株式会社日比谷アメニス
大井ふ頭中央海浜公園(東京都品川区)
大井ふ頭中央海浜公園は、1978年に東京港に面する海上公園の1つとして開園しました。野球場やテニスコート、陸上競技場などのスポーツ施設を備える「スポーツの森」と、バードウォッチングや釣りなどが楽しめる「なぎさの森」の2つのエリアがあり、約45haの豊かな緑が広がります。
公園では2022年から、自然から得られる資源を活用し、資源循環型社会、気候変動対策に貢献する公園運営「ゼロエミッションパーク(ZEP)」に取り組んでいます。

様々なスポーツ施設が整備された“スポーツの森”

自然観察などが楽しめる“なぎさの森”
1.公園ごみ⇒資源へ 有効活用モデルとしての取り組み
指定管理者として運営管理する15箇所の東京都立海上公園では、毎年約100~200トンの剪定枝が発生しています。
剪定枝は、一般的にはマルチング材や堆肥化して利用されるほか、一般廃棄物として搬出し処理されることもあります。
剪定枝は公園管理の中で安定的に発生する有用な資源であり、園内へ還元していくことは、有効活用のモデルとなります。また当公園では、公園のエネルギー自給率を向上させるため、スポーツ施設の予約受付等を行う大井スポーツセンターでの木材を原料とする燃料、木質バイオマスを利用した熱供給システムの導入を検討してきました。
そこで2010年より公園で発生した剪定枝を有効活用するため、バイオマスボイラーによる、スポーツセンターの空調や給湯の主熱源への転換の検討を行い、2014年より本格稼働を始めました。
バイオマスボイラーで使用する木質バイオマスは、剪定枝をチップ化したものです。剪定枝などの木質バイオマスは、樹木の成長過程の光合成で大気中からCO2を吸収していますので、燃やしてもCO2増減に影響を与えないカーボンニュートラルとして扱われています。

大井スポーツセンター
2.乾燥技術による廃棄物から資源への変換
毎年最大50トンほどの剪定枝を使用し、チップ化されたものは、熱利用の効率を上げるために水分を取り除きます。公園では太陽熱を使って効果的に木質チップを乾燥させる「ソーラードライシステム」を採用し、チップの水分含有率を2週間程かけて約45%から15~25%まで下げます。

「ソーラードライシステム」のしくみ

園内にある「ソーラードライシステム」
乾いたチップは木質バイオマスとして燃焼させ、発生したエネルギーは、スポーツセンターへの温熱供給に使用しています。
スポーツセンターの空調や給湯の主熱源を、木質バイオマスに置き換えたことにより、これまで都市ガスで供給していた熱源の50~90%を代替することができます。また、これまでの搬出処分を見直し、コスト削減にもつながりました。
バイオマス利用は、これまでのガスや電気への依存を低減させ、循環型のエネルギー供給システムの構築が可能です。更に、公園における防災・減災機能の1つとして、震災等、災害発生時での利用にも期待されます。

大井スポーツセンターの主熱源となるバイオマスボイラー
◆関連ページ
▼大井ふ頭中央海浜公園(スポーツの森)
https://seaside-park.jp/search_park/park_ooisports
▼大井ふ頭中央海浜公園(なぎさの森)
https://seaside-park.jp/search_park/oinagisapark
▼株式会社 日比谷アメニス
https://www.amenis.biz/biomass/
※文中に出てくる所属、肩書、情報などは、掲載時のものです。(2025年11月掲載)























