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「たごっこ」は、誰もが自由でいられる居場所

隔週の土日に開催している「たごっこ」では、決められたプログラムやイベントは一切ありません。大人が企画するプログラムやイベントは、光る泥団子選手権とか一輪車大会とか子供たちの遊びの世界にまで優劣の評価を持ち込むことになりがちだからです。結果的に「劣」側になる子供が「優」側に立てる子供に失笑されたり、馬鹿にされたり、ときに排除されたりする温床にもなります。イベントにみんなと同じように参加できない、プログラムをみんなと同じ進度でできない障害のある子供たちを排除する結果にもなるでしょう。タイムスケジュールもないので、いつ来て、いつ帰るのもよし。遊ばずに何もしなくてもOK!何でも自由です。

ボランティアスタッフはあえて置いていません。ボランティアがいることで子供たちの持つ潜在能力を埋もれさせたり、子供たちが一人ひとりにある持ち味を発揮する機会を奪うリスクが大いにあるからです。ボランティアが子供たちのために何かをしてあげるということは、子供たちから失敗の機会を奪うことにもなります。子供たちが遊びの中で繰り広げる数々の失敗は、発達に欠かせないものです。ボランティアがいないので、初めて来た人にそれとなく話しかける子供や焚き火用の枝を集めてくれる子供などそれぞれができることをやりたい時に手伝ってくれます。私たちは、公園で伸び伸びと自由に遊べる環境を提供するだけで、私と妻は子供たちを見守るだけです。

けがや失敗は子供の遊びにはつきものです。こんな言葉も看板に記しました。

Better a broken bone than a broken spirit (訳)心が折れるより、骨が折れるほうがましだ。

島田公園の脇にある川は、水深30センチメートルほどですが、一部分水深が2メートルほどの場所があり、その場所をめがけ土手から豪快に川へと飛び込む子供たちの姿が真冬でも見られます。そして川から上がり、ドラム缶風呂に入って喜ぶ子供たち。焚き火の火で焼き芋やお餅を焼いて「おいしいね」と言う子供たち。ベーゴマ対決に真剣な表情の子供。ドシャ降りの日に泥んこ遊びに夢中になる子供たち。ふらっと来て、昼寝だけして帰る子供など、居場所を求めて多くの子供たちが「たごっこ」に集まります。

平日の島田公園は、午前中はグラウンドゴルフをやる人、昼間は工場勤務の人が休憩に訪れるくらいで、昼間に小さな子供を連れたお母さんの姿も見かけません。一見、見通しが悪い公園が、活動を実施するのに好都合だったのかも知れません。

 

しかし木に囲まれた島田公園だからといって、活動に苦情がなかった訳ではありません。「たごっこ」では、金髪や茶髪、学校に行っていない子供・若者たちも受けて入れています。外見は派手でも、それは生きづらさを表現するための手段。素に戻ると優しさを発揮してくれる子たちばかりなのですが、教育委員会やPTAからは「なぜ、学校に行かせないのか」「なぜ、指導しないのか」と批判を受けました。ただ、私たちとしては、「批判」というよりは、「評価」と受け止めています。それだけ、特色のある活動をしている証だと思います。

 

それでも、市民活動は地域の風評で活動休止に追い込まれることを経験していますから、折に触れて、新聞やテレビ・ラジオの取材を受けています。日頃からコミュニケーションをとっている新聞記者に「たごっこ」について取材してもらうこともたびたびあります。「たごっこは、社会が求める子供の居場所」「不登校や障害者を受け入れるたごっこに、親が感謝」「たごっこの活動、大学や教育関係者が視察研修」といった記事が朝日新聞や静岡新聞に掲載されるようになると、徐々に直接的な批判や苦情が減りました。2014年の夏、朝日新聞に「たごっこ」に来る子供たちを取材した記事が12回シリーズで掲載され、反響を呼びました。日本テレビ「ミヤネ屋」、NHK「おはよう日本」、テレビ東京系列「がんぱれプアーズ」などで特集もされ、それぞれ大きな反響がありました。

 

2011年には商店街の空き店舗を借りて、地域の子供・若者たちのための屋内の居場所「おもしろ荘」を開設しました。おもしろ荘では、子供・若者と何気ない日常を重ねながら、一人ひとりの生きづらさに寄り添う「まちなか保健室」や「こども食堂」の取り組み、中学生・高校生を対象とした個別学習支援の「寺子屋」、子育て中の親を対象に勉強会を開催するなど、地域の子供・若者や親との交流にも活動の枠を広げました。

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過去記事一覧
40 3公園でキャンプ まちづくりとして活用
39 科学を通じて地域の人々と研究者をつなげる
38 北海道の公園で「やってみたい!」を実現(恵庭ふるさと公園:恵庭市)
37 土器づくりを通じて縄文文化を学ぶ(三ツ池公園:川崎市)
36 公園を地域住民の手で心地よい場所に変えていく(熊野公園:東村山市)
35 次世代のために故郷の自然環境を守り、伝えていく(亀山里山公園「みちくさ」:亀山市)
34 公園は楽しい学びの場!「サバイバルピクニック」、「地域住民による公園づくり」(都立野川公園:東京都)
33 外遊びの楽しさを伝えていく(柏崎・夢の森公園:柏崎市)
32 筑豊の自然を楽しむ会(健康の森公園 他:飯塚市)
31 自然を愛する仲間との森づくりボランティア(びわこ地球市民の森:守山市)
30 野外人形劇で、公園に広がった笑い声(水前寺江津湖公園:熊本市)
29 公園での新たな遊び「珍樹探し」(国営昭和記念公園:立川市)
28 子供たちの居場所で、寄り添い、見守り続ける(柳島公園:富士市)
27 市民とともに育て続ける公園を目指して(安満遺跡公園:高槻市)
26 砂場から広がった子供たちの笑顔(福島市内 他:福島市)
25 造園業者と子供たちがつくる 公園でのコミュニティ(京坪川河川公園(オレンジパーク):舟橋村)
24 子供と子育て世代の目線で再生されたゴーカートのある公園(桂公園:十日町市)
23 市民による、市民のための花火大会(伊勢原市総合運動公園:伊勢原市)
22 かかしで地域を活性化 海外も注目する山里(かかしの里:三好市)
21 市民の手によって「つくり続ける公園」(みなとのもり公園(神戸震災復興記念公園):神戸市)
20 下町に残る、手つかずの自然を守り、育てる(尾久の原公園:荒川区)
19 絵本、ケルナー広場を通して、子供たちの成長を見守る(ケルナー広場:高崎市)
18 生かされていることを実感 自然と一体になれるサップヨガ(国営木曽三川公園ワイルドネイチャープラザ:稲沢市)
17 震災後、市民の手によって再生された西公園(西公園:仙台市)
16 住民の心をつないだ3万個のキャンドル(大栗川公園:八王子市)
15 市民がつくり、見守る広場(朝霞の森:朝霞市)
14 満月BARで公園の非日常を楽しむ(西川緑道公園:北区)
13 わらアートで、地域に笑顔と一体感を(上堰潟公園:西蒲区)
12 再生物語を支えるボランティア組織「MEG」(七ツ洞公園:水戸市)
11 公園が図書館に変わる「敷島。本の森」(敷島公園:前橋市)
10 公園に地域の人が集う「はじっこまつり」(和田公園:杉並区和田)
09 トンボの魅力を子供たちに伝える(西岡公園:札幌市)
08 「朝市」で公園がコミュニケーションの場に(茅ヶ崎公園野球場:茅ヶ崎市)
07 「スポーツ鬼ごっこ」を通じて 子供たちの居場所づくりを実現(しらかた広場:松江市)
06 高齢者、障がい者に公園案内 ボランティア側も癒される(大泉緑地:堺市)
05 仲間と共に成長してきたみはまプレーパーク(みはまプレーパーク:千葉市)
04 地域で子供たちを育成・指導 地元の公園でイルミネーション作り(宇部市ときわ公園:宇部市)
03 公園がアートな空間に生まれ変わる日 あそびの重要性を考える「アートパーク」(松戸中央公園:松戸市)
02 子供たちにワークショップで地域貢献 公園での活動は発見の連続(松戸中央公園:松戸市)
01 自然環境は、利用しながら保全する(国営ひたち海浜公園:ひたちなか市)


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