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第27回 フォトグラファー視点から見る公園

第27回は、東京カメラ部2019写真展Instagram部門に入選するほか、数々のコンテストで受賞され、国営昭和記念公園で「秋の夜散歩ライティングアドバイザー」としても活躍されている田島遼氏に、花修景やSNSの活用を中心に「フォトグラファー視点から見る公園」についてご寄稿いただきました。

 

国営昭和記念公園秋の夜散歩
ライティングアドバイザー
フォトグラファー 田島 遼氏

来園者数とSNS運用

最近はカメラを所有する人が劇的に増え、さらにはスマートフォンのカメラも性能がグッと上がり動画も高画質なものを気軽に撮れるようになりました。来園された方たちが良い風景を撮影し、SNSに上げる事で公園の花畑や風景が拡散され、より多くの方の「行ってみたい!見てみたい!」気持ちを刺激し、宣伝効果が高まります。

SNSの運用は来園数を増やすためには必須だと思います。去年携わった秋の紅葉ライトアップイベントでは、TikTokにその様子が投稿されプチバズりして、投稿以降は来園数が増加したり、若い年齢層の方を多く見かけるといった現象が起きました。

花畑やイベントの見せ方の工夫や、他ではやっていない強みを出すなど、いろいろ模索していくことも今後大事になってくるかと思います。

各公園のこだわりの花畑

花をメインの被写体として、10年以上自然の中に咲いている花々から、公園やお寺の花手水など、様々な場所で撮影をしてきました。その中でも撮りたくなる花畑、そして時間帯など今回は公園に絞ってお話いたします。

撮りたくなる花畑の一番のポイントは、花の植え方など、花畑を作られた担当の方のこだわりが感じられる場所です。花の寄りではなく花畑全体を撮るなら、特に重要になります。普段何気なく見ている花畑ですが、良く観察すると花を密集させて土が見えないようにしたり、配色のバランスや高さの違う花々を植えて立体感をだしたりと様々な工夫がなされている事に気づきます。ほんの一例ですが好きな公園のポイントをご紹介したいと思います。

 

【国営昭和記念公園 チューリップガーデン】

春の国営昭和記念公園。渓流の流れに沿って植えられた圧巻のチューリップ畑で毎年変わる配色も楽しみの一つ。

隙間なく植えられてる為、土が見えないのもポイント。

どの角度から撮影しても綺麗に撮影できる。

※開園直後に撮影

 

【国営常陸海浜公園 みはらしの丘 ネモフィラ】

こちらは国営ひたち海浜公園のネモフィラ畑。

起伏と一面のネモフィラが海のうねりのようにも見える。

丘に作り上げたからこその立体感とこれだけの規模は他にはない魅力。

※閉園間際に撮影

 

【あけぼの山農業公園 花畑 チューリップ/シャーレーポピー】

最後はあけぼの山農業公園。

営業時間の縛りが無く朝日と絡められる上に、風車という+αが合わせられる所、そして植え方も工夫されている所がお気に入りです。

ポピーの時期ですと朝霧と共に撮影できるのでオススメ。

※朝日に合わせて撮影

 

また、撮影時間も重要です。太陽が昇り始め、日の光で表情が刻々と変わる早朝や、星空が広がり、しんと静まり返る深夜などの時間帯での撮影は、花畑との相性も良く向いています。ただし、一般的には公園の開園時間外であることが多く、撮影が難しいため、もどかしい気持ちになる時があります。例えば限定で、早朝や夜間撮影できる期間を設け、この期間だけしか撮れないというレアな状況を作り出せば、さらなる公園利用にも繋がるかと思います。

ライトアップイベントとその難しさ

私がもう1つ撮影に力を入れている被写体がイルミネーションです。

毎年全国100ヶ所近く国内外問わず撮影しており、ここ数年は国営昭和記念公園の秋の紅葉ライトアップ、ライティングアドバイザーにも携わらせていただいています。

花+αというのも個人的にとても好きで、その中でも花+ライトアップはここ最近、特に増えたように思います。舎人公園の千本桜とネモフィラ、葛西臨海公園の向日葵と観覧車のライトアップなども、今年はSNSで人気でしたね。

各公園で花のライトアップやイルミネーションが増えてきましたが、ライトが強く撮影した際に白飛びしてしまったという経験はないでしょうか?私自身カメラで撮影しますが、来園者のほとんどはスマートフォン。そのため、ライトアップのアドバイスの際には、特にスマホでの撮りやすさを考えるようにしています。

目で見て綺麗なものと写真で撮って綺麗なものというのは必ずしもイコールではないのが難しいところではありますが、やはりライトの光量が強すぎたり距離が近すぎたりするとうまく撮影できないため、注意が必要です。ここをクリアできると来園された方々の満足度もさらに上がるのではと思い、私自身も勉強中です。

 

2022年 国営昭和記念公園、「秋の夜散歩」紅葉ライトアップ

 

ライトアップで特にお気に入りの場所の1つが、栃木県にあるあしかがフラワーパークです。

藤の花で有名ですがイルミネーションの時期もとてもクオリティが高く、花の邪魔をしない、とても調和のとれたライトアップをされています。藤の花をモチーフにした電飾で藤棚を飾ったり、本物のバラと一緒に同じバラモチーフのライトを使用するなど細部にまでこだわった作りになっているのには驚きました。「生命の樹」と名づけられたイルミネーションもアメジストセージをメインに幻想的な空間を作り上げています。

 

あしかがフラワーパーク 藤の花のイルミネーション

 

あしかがフラワーパーク 
本物のバラにあわせ、バラのライトを使ったイルミネーション

 

あしかがフラワーパーク 「生命の樹」イルミネーション

今後提案していきたいもの

私が公園で花修景に携わるなら、冬にアイスチューリップを咲かせて花畑を作ったり、花に影響のないスモークを焚いて、幻想的な花畑を作るなど、やってみたい事が沢山あります。花の色味や組み合わせ方なども、今後ご提案できる機会があればやってみたいですね。

SNSで言えば、今は“映え”て尚且つスマートフォンで見やすいような縦写真が好まれます。さらにショート動画が人気となるなど、状況が目まぐるしく変化しています。

今までの比較的年配の来園者の方々に加え、今後はSNSを使いこなす特に若い世代の人にどれだけ“刺さる”のかが、公園管理運営にとって重要になってくるのではないでしょうか。

 

■画像 : 田島 遼 氏

■関連ページ

X(旧:Twitter):twitter.com/ryovu

Instagram :Instagram.com/ryovu

 

※文中に出てくる所属、肩書等は、掲載時のものです。(2023年10月掲載)

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28 都市公園が持つ環境保全への役割
27 フォトグラファー視点から見る公園
26 高齢社会日本から発信する新しい公園文化
25 植物園の魅力を未来につなげる
24 アートで公園内を活性化!
23 手触りランキング
22 和菓子にみる植物のデザイン
21 日本庭園と文様
20 インクルーシブな公園づくり
19 世田谷美術館―公園の中の美術館
18 ニュータウンの森のなかまたち
17 地域を育む公園文化~子育てと公園緑地~
16 公園標識の多言語整備について
15 環境教育:遊びから始まる本当の学び
14 青空のもとで子どもたちに本の魅力をアピール
13 関係性を構築する場として「冒険遊び場づくり」という実践
12 植物園・水族館と学ぶ地域自然の恵み
11 海外の公園と文化、そして都市
10 都市公園の新たな役割〜生物多様性の創出〜
09 日本の伝統園芸文化
08 リガーデンで庭の魅力を再発見
07 七ツ洞公園再生の仕掛け
06 ランドスケープ遺産の意義
05 公園文化を育てるのはお上に対する反骨精神?
04 公園のスピリチュアル
03 遺跡は保存、利活用、地域に還元してこそ意味をもつ  ~公園でそれを実現させたい~
02 公園市民力と雑木林
01 これからの公園と文化


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