

父の話によると…

 

 

熱帯地方(特に乾季)の昼間は暑くて仕事にならないため、基本、早朝から仕事をして、午後は川で泳いだりしながら暑さを凌ぐそうです。

泳いだ後は、いつも川辺の竹竿に海水パンツをひっかけて乾かします。その日、父がパンツをはいた瞬間に、「熱い!」脳天まで突き抜けるほどの激痛が走り、何が起こったかわからないけどお尻が焼けるように熱い!すぐに海水パンツを脱げば良かったのですが、反射的にパンツを掌で何度も押さえつけてしまい事態は悪化!さらに電撃のような激痛が加わり、すぐさまパンツを脱いで中をのぞくとサソリが3匹も…いた。

3月末の乾季、適度に湿ったパンツの中はさぞかし居心地が良かったのだと思います。のんびり寛いでいたサソリも驚いたでしょうね(笑)

驚いてちょっと刺しただけなのに、さらに上から押さえつけられたもんだから、そりゃブスブス刺しますな(苦笑)

 

父が不運だったのは、建設現場は超山奥!車と鉄道を使っても病院まで丸一日かかる場所でした。掘っ立て小屋の救急箱には、バンドエイドと虫刺され用の軟膏ぐらいしか入っていません。刺された箇所に軟膏を擦り込んで、あとは我慢するのみ。熱を持ったお尻は、かなり腫れ上がり、数日間は痛みでほとんど眠ることもできずウンウン唸っていたそうです。

命にかかわる毒蛇であれば、ヘリコプターで病院搬送でしたね。

賢い父は生きものに対する知識も豊かです。私が生きもの好きになったのは父の影響が大きいと思います(私の師匠)。サソリは種類にもよりますが、基本、暗くて湿ったところが大好きです。靴の中にはサソリはもちろんのこと、赤アリ、大きなムカデ、時には毒蛇だって入ります。父は当然ながら足を通す前に確認を怠りません。

まさか竹竿を伝って、海水パンツに潜り込んでいるとは、しかも3匹も!父の予想をはるかに超えていました。

パンツに足を通す前に、ちらっと確認したらしいのですが、薄茶色の小さなサソリだったため気付かなかった…。

今では笑い話ですが、危ないですね。ほんとに。

サソリは小型の種類ほど、強毒になる傾向が見られます。不幸にも父が刺されたのは強毒タイプでした。

ラッキーだったのはお尻の方で良かった。刺されたのが前の方だったら…ね…えらいことです…笑

 

大型の種類に弱毒が多いのは、ハサミも大きく力が強いため毒に頼らなくても生きていけるからだと思われます。もちろん、例外もいますので、興味を持たれた方は調べてみて下さい。

また、刺したらすぐに毒を入れるわけではないようです。毒は獲物を狩る武器であり、身を守るための武器でもあります。その毒を一度、使い切ってしまうと、再製造に数日かかります。武器のない丸腰で数日、生きていかなければなりません。命の危険を強く感じない限り、すべての武器を投入することはしないわけです。父は、サソリたちに思いっきり命の危険を感じさせたのでしょうね。3匹揃って毒の全力(全量)注入だったと思われます(笑)

サソリの目は8つもあります。頭頂部につぶらな目が2個...けっこう可愛い~。そして左右側面に3つずつ。8個もあるのですが視力は低いようです。ただ暗闇で活動できるようトップクラスの光感度を備えています。

サソリの目は8つもあります。頭頂部につぶらな目が2個…けっこう可愛い~。そして左右側面に3つずつ。
8個もあるのですが視力は低いようです。ただ暗闇で活動できるようトップクラスの光感度を備えています。

 

日本にもヤエヤマサソリ、チャグロサソリの2種類が八重山諸島や小笠原諸島に住んでいます。本土にはいませんので、ご安心ください。毒も非常に弱いため、島民は気にもしていないようです。島在住の知人が、ヤエヤマサソリの毒針は小さすぎて人間の皮膚を貫通しないと教えてくれました。ほんとなのだろうか??

日本に昔から住んでいる生き物は温和な性格が多いように感じます。

厳しい環境であるほど、強力な武器がないと生き残ることができない。すべての生きものは、生き残るために様々な戦略を立てているのです。生きもののことを知れば知るほど、さらに興味が深まります。生きものって、本当に面白い!

My Father Love Wildlife including Scorpion! Maybe… ワハハ

 

 

(2022年4月掲載)

 

Project WILD公式HPには環境教育活動事例などが掲載されています: https://www.projectwild.jp/

キーワード: 有毒生物、サソリ、日本固有種
川原 洋(かわはら ひろし) <br/>Nickname / ひろ(Hiro)
川原 洋(かわはら ひろし)
Nickname / ひろ(Hiro)
一般財団法人 公園財団 公園管理運営研究所 開発研究部 環境教育推進室長
Project WILD 日本代表 コーディネーター

幼少から奈良で育ち、今年、55歳になります。
大阪府立大学農学部卒業後、同大学の修士課程(造園学修士)を修了。修士の時にオーストラリアのメルボルン工科大学に留学経験を持っています。
29歳のときに転職し(財)公園緑地管理財団に入社。得意の英語を生かして2008年から東京本部にてProject WILDの普及に力を注いでいます。アメリカで年1回開催されるProject WILD コーディネーター会議に、日本代表として毎年参加し、AFWA(全米野生生物協会)や全米各州の環境教育関係者としっかりとしたネットワークを持っていることが強みです。
2019年に全米各州の指導者から選出される名誉ある「最優秀コーディネーター賞」を受賞。アメリカ人以外の受賞は、Project WILDの長い歴史の中で初めて!日本人初の受賞となりました。
幼少から自然の中で遊ぶことが大好きで、家の中で遊んだ記憶がほとんどありません。私の小話はすべて実体験から生まれたものです。
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