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3. 花畑と都市


今度は野菜畑からまたお花畑へ話を戻す。

最近はニューヨークも私の学生時代の1970〜80年代とは違い、随分と安全になったもので、マンハッタンの北の方も場所によっては地下鉄と徒歩で行く事も可能である。そこで、1875年にオルムステッドが設計して72丁目から158丁目にわたって6.4kmのびるリバーサイド・パークに行ってみた。

リバーサイド・パークはハドソン川に面するマンハッタン島の西側に位置し、1960年代に映画でも流行したミュージカル「ウェストサイド物語」のそのウェストサイドに位置し、そのミュージカルの舞台となった場所よりも、ずっと北に位置する。昔であったら物騒で昼でも一人歩きは危険と呼ばれたエリアである。

1960〜70年代のニューヨークを知っている人には、ニューヨークの公園がどれほど安全になったかを実感できる場所でもある。なぜ公園が安全になったかを考えると、もちろんここ数十年のアメリカの景気上昇もその根底にはあるが、ニューヨーク市自体の街の安全性の向上が公園や緑地にも波及したという事がある。

もう一つ理由があると思ったのが、このリバーサイドをなぜ訪れたかに関連している。この公園を訪れたのは公園内の小さなお花畑を見たかったからだ。そのお花畑は、映画のラストシーンに現れる場所で、「ユー・ガッタ・メール」というメグ・ライアンとトム・ハンクス主演のラストシーンの背景として使われている。

そこで目を引いたのは、花畑の周りの柵に掛っていたサインである。サインには、このガーデンは近隣住民によって作られ維持管理がされている事が示されている。近隣住民が材料まで持ち込んで、自分の庭の様に世話をする姿にはこれからの公園を考える上でのヒントがある。

最初にウェストサイドが危ない場所と言った事に関連するが、この公園管理の一部を住民がボランティアで行う事により、公園に絶えず監視の目が存在し、それにより公園が安全になるという現象が起きている。お花畑はもちろん公園としての景観を高めるだけでなく、公園のセキュリティ向上にも貢献している。アメリカでも日本でも公共サイドでは、公園の維持管理費の捻出に苦労している。その打開にはやはり近隣住民のボランティアの参加が不可欠である。それを引き出すためには、公共側もその土地の利用の自由度を住民や民間側に提供するという、お互いがウィンウィンとなる関係が必要である。それが公園をより良くし、さらにはその周りの街までも良く行く事に繋がると考える。

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過去記事一覧
30 公園から始める自然観察と地域との連携
29 すべての人々へ自然体験を
28 都市公園が持つ環境保全への役割
27 フォトグラファー視点から見る公園
26 高齢社会日本から発信する新しい公園文化
25 植物園の魅力を未来につなげる
24 アートで公園内を活性化!
23 手触りランキング
22 和菓子にみる植物のデザイン
21 日本庭園と文様
20 インクルーシブな公園づくり
19 世田谷美術館―公園の中の美術館
18 ニュータウンの森のなかまたち
17 地域を育む公園文化~子育てと公園緑地~
16 公園標識の多言語整備について
15 環境教育:遊びから始まる本当の学び
14 青空のもとで子どもたちに本の魅力をアピール
13 関係性を構築する場として「冒険遊び場づくり」という実践
12 植物園・水族館と学ぶ地域自然の恵み
11 海外の公園と文化、そして都市
10 都市公園の新たな役割〜生物多様性の創出〜
09 日本の伝統園芸文化
08 リガーデンで庭の魅力を再発見
07 七ツ洞公園再生の仕掛け
06 ランドスケープ遺産の意義
05 公園文化を育てるのはお上に対する反骨精神?
04 公園のスピリチュアル
03 遺跡は保存、利活用、地域に還元してこそ意味をもつ  ~公園でそれを実現させたい~
02 公園市民力と雑木林
01 これからの公園と文化


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