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車いすの少女との出会いをきっかけに、バリアフリーな遊び場に

村に2軒目の家が建ち、桒原さんが図書館の建設に取り掛かろうとした頃、町内で車いすを使う、女子児童の大野さんと出会いました。私は大野さんと知り合ったことで、「ツリーハウスの森」はダイバーシティの目線で、設計の見直しをすることを提案しました。

 

2019年11月、第1回ダイバーシティ会議を開き、コンセプトには“人種、宗教、年齢、性別、障害の有無に関わらず、多様な人々が楽しめる遊び場づくり”を掲げました。新たに作る図書館は入り口にスロープを設け、車いすの利用者でも育てられる野菜畑、背もたれと手すりのあるブランコ、車いすが通りやすい小道などの整備計画を立てました。建設中、大野さんにも協力してもらい、キッチンガーデンの高さや図書館に入るスロープの角度などを実際に確認してもらいながら工事を進めました。私も老人福祉施設から借りた車いすを実際に利用してみると、不便が多いことに気付かされました。図書館の建設やバリアフリー化のための整備工事費は、町民からの寄付や町内企業の協力など、多くの支援が寄せられました。

 

ちょうどその頃、私が代表を務めるNPOが子供たちによるまちづくりグループ「子どもたちの素敵で楽しいまちづくりプロジェクト」通称「キッズまちプロ」(2020年3月結成、現在は小学生13人)を組織して活動を始めていました。

子供たちは県道沿いに8mのベンチづくりやまちめぐりガイドなど、さまざまな活動を通して素敵なまちづくりに関わっています。「ツリーハウスの森」では、鳥の巣箱づくりや後述するバリアフリー整備の芝生張りなどを手伝ってくれました。

 

第3回(2020年11月)のダイバーシティ会議では、完成したキッチンガーデンに大野さんや「キッズまちプロ」たちが野菜の苗を植えました。その後も大野さんの意見を取り入れて手すりと背もたれを付けたブランコを作り、ボコボコしてめり込みそうな地面はフラットにしてガンコマサ舗装(土系舗装)の小路に整備しました。ハーブガーデンには、阿波市のガーデニング愛好者でつくる「阿波ガーデンクラブ」のメンバーが花やハーブを植えて2020年12月、メルヘンの世界のような森の図書館がオープンしました。

12月6日、車いすやベビーカーも利用でき、目の見えない人もハーブの香りで楽しんでもらうことができるようにとリニューアルした小さな村の完成披露を兼ねた「森の図書館オープン」イベントを開きました。

完成披露式典では、キッズまちプロのメンバーたちもそれぞれ役割を持ち、オープニングセレモニーの司会やテープカット、ドアオープンなどを担当しました。式典では、当会議代表(当時)の三橋稔さんから、「森の図書館」建設のために寄付してくれた方、土地の所有者、応援してくれた多くの方々に感謝を伝えるとともに、ツリーハウスや森の図書館に多くの子供たちが遊びに来てほしいと呼びかけました。当日は森の図書館のオープン記念イベントとして、桒原さんが作ったジップラインや焼き芋づくり、ハーブでクリスマスリースづくりなどのワークショップも開き、子供から大人まで約200人が参加しました。

現在、図書館は児童書などの寄付もあり、献本数は600冊に上ります。ときどき、おばあさんがお孫さんに、お父さんがお子さんに絵本の読み聞かせをしている姿を見かけるようになり、図書館は幅広い世代に利用されています。

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過去記事一覧
45 手ごわい放置竹林から広がる可能性と人のつながり
44 公園で行う表現活動は「誰かを力づけている」(せりがや冒険遊び場:東京都町田市)
43 市民団体の力で「やりたいこと」を実現(あぐりの丘:長崎県長崎市)
42 自然の中での主体的な遊びが、学びと成長につながる(山田緑地:福岡県北九州市)
41 次世代に、そして子供たちへ、遊び場づくりのバトンをつなげたい(徳島県阿波市阿波町)
40 3公園でキャンプ まちづくりとして活用(小山総合公園、生井桜づつみ公園、城山公園:栃木県小山市)
39 科学を通じて地域の人々と研究者をつなげる(千葉県柏市)
38 北海道の公園で「やってみたい!」を実現(恵庭ふるさと公園:恵庭市)
37 土器づくりを通じて縄文文化を学ぶ(三ツ池公園:川崎市)
36 公園を地域住民の手で心地よい場所に変えていく(熊野公園:東村山市)
35 次世代のために故郷の自然環境を守り、伝えていく(亀山里山公園「みちくさ」:亀山市)
34 公園は楽しい学びの場!「サバイバルピクニック」、「地域住民による公園づくり」(都立野川公園:東京都)
33 外遊びの楽しさを伝えていく(柏崎・夢の森公園:柏崎市)
32 筑豊の自然を楽しむ会(健康の森公園 他:飯塚市)
31 自然を愛する仲間との森づくりボランティア(びわこ地球市民の森:守山市)
30 野外人形劇で、公園に広がった笑い声(水前寺江津湖公園:熊本市)
29 公園での新たな遊び「珍樹探し」(国営昭和記念公園:立川市)
28 子供たちの居場所で、寄り添い、見守り続ける(柳島公園:富士市)
27 市民とともに育て続ける公園を目指して(安満遺跡公園:高槻市)
26 砂場から広がった子供たちの笑顔(福島市内 他:福島市)
25 造園業者と子供たちがつくる 公園でのコミュニティ(京坪川河川公園(オレンジパーク):舟橋村)
24 子供と子育て世代の目線で再生されたゴーカートのある公園(桂公園:十日町市)
23 市民による、市民のための花火大会(伊勢原市総合運動公園:伊勢原市)
22 かかしで地域を活性化 海外も注目する山里(かかしの里:三好市)
21 市民の手によって「つくり続ける公園」(みなとのもり公園(神戸震災復興記念公園):神戸市)
20 下町に残る、手つかずの自然を守り、育てる(尾久の原公園:荒川区)
19 絵本、ケルナー広場を通して、子供たちの成長を見守る(ケルナー広場:高崎市)
18 生かされていることを実感 自然と一体になれるサップヨガ(国営木曽三川公園ワイルドネイチャープラザ:稲沢市)
17 震災後、市民の手によって再生された西公園(西公園:仙台市)
16 住民の心をつないだ3万個のキャンドル(大栗川公園:八王子市)
15 市民がつくり、見守る広場(朝霞の森:朝霞市)
14 満月BARで公園の非日常を楽しむ(西川緑道公園:北区)
13 わらアートで、地域に笑顔と一体感を(上堰潟公園:西蒲区)
12 再生物語を支えるボランティア組織「MEG」(七ツ洞公園:水戸市)
11 公園が図書館に変わる「敷島。本の森」(敷島公園:前橋市)
10 公園に地域の人が集う「はじっこまつり」(和田公園:杉並区和田)
09 トンボの魅力を子供たちに伝える(西岡公園:札幌市)
08 「朝市」で公園がコミュニケーションの場に(茅ヶ崎公園野球場:茅ヶ崎市)
07 「スポーツ鬼ごっこ」を通じて 子供たちの居場所づくりを実現(しらかた広場:松江市)
06 高齢者、障がい者に公園案内 ボランティア側も癒される(大泉緑地:堺市)
05 仲間と共に成長してきたみはまプレーパーク(みはまプレーパーク:千葉市)
04 地域で子供たちを育成・指導 地元の公園でイルミネーション作り(宇部市ときわ公園:宇部市)
03 公園がアートな空間に生まれ変わる日 あそびの重要性を考える「アートパーク」(松戸中央公園:松戸市)
02 子供たちにワークショップで地域貢献 公園での活動は発見の連続(松戸中央公園:松戸市)
01 自然環境は、利用しながら保全する(国営ひたち海浜公園:ひたちなか市)


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