
手作り科学館 Exedra
千葉県柏市
農作物を荒らすイノシシや、林業への影響が深刻なシカ、既存の生態系を破壊する特定外来種のアライグマやキョン等は全国で増えすぎ、毎年数多く駆除されていますが、そのほとんどは廃棄処分されています。しかし、元は人間の不適切な行動により人里に現れたり国内に持ち込まれたりした動物です。
「手作り科学館 Exedra」では、これらの駆除された動物を回収し、解剖や皮なめしをして、ブレスレットを作るキットを開発しました。野生動物についてまとめた「科学館のラボノート」が同梱され、動物の生態や体の構造、進化の歴史などを学び、自分でも体験して考えたことなどを書き留める仕様になっています。
また、館内には、動物の革や毛皮、骨や胎児・内臓などが展示されています。講演会や講座、出張展示などのイベントを開催することで、資源の活用と野生動物への理解を進め、意識と行動の変容を促す普及啓発を行っています。

右の箱が教材セット「科学館のラボノート
~野生動物つかまえた! つくる!レザーブレスレット~」
この他、骨のアクセサリーや筆箱も作成・販売している
『野生動物つかまえた』と題した教材で楽しめるブレスレット作りは、子供にもできる比較的簡単なものです。革を切ったり編んだりする体験に加え、ガイドブックで学ぶことで、次世代を担う子供たちはもちろん、農村部だけでなく都市部に住む大人にも、野生動物や生態系等について質の高い情報を提供しています。野生動物と人間の暮らしの関わりについて理解を深め、生活を持続可能なものにするための教育的な取り組みです(4.7※)。
増えすぎた野生動物を管理することは、農村部やもちろん、都市の環境上の悪影響を軽減(11.6)し、既存の生態系を破壊する外来種を駆除することは、陸域生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用(15.1)を実現しています。さらに、駆除した動物を教材として活かすことは、天然資源の効率的な利用(12.3)や、人々が持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つ(12.8)ことに貢献しています。
最終的には、この活動によって、人間と野生動物とのかかわり方について考え、両者が無理なく適切に共存できる持続可能な社会の実現を目指しています。
※(数字)は169のターゲットの該当する番号を示しています。
(2022年2月掲載 )
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