
平成6年 財団法人 公園緑地管理財団(現:一般財団法人 公園財団)入社
これまで国営昭和記念公園をはじめ大規模公園の維持管理(主に植物管理)、
運営管理にたずさわる。
樹木医、技術士(建設部門)、森林インストラクター、公園管理運営士

葉っぱには、クロロフィルという緑色の色素とカロチノイドという黄色の色素が含まれていますが、クロロフィルの量が多いため黄色は目立たず、葉っぱは緑色に見えています。秋になり、気温が低くなったり、日照時間が短くなったりすると、活動が弱まりクロロフィルが分解され、カロチノイドが目立ってきて、葉っぱが黄色く見えるようになります。黄色く黄葉するものにイチョウ、イタヤカエデ、ブナなどがあります。
一方、この時期、葉を維持する消費エネルギーを減らすために、落葉の準備をはじめます。このとき、葉っぱと茎の間に離層が形成され、水分や栄養分のやり取りができなくなるので、葉っぱで作られた糖分が葉っぱに蓄積されるようになります。この糖分がアントシアニンという赤い色素に代わり、葉っぱが赤く見えるようになります。葉っぱが紅葉するものに、イロハモミジ、オオモミジ、ニシキギ、ツタウルシ等の植物があります。紅葉が始まったころ、葉っぱが赤黒くなるのは、クロロフィルが充分に分解される前にアントシアニンができ始め、緑と赤が混ざって見えるためです。
夏の日照時間や気温、降水量なども関係してくるため、一概に言うことは難しいですが、きれいに紅葉する条件は主に次の3つと言われています。
1.昼と夜の気温差が大きい
2.日光(紫外線)によく当たる
3.適度な湿度がある
1.昼と夜の気温差が大きい
夜に気温が高いと、昼に光合成で作った糖分を呼吸などで夜に使ってしまいます。そのため、夜の気温が低く、昼と夜の気温差が大きいと糖分が葉っぱの中にたくさん残り、アントシアニンがたくさんできるため、きれいな赤色になります。
2.日光(紫外線)によく当たる
葉に強い紫外線があたると、アントシアニンの形成が進むため、きれいに紅葉します。
3.適度な湿度がある
寒くなり、離層が形成されると、幹と葉っぱの間で水分や栄養分のやり取りがなくなりますが、葉からは水分が出ていきます。そのため、空気が乾燥しすぎると葉が枯れてしまうので、適度な湿度が必要となります。
繁華街などでは、街路灯やネオンなどによって、夜遅くまで、あるいは一晩中明かりがついていることが多く、その影響で樹木が休眠体制に入ることができず、葉が緑色のままでいることがあります。よく見ると、12月になってもまだ葉っぱが青く残っている樹木の近くに街路灯があったり、光の当たりやすい樹冠の外側だけ緑で内側は葉が黄葉していたりすることもあります。
街路灯の光の影響を受けやすい樹種としては、スズカケノキ、ユリノキなどがあります。
◆参考文献
三沢彰、高倉博史(1990):夜間照明による街路樹の落葉期への影響,造園雑誌53(5),127-132.
