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島の海や野山の自然学習に水族館と植物園が連携


ところで、国内に数多くある島々の中で、水族館と植物園がほぼ同時期に整備されて今もなお公開されている地域は稀有である。紹介してきたように、水族館では瀬戸内海の海洋や水産生物を展示し、沿岸水域の環境に関する情報発信をしている。一方で植物園は、除虫菊や柑橘植物などに代表されるように、瀬戸内の温暖な気候に育まれた植物が育成展示されている。となれば、この両者が連携した博物館活動が展開されれば、教育面や観光面でも大きな成果をあげる可能性を秘めている。しかし、これまで両者は、組織や運営が異なることもあって、一緒に手を携えての活動がなされてこなかった。なんともったいないことか。

そこで筆者は、2018(平成30)年度に、地元の重井小学校の5年生を対象に、子どもたちが、両施設の見学や専門員から講話指導を受けるだけでなく、地元の自然と深く関わった仕事をしている漁業や農業従事者にも出会い、多くの人々とのコミュニケーションを通して、瀬戸内海や因島の野山や沿岸域の環境がお互いに有機的につながり、人々の手によって守り育てられていることに気づくことを狙った学習を展開している。

 

重井小学校の5年生は、この島の特産品であった除虫菊を4年次に調べ学習に取り組み、5月初旬に、因島フラワーセンターで開催された除虫菊祭りに合わせて、会場に集まった市民へ学習成果の発表会を行い、あわせて植物園の温室内でのタブレットを使った植物の観察記録の学習を行った(写真8)。

 

さらにその後、福山大学マリンバイオセンター水族館の教員が小学校に出張講話し、瀬戸内海の環境の特性や地域の水産生物と水族館での飼育展示について事前レクチャーし、水族館で調べてみたいテーマを各自で決めた。さらに後日、福山大学マリンバイオセンター水族館の見学学習を行い、同様にタブレットを使って観察記録した(写真9)。

 

これらの一連の活動により、子どもたちは、普段の食生活や釣りなどで見かける水産物の意外な能力や暮らしぶりに驚き、新たな発見からさらに調べ学習へと発展させている。その後の島の漁業者(漁師)との交流学習では、単に瀬戸内の漁業にだけでなく、魚のオスメスの見分け方、夜行性の魚について尋ねるなど、水族館で学んだことが地域学習に活かされている。さらに、メロンなどのフルーツ栽培をしている農業従事者との交流学習では、温暖な瀬戸内の気候と植物の栽培が深い関係にあることに気づくなど、本プログラムに関与した地域の人々すべてが、地元の自然や産物の素晴らしさを再認識し、積極的に発信交流できることを目指している。今後も、地域にある産業や歴史などすべてが教育資源に活用できるという視点で見直し、そこに大学や水族館が核となってICTも導入しながら「地域学習コーディネーター」となれるように働きかけていきたい。

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過去記事一覧
21 日本庭園と文様
20 インクルーシブな公園づくり
19 世田谷美術館―公園の中の美術館
18 ニュータウンの森のなかまたち
17 地域を育む公園文化~子育てと公園緑地~
16 公園標識の多言語整備について
15 環境教育:遊びから始まる本当の学び
14 青空のもとで子どもたちに本の魅力をアピール
13 関係性を構築する場として「冒険遊び場づくり」という実践
12 植物園・水族館と学ぶ地域自然の恵み
11 海外の公園と文化、そして都市
10 都市公園の新たな役割〜生物多様性の創出〜
09 日本の伝統園芸文化
08 リガーデンで庭の魅力を再発見
07 七ツ洞公園再生の仕掛け
06 ランドスケープ遺産の意義
05 公園文化を育てるのはお上に対する反骨精神?
04 公園のスピリチュアル
03 遺跡は保存、利活用、地域に還元してこそ意味をもつ  ~公園でそれを実現させたい~
02 公園市民力と雑木林
01 これからの公園と文化


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