
(一財)奈良の鹿愛護会*において、ケガや病気のシカの救助や、妊娠しているシカの保護収容、雄シカの角の除角作業などの保護活動を担当しています。
*(一財)奈良の鹿愛護会:国の天然記念物「奈良のシカ」の保護育成、調査研究、保護の為の普及活動、環境教育、「鹿の角きり」「鹿寄せ」などの伝統行事の継承をする活動など、シカと人とが共に幸せに暮らしていくための活動を行っています。

奈良公園内には、野生の雄シカ約200頭・雌シカ約800頭・子シカ約200頭、合計約1,200頭のシカが生活しており、そのシカのフンの量は年間で約300トンにもなります。このフンは、約40種ほど生息している「糞虫」と呼ばれるコガネムシ類が、餌として食べて分解しているので、公園が排泄物で埋まることはありません。糞虫が分解した後、ミミズや微生物によって土にかえり、芝生などの植物の栄養となります。その芝生などを鹿が食べるという自然循環が奈良公園では保たれています。
シカの保護施設「鹿苑 (ろくえん) 」には約300頭のシカが保護収容されており、鹿苑で集められたフンも堆肥化しています。
シカの角は雄シカ特有のもので、毎年3月頃になると自然に根元部分から脱落して新しく生え替わります。4月頃から8月頃にかけて「袋角」(ふくろづの)と呼ばれる柔らかい外皮に包まれ、中に血管が通った状態で成長します。血流によってカルシウムが沈殿し、根元から角化します。やがて8月下旬頃から全体が硬くなり、血流が止まった後、外皮が剥げ落ちてシカの角は完成します。完成した角の表面に見える溝のようなものは血管の跡です。
年令によって角の大きさや枝分かれの数も違い、雄シカの壮年期(7才~10才)では最大約60㎝にもなります。
角が完成する秋は雄シカの発情期なので、奈良公園では人とのトラブルや、シカ同士が突き合ってケガをしないように奈良の鹿愛護会によって雄シカの角を切り落とします。また、毎年10月上旬には、伝統行事「鹿の角きり」も行われています。
切り落とされた角は奈良の鹿愛護会で販売しており、売上はシカの保護活動に充てられます。
