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公園機能から公園の使命へ


これからの公園は、機能を掲げるだけでなく、公園の使命を如何に達成するかが重要な時代だと思います。人々の公園への期待が機能から使命に変わるという見方です。従来、公園づくりはレクリエーション機能、防災機能、景観構成、あるいは環境保全機能をもつものとしてなされてきましたが、最近は、現存する公園がいかなるミッションを持っているか、果たしているかの関心に移っています。私の認識では、機能から使命への変化は、文化への志向の高まりといえます。

これまでの日本は経済大国づくりにまい進してきました。経済成長から高度経済成長へとひたすらこの方向に駒を進めてきましたが、過去の時代の繰り返しを見てみると、新しい文化というものは、混乱期や経済隆盛期を経て、その次に起こる一つのサイクルの中で生み出されているように感じられます。混乱期の後にそれを取り戻す経済の時代があり、経済的余裕の中で文化が芽生えるという流れが見て取れます。

ブリヂストンの創業者・石橋正二郎氏を例にあげてみましょう。かつて福岡県久留米市の緑のまちづくりに関与した時に、ブリジストン通りとして市民に親しまれているケヤキ並木の存在を知りました。ブリヂストンの創業者・石橋正二郎氏の発案のようです。氏の生家は、足袋(たび)やはんてんなどを作る仕立屋でした。家業を継いだ石橋は、仕事の効率を上げるために足袋専業に経営転換し生産効率を上げるのに成功しました。石橋氏が次に行ったのはモニター調査です。足袋を最も買いに来るのがお百姓さんだという結果を得て、水に強い丈夫な足袋を作ることを考えました。今でいう消費者目線での商品開発というわけです。その結果、生まれたのが裏にゴムを縫い付けた地下足袋でした。ゴム付は値段が高く、農家には容易に手が届かなかったのですが、ちょうど関東大震災が発生し、地下足袋は震災復興の作業をする人たちの履物として大ブレイクしました。

石橋は地下足袋の次に何を商品とするかを考えるため、ヨーロッパ視察に出かけました。そして日本がまだ馬車中心の時代にヨーロッパでは車が主流になってきているのを見て、地下足袋の次はタイヤだと思い、タイヤの研究開発そして生産をはじめたようです。詳しくは述べませんが、その後、石橋文化ホールや美術館など様々な文化活動を通じた社会貢献をしていることを見ると、混乱や経済と比較して並べてみる文化の特性が見えるように思います。



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過去記事一覧
31「公園を育てながら楽しみつくす「推しの公園育て」」 非営利型一般社団法人「みんなの公園愛護会」代表理事 椛田里佳
30「公園から始める自然観察と地域との連携」 日本大学 生物資源科学部 森林学科 教授 杉浦克明
29「すべての人々へ自然体験を」 自然体験紹介サイト「WILD MIND GO! GO!」 主宰 谷治良高
28「都市公園が持つ環境保全への役割」 札幌市豊平川さけ科学館 学芸員(農学博士)札幌ワイルドサーモンプロジェクト共同代表 有賀望
27「フォトグラファー視点から見る公園」 国営昭和記念公園秋の夜散歩 ライティングアドバイザー フォトグラファー 田島遼
26「高齢社会日本から発信する新しい公園文化」 鮎川福祉デザイン事務所 代表 埼玉県内 地域包括支援センター 介護支援専門員 (ケアマネジャー) 鮎川雄一
25「植物園の魅力を未来につなげる」 (公社)日本植物園協会 会長 水戸市植物公園 園長 西川綾子
24「アートで公園内を活性化!」 群馬県立女子大学文学部美学美術史学科准教授 アートフェスタ実行委員会代表 奥西麻由子
23「手触りランキング」 樹木医・「街の木らぼ」代表 岩谷美苗
22「和菓子にみる植物のデザイン」 虎屋文庫 河上可央理
21「日本庭園と文様」 装幀家 熊谷博人
20「インクルーシブな公園づくり」 倉敷芸術科学大学 芸術学部 教授、みーんなの公園プロジェクト代表
19「世田谷美術館―公園の中の美術館」 世田谷美術館学芸部 普及担当マネージャー 東谷千恵子
18「ニュータウンの森のなかまたち」 ごもくやさん 中田一真
17「地域を育む公園文化~子育てと公園緑地~」 東京都建設局 東部公園緑地事務所 工事課長 竹内智子
16「公園標識の多言語整備について」 江戸川大学国立公園研究所 客員教授 親泊素子
15「環境教育:遊びから始まる本当の学び」 すぎなみPW+ 関隆嗣
14「青空のもとで子どもたちに本の魅力をアピール」上野の森親子ブックフェスタ運営委員会(子どもの読書推進会議、日本児童図書出版協会、一般財団法人出版文化産業振興財団)
13「関係性を構築する場として「冒険遊び場づくり」という実践」 NPO法人日本冒険遊び場づくり協会 代表 関戸博樹
12「植物園・水族館と学ぶ地域自然の恵み」 福山大学生命工学部海洋生物科学科 教授 高田浩二
11「海外の公園と文化、そして都市」 株式会社西田正徳ランドスケープ・デザイン・アトリエ 代表 西田正徳
10「都市公園の新たな役割〜生物多様性の創出〜」 千葉大学大学院園芸学研究科 准教授 野村昌史
09「日本の伝統園芸文化」 東京都市大学環境学部 客員教授 加藤真司
08「リガーデンで庭の魅力を再発見」 (一社)日本造園組合連合会 理事・事務局長 井上花子
07「七ツ洞公園再生の仕掛け」 筑波大学芸術系 教授 鈴木雅和
06「ランドスケープ遺産の意義」  千葉大学名誉教授 赤坂信
05「公園文化を育てるのはお上に対する反骨精神?」 森本千尋
04「公園のスピリチュアル」 東京農業大学名誉教授・元学長 進士五十八
03「遺跡は保存、利活用、地域に還元してこそ意味をもつ~公園でそれを実現させたい~」 学校法人旭学園 理事長 高島忠平
02「公園市民力と雑木林」 一般社団法人日本樹木医会 会長 椎名豊勝 
01「これからの公園と文化」 一般財団法人公園財団 理事長 蓑茂壽太郎


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