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赤ちゃんから高齢者までの憩いの場でありたい~鶴間公園 EAT&PLAY!~
11住み続けられるまちづくりを 3すべての人に健康と福祉を
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団体名

EAT&PLAY!

場所

鶴間公園

内容

鶴間公園は1979年に開園し、2019年に再開発事業が進められた後、「南町田グランベリーパーク」の一部として再開園しました。公園は6つのエリアに分かれており、その中には、かつて里山だった風景を再現した「つるまの森」や、大きな芝生の広場「運動広場」、テニスコートや人工芝グラウンドがある「スポーツエリア」などがあります。鶴間公園では、毎月1回日曜日に子ども食堂を展開しています。子ども食堂に対する貧困のイメージを払拭するため、名称をEAT&PLAY!とし「こども」や「食堂」に限らない活動であることをアピールしています。EAT&PLAY!は、子ども食堂の活動を通して、朝ごはんを食べ、子ども達と遊んだり、子どもと大人が憩う場を提供しています。

 

効果

EAT&PLAY!について

活動拠点である南町田は、子どもの転入数が多く、町田市は全国でも第2位(総務省統計局2023年1月30日公表データより) となっています。近年、核家族や夫婦共働きの家庭が増え、子どもたちの地域行事に参加する機会も減っています。子どもたちが友達と遊んだり、保護者同士が悩みを共有したりするなど、地域での交流が少なくなっています。みんなで楽しく食事をしながら、子どもたちを見守る目を大切にすることが、これからの子育て社会で最も重要だと考えています。

 

EAT&PLAY! は公園で行う屋外型のこども食堂です。南町田に住むママ、パパたちが中心となり、みんなでご飯を食べる、みんなで楽しく遊ぶ、そんな憩いの場所づくりを目指しています。毎月1回日曜日の朝8時から、朝ご飯を提供して公園で遊んでもらう活動を行っています。野菜の一部は地域の人に提供を受け、当日の朝に炊き立てのご飯を用いて、おにぎりと豚汁を出しています。豚汁に使うお味噌は、子ども達と一緒に毎年手作りしています。親にゆっくりしてもらうため、絵本の読み聞かせとコーヒーの無料配布をしたり、夏は流しゼリーや大縄跳びも実施するなど、イベントや遊びを加える提案も同時に行っています。現在運営メンバーは約12人で、参加者は50~70人位です。焼き芋イベントも人気で、昨年度の参加者は90人ほどにもなりました。今年は用意した焼き芋150本が売り切れるほどの参加者がきました。

 

毎年子ども達と味噌づくり体験を行い<br/>その味噌を使用し豚汁を提供

毎年子ども達と味噌づくり体験を行いその味噌を使用し豚汁を提供

夏は食中毒に配慮しミネストローネとパン

夏は食中毒に配慮しミネストローネとパン

 

■EAT&PLAY!を始めるまでの苦労

EAT&PLAY!の企画を鶴間公園に持ち込んだのは2019年でした。企画を町田市や町内会に相談したときは、「南町田は世帯所得が高く、子ども食堂の需要はない。他の場所でやってほしい」と言われました。実績も無く、協力者もおらず、町田市も鶴間公園管理会社もすぐにはOKを出してくれませんでした。その後新型コロナによるパンデミックが起こり、集会や会食が出来なくなったため、しばらくEAT&PLAY!の開設活動を中断して、他の食堂や冒険遊び場の視察、資金繰りの方法などについて情報収集をしていました。視察した世田谷の二子玉川公園では、プレイカーが食事を作って屋外で楽しそうに食事をしていました。玉川学園のおむすび食堂は、子どもたちだけでなく、大人たちもゆっくりしながら悩みを語り合う姿が印象的でした。こんな居場所があったらいいな、広くてアクセスの良い鶴間公園で子ども食堂をやりたい、と強く思い、企画を進めることにしました。2022年になると国内の新型コロナ対策が緩んできて、鶴間公園から「来年から公園で会食が可能になるので子ども食堂をできる」と連絡があり、2023年6月からEAT&PLAY!をスタートしました。第1回は広告不足で参加者が集まらず、当時公園にいた親子に声をかけて参加してもらいました。「こんな活動があるなんて嬉しい」と笑顔で楽しそうにおにぎりを食べてくれたことが印象的でした。

 

■EAT&PLAY!を始めてからのニーズの高さを実感

実際に開催してみると、共働きで日曜日の朝はゆっくりしたいお母さん、日曜日の朝から外で遊びたい子どもたちが、毎回来てくれるようになりました。EAT&PLAY!は屋外開催となるため、雨天中止となることもあります。ある日、曇り予報でしたが当日小雨になりテントの下での開催となったときのことです。今日は誰も来ないだろう、と予想していましたが、実際は自分の器を持って子どもたちが集まり、大きな木の下やテントの下で、みんなで豚汁を食べていました。その時、毎回楽しみにしてくれる子もいることに気づきました。EAT&PLAY!を楽しみにしている子どもたちの中には、さまざまな悩みを抱えている子もいます。こうした子どもたちは、誰にも話せず悩みを一人で抱え込むことが多いです。しかし、EAT&PLAY!のような居場所では、安心して過ごすことができ、少しでも心の憩いの場となることができます。私たちは、そうした子どもたちにとって、重要なサポートの場でありたいと考えています。

 

現在は参加者のほとんどがリピーターで、次の開催日をチェックしたり、小学校や学童、保育園に貼ったチラシを見て来てくれます。赤ちゃんサロンも併設してほしいという要望があり、赤ちゃんエリアも設けたところ、赤ちゃん連れの親子がのんびりご飯を食べ、赤ちゃんを参加者の小学生がお世話してくれていました。また、近所のグループホームの入居者が時々遊びに来てくれて、夏には車いすのおばあちゃんが一緒にスイカ割をしました。このように赤ちゃんから高齢者まで、多世代が来てくれる場所になってきています。

 

■今後の展開など

まずは子ども食堂として長く継続していけることが目標です。そのためには活動に協力してくれるボランティアが必要で、現在も足りない状況です。慢性的な人手不足は深刻な悩みですが、協力団体や参加者は徐々に増えています。協力団体の1つであるTULLY'S COFFEEからコーヒーを無償提供してもらい、職場体験のような店員ごっことして、子どもたちが大人にコーヒーを配る取り組みなどを行っています。これからも支援いただく方々への感謝を忘れずに活動の幅を広げていきたいです。

 

また、広報活動も積極的に行いEAT&PLAY!の宣伝をしていきたいと思っています。昨年10月は鶴間公園の地域イベント「つるまパーク大作戦」に参加して、EAT&PLAY!の宣伝をしました。このイベントでは、協力団体が絵本の読み聞かせや、音楽の演奏をしてくれました。

 

鶴間公園の地域イベント「つるまパーク大作戦」

鶴間公園の地域イベント「つるまパーク大作戦」

 

赤ちゃんから高齢者まで、多世代が憩いの場として集うEAT&PLAY!ですが、今年は特に「居場所のない子」への支援に力を入れていきたいと思っています。桜美林大学の不登校児支援団体の学生が行う「希望の扉大作戦」に広告を掲載してもらいました。子供を取り巻く環境は大きく変化しています。今後も子ども達にどんな支援が出来るのか、地域の居場所として何が必要なのかを探し、考え、たくさんの人々と繋がって、様々な問題を解決できたら嬉しいです。また食事だけではなく、自然の中での遊びや、体験を提供したいと考えており、毎年1月に行っている焚火で焼き芋づくり、焼きマシュマロ体験には力を入れていきたいと思います。

 

焼きマシュマロ体験

焼きマシュマロ体験

※主な支援団体

・アウトドアブランドsnowpeak :机の貸出

・TULLY'S COFFEE :コーヒーの提供。子供たちがコーヒーを配る職業体験の側面あり。

・近隣保育園 :テントの貸出

・ひだまりのおはなし会 :絵本や紙芝居の読み聞かせ

・近隣農家 :野菜の提供

・知り合いの養豚場 :安く豚肉を譲ってもらう、国産材料にこだわって食事を提供

・町田市のJA :野菜の提供

・社会福祉協会 :フードバンクの利用、食材提供

・鶴間公園管理会社 :共同企画者、町田市への各種申請、焚火の時は消防への申請、保健所への申請

 

他にも近隣の子ども食堂とネットワークを形成し、お互いに物資の提供や情報交換を行っています。

ひだまりのおはなし会による読み聞かせ

ひだまりのおはなし会による読み聞かせ

 

小学校での体験学習は場所も機会も減少しており、鶴間公園のような大型公園でこども食堂を行うメリットはとても多く、可能性が広がります。子どもたちは走り回るのが大好きです。たくさん遊んでたくさん食べるといった、子どもに必要な二つのことがEAT&PLAY!では叶います。

 

サポートが必要な人たち、例えば家で孤食になっている、食事をもらえていない子や、ひとり親の家庭、貧困家庭、不登校児にEAT&PLAY!へ一度来ていただきたいと強く願っています。子どもたちだけでなく日頃から育児・家事・仕事と忙しい大人の方にも安らぐ時間を提供したいです。赤ちゃんから高齢の方まで、子どもも大人も、様々な人たちが集まって、リラックスして過ごせる居場所がある町は、いつまでも住みやすい町になると思います。歴史ある鶴間公園は、再開発事業とパンデミックを経て、新たなコミュニティの生まれる場所になりました。EAT&PLAY!はたくさんのボランティアと一緒に、子ども食堂を通して、そんな居場所の一つになれることを目指し、これからも頑張っていきます。

 

※文中に出てくる所属、肩書、情報などは、掲載時のものです。(2025年4月掲載)

 

関連ページ

▼鶴間公園 https://tsuruma-park.com/

 

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