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「公園の達人」では、公園をより楽しく有効に使っていただくために、
積極的に活動されている方々への取材を通して、皆様に役立つ情報をお届けいたします。

◆第1回は、茨城生物の会 会長の小菅次男氏です。小菅会長は、国営ひたち海浜公園の整備時から海浜植物などの保全に尽力し、地道な研究活動による知識と豊富な観察データーをベースとして、公園管理者と市民との間に立ち、公園の貴重な自然を 「市民と共に利用しながら保全する」 という活動を続けておられます。

第1回 ~ 貴重な自然環境は、利用しながら保全する ~

小菅次男さんは、茨城県水戸市の生まれで、茨城大学教育学部卒業後に高等学校の教諭となり、茨城県内の高等学校校長などを歴任され、現在は茨城生物の会会長、茨城県自然環境保全審議会会長、茨城県環境アドバイザー、環境省希少野生生物種保存推進委員、日本自然保護協会自然観察指導員などの要職を務めておられます。

 

小菅さんが会長を務める茨城生物の会は、茨城の自然を調査・研究し郷土の自然を守ることを目的に、1973(昭和48年)年に中学・高校の教諭38人が発起人となり発足しました。

 

茨城生物の会の活動

会の活動では、 希少野生生物のヒヌマイトトンボやオゼイトトンボに関する研究・保全やホタル生息地の復元、国定公園の巡視や調査研究による自然保護思想の普及に貢献されましたが、その一方で、一般の人々の目線での活動に意義をもち、動植物や自然に興味のある人なら誰でも入会できるようにしました。このため会員は小学生からお年寄りまで約400人にのぼり、小学生で入会して生物の教師になった人や、ネイチャー・フォトグラファーも輩出しました。

 

現在の主な活動は、国営ひたち海浜公園で自然環境を保全するボランティアへの指導を行うほか、茨城県内全域での自然観察会、中学・高校生による生物研究発表会や環境教育や各団体への講師派遣を行い、会報「茨城生物」を発行しています。

ひたち海浜公園は自然の宝庫


国営ひたち海浜公園が作られた地域は、旧日本軍の施設が終戦後に接収され、在日米軍の演習場とされていた経緯があります。 このため返還後も一般人の立ち入りが禁止され、大変貴重な自然環境がたくさん残されていました。

 

特に、この地域には鳥取砂丘と並ぶ広大な砂丘や、スカシユリ、ハマエンドウ、ネコノシタなど、砂丘特有の貴重な海浜植物群落が広がっていました。

 

また、高地に特有のオゼイトトンボが生息する沢田湧水地や、当地が生育南限となっているオオウメガサソウ群生地も残されています。

 


公園との積極的なコミュニケーション

茨城生物の会は、この地域が米軍から返還された後には、茨城県からの委託により、敷地内の動植物相調査を行い豊富なデータを蓄積してきました。

 

その後、この地域の一部が国営公園として整備されることとなり、茨城生物の会は、この地域の素晴らしい貴重な自然をいかに保護し、守っていくかを模索しましたが、当時は自然保護運動が盛んな時代でもあり、公園の担当者の方には、私たちの活動に戸惑われる方もいらっしゃいました。

 

しかし、私たちの会は、「一方的に反対するような団体ではないこと」を強調し、日ごろの活動内容と、これまで地道に行ってきた調査資料などを示しながら、貴重な動植物を公園利用者ともに利用しながら守り伝えることの重要性を根気よく説明することに努めました。

 

そして、減少が心配される海浜植物の保全のために、公園のスタッフとともに、砂丘エリアに圃場を作り海浜植物の増殖を始めました。 この作業は大変地味で労力のかかる辛い仕事でしたが、単に開発阻止を訴えるのではなく、実際に体を使って前向きな増殖活動を続けることと、頻繁に事務所に足を運んでコミュニケーションに努めることにより、時間はかかりましたが、少しずつ信頼を深めていきました。 その結果、今では公園事務所が未開園地区の整備を検討する際には、茨城生物の会に相談する流れができました。

親子で体験、まずは知ってもらうことから


貴重な自然の保全活動を継続させるには、市民とともに「自然を利用し楽しみながら」保全する工夫が効果的です。

 

会の活動目的には、環境教育や生涯学習に対する支援協力があります。 なかでも子供に自然の尊さを伝えることをライフワークとして取り組んできました。 公園の来園者には、国営ひたち海浜公園の素晴らしい自然を知ってもらうために「親子自然教室」「ネイチャーウォーキング」「海と森のエコツアー」「夜の昆虫観察会」「砂丘シンポジウム」などを開催してきました。 どれも学校では教えないことばかりです。

 

最近の子供は自然に触れる機会が少ないので、直接体験させることが大切です。 さらに近年は、子供だけではなく親の世代も幼少時代に自然とのかかわりが少なってきたため、親子で体験し学んでもらうことをおすすめしています。


指導者は丁寧な手ほどきを心掛けてほしい


昆虫標本を作る場合、その材料となる三角紙や、展翅板(てんしばん)、展足板(てんそくばん)などを、市販の高価なキットで買うのではなく、お金をかけずに身近な素材を用いて手作りすることを心掛けています。

 

昆虫に興味を持ってもらうためには、この導入部分からの手ほどきを惜しんではいけません。 子供は知識ではなく体で感動させることが大切で、感動から興味をもった子供に対しては、その芽を伸ばしてあげることが大切です。 そして子供には単に昆虫や魚の採り方を教えるのではなく、それらを“守る”というところまで伝承していきたいと思っています。

 

私たちの活動は、一人でも多くの人たちに、茨城の自然を知ってもらい、ともに観察していくことで、“なぜ、自然を守るのか”ということを理解してもらうことが最大の使命だと考えています。


地域の自然を守り、その仕組みを伝承する

自然を守るには地域や行政のバックアップのもとに、ボランティアの力が中心となります。 私の当面の課題は、自然保全活動の後継者を育てることと、ボランティアを独り立ちさせる仕組みを作ることです。

 

ひたち海浜公園では、「野生植物パートナー」による種子採取や株分け等の増殖作業、海浜圃場の除草等を行い、ハナハタザオ(絶滅危惧IA類)、ノジトラノオ(絶滅危惧II類)、スカシユリ(海岸特有の植物)などを保全しています。 また、「砂丘美化パートナー」は砂丘観察園路の環境保全・美化を行うために松の実生木除去作業を行っています。

 

さらに、沢田湧水地の生物多様性を高める活動の一環として、湿地復元した水田の田植えや稲刈り作業を行い、沢田湧水地の水田で収穫した稲は、ボランティアまつりで昔ながらの足踏み式脱穀機を使って脱穀するなど、公園利用者と楽しみながらの活動を行っています。また沢田湧水地では、「沢田湧水地パートナー」による沢田の生き物を紹介するガイド、池の再生のためのカイボリ、クレソン除去作業、外来雑草やヨシなどの草刈作業などの活動を行っており、その実地指導を行っています。そのほかにも、「スクールパートナー・ジュニアボランティア」や「スクールパートナー 阿字ヶ浦中学校」などの地元の学校との連携による保全活動への指導も行っています。

Face To Faceの関係

最後に、私のように公園で活動している方にお伝えしたいことがあります。 それは、公園管理者とは常に連絡を取り合ってほしいということです。

公園事務所の担当者は2~3年のペースで人事異動があります。 私自身も、担当の方が交代すると、その都度、新任の方に直接お会いして、公園の貴重な自然をボランティアやお客様とともに、利用しながら保全するというポリシーを一から丁寧に説明しました。 そうすれば役所の方も安心され、多くを任せていただくことができます。

このFace To Faceの関係が最も大事だと思います。

※文中に出てくる所属、肩書等は、取材時のものです。2014年7月掲載

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過去記事一覧
20 下町に残る、手つかずの自然を守り、育てる
19 絵本、ケルナー広場を通して、子供たちの成長を見守る
18 生かされていることを実感 自然と一体になれるサップヨガ
17 震災後、市民の手によって再生された西公園
16 住民の心をつないだ3万個のキャンドル
15 市民がつくり、見守る広場
14 満月BARで公園の非日常を楽しむ
13 わらアートで、地域に笑顔と一体感を
12 再生物語を支えるボランティア組織「MEG」
11 公園が図書館に変わる「敷島。本の森」
10 公園に地域の人が集う「はじっこまつり」
09 トンボの魅力を子供たちに伝える
08 「朝市」で公園がコミュニケーションの場に
07 「スポーツ鬼ごっこ」を通じて 子供たちの居場所づくりを実現
06 高齢者、障がい者に公園案内 ボランティア側も癒される
05 仲間と共に成長してきたみはまプレーパーク
04 地域で子供たちを育成・指導 地元の公園でイルミネーション作り
03 公園がアートな空間に生まれ変わる日 あそびの重要性を考える「アートパーク」
02 子供たちにワークショップで地域貢献 公園での活動は発見の連続
01 自然環境は、利用しながら保全する


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