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第18回 ニュータウンの森のなかまたち

第18回は、里山管理に取り組むボランティアグループ「ごもくやさん」の生き物撮影係で、会社勤めの傍ら、身近な生き物を撮影し発表されている なかかず氏にご寄稿いただきました。

ごもくやさん生き物撮影係の中田 一真さん

ごもくやさん生き物撮影係の
中田 一真さん

1. ごもくやさん紹介


2010年11月設立の「ごもくやさん」は、兵庫県三田市の北摂三田ニュータウン内のウッディタウンにある中央公園を中心に、里山管理に取り組むボランティアグループです。中央公園は面積16.3haで、敷地の6割近くは森や芝生等の緑地。ごもくやさんでは、指定管理者との協力の下、手つかずのままで伸び放題だったネザサや下草を刈り、鬱蒼と茂って暗くなった森の木々の除間伐を行って、林床に陽の光を取り入れる「森の手入れ」をしています。因みに「ごもくやさん」は、「森林」が5つの「木」の字から出来上がっていることから発想を得て、代表の上村哲三が名づけたものです。

 

私はごもくやさんの「生き物撮影係」として、手入れの進む中央公園の森と、そこに暮らす生き物たちの様子を記録し続けています。

2.自動撮影に取り組む

この約10年間、私は許可を得て中央公園の敷地内に自動カメラを設置し、哺乳類や鳥類の調査、撮影をしてきました。これまでに記録された哺乳類は14種、鳥類は52種を数えます。カメラを設置している環境は大別して、①獣道、②巣穴前、③水辺の3種類です。

 

 

①獣道

獣道といっても、獣だけが通るわけではなく、人も通る場所を獣たちは利用しています。面白いのは倒木。歩きやすいのか、面白いのか、わざわざ倒木の上を歩く姿が写ります。

獣道のキツネ

獣道のキツネ

倒木の上を歩くテン

倒木の上を歩くテン

 

②巣穴前

森の中には何ケ所も、気になる巣穴があります。この巣穴はもともとアナグマが掘ったもの。でも、年によって繁殖に利用する動物が変わります。ある年はアナグマ、またある年はタヌキ。日当たり良好の優良物件は人気があり、様々な動物たちが入れ代わり立ち代わり覗きに来ます。インターネット経由で画像を送信するカメラを設置して、何か動きがあればスマホにデータが送られてくるようにして、観察を続けています。

巣穴前のタヌキ夫婦

巣穴前のタヌキ夫婦

 

 

③水辺

水辺には、季節に応じて様々な鳥たちが水飲みや水浴びに訪れます。特定外来生物のアライグマも夏には頻繁に姿を現し、アメリカザリガニを捕食している様子が写ります。

アメリカザリガニを食べるアライグマ

アメリカザリガニを食べるアライグマ

3.ササユリと環境学習

中央公園の森を手入れする目的の一つに、日本固有種のササユリの保護増殖があります。

 

ササユリは明るい草地環境を好む植物で、かつて里山が薪炭林として利用されていた頃にはたくさん咲いていたようです。里山が放置され、藪になると、ササユリも姿を消していきます。ごもくやさんが活動を開始した2010年、中央公園で花を咲かせていたササユリはわずか35株。それが今では200株を超します。ササユリは種が落ちて芽を出して、花が咲くまで7~8年もかかる実に気長な植物。

 

地元のけやき台小学校3年生の環境学習では、6月に開花したササユリの花の観察を、11月には下草刈りとササユリの種まきをしています。今年、子供たちが見た花は、7~8年前、先輩たちがまいた種が育ったものかもしれません。

ササユリ観察会

ササユリ観察会

4.ウッディタウンのなかまたち

私は、年間を通じ、自動カメラを駆使しながら、昼夜を問わず公園の中を歩き回り、生き物の姿を探し求めています。撮りためた写真や動画は、自然観察会や小学校の環境学習、講演会や写真展、公園ボランティアの定期刊行物やインターネットなど、様々な機会や方法を使ってご紹介しています。

 

この秋、ごもくやさんは設立10周年を迎えます。これを記念し、現在、小冊子「ウッデイタウンのなかまたち」の製作を進めています。中央公園の森や水辺、ニュータウンの中を流れる川や住宅街の庭など、舞台を私たちの暮らす街にまで拡げて、この10年間の生き物たちの移り変わりを写真と文章で紹介します。

 

2020年10月発行予定「ウッディタウンのなかまたち」

2020年10月発行予定「ウッディタウンのなかまたち」

 

 

環境学習で写真や動画を見せるたび、子供たちは口々に「こんなに近くにタヌキやアナグマがいるなんて知らなかった!」と驚きの声を上げます。そう、日常生活の中でタヌキやアナグマに出会うことは滅多にありません。でも、「そこにいるかも」と思い始めた途端、世界は全く違う輝きを放ち始めます。

 

「家の近くでキツネを見た!」「テンが庭にやって来た!」

 

子供たちの新発見の役に立つことができたとしたら、これに勝る喜びはありません。

 

 

 

◆関連ページ
中田一真のホームページ http://www.asahi-net.or.jp/~jx7k-nkt

 

※文中に出てくる所属、肩書等は、掲載時のものです。(2020年8月掲載)

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過去記事一覧
21 日本庭園と文様
20 インクルーシブな公園づくり
19 世田谷美術館―公園の中の美術館
18 ニュータウンの森のなかまたち
17 地域を育む公園文化~子育てと公園緑地~
16 公園標識の多言語整備について
15 環境教育:遊びから始まる本当の学び
14 青空のもとで子どもたちに本の魅力をアピール
13 関係性を構築する場として「冒険遊び場づくり」という実践
12 植物園・水族館と学ぶ地域自然の恵み
11 海外の公園と文化、そして都市
10 都市公園の新たな役割〜生物多様性の創出〜
09 日本の伝統園芸文化
08 リガーデンで庭の魅力を再発見
07 七ツ洞公園再生の仕掛け
06 ランドスケープ遺産の意義
05 公園文化を育てるのはお上に対する反骨精神?
04 公園のスピリチュアル
03 遺跡は保存、利活用、地域に還元してこそ意味をもつ  ~公園でそれを実現させたい~
02 公園市民力と雑木林
01 これからの公園と文化


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