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第4回 地域で子供たちを育成・指導 地元の公園でイルミネーション作り

公園をより楽しく、有効につかってもらうために、公園との関わりの深い方々への取材を通して、皆さまに役立つ情報をお届けしたいと思います。

◆第4回は、山口県宇部市子ども会育成連絡協議会(以下、市子連)会長の池田昌史氏のインタビュー記事をお届けします。
市子連は、約50年以上にわたり地域の子ども会活動の活性化や指導者の育成を担ってきました。その一環として、宇部市ときわ公園で開催されているイベント「TOKIWAファンタジア」のイルミネーションコンテストに子ども会の子供たちが参加し、2010年には優秀賞を、昨年(2013年)は大賞と市民賞を受賞しました。これまでもさまざまな行事に子供たちを参加させ、地域と大人がサポートする活動などを続けてきた池田会長から、日頃の活動や「TOKIWAファンタジア」に参加した経緯などをうかがいました。

1960年に発足した宇部市子ども会育成連絡協議会

市子連は、1960(昭和35)年に「地域の子どもは地域で育てよう」を理念に、当時、宇部市内18小学校区(以下、校子連)でスタートしました。PTAは学校の中での活動でしたが、市子連は地域の中で、社会教育を実践していく活動を行うことを目的に発足しました。

市子連は現在、宇部市内の21校区1支部の校子連が会員として活動しています。市子連は、会員である子供と育成者(保護者と地域の大人)で構成されているため、会員数は6000人(小学1~6年)、育成会6000人の計約1万2000人となります。現在、宇部市の児童(小学生)の71%が加入しています。子供の数は少子化の影響か、毎年300~400人減という状況です。

市子連の活動は、スポーツや文化行事を通して、異年齢の子供同士の交流、子供と大人とのふれあい、自然とのふれあい、そして集団生活での規律など、地域の連携と連帯感で子供を育成することが基本です。これらの活動は学校教育や家庭では学べない貴重な経験の場となっています。

活動の内容は、各校子連で球技大会を中心としたスポーツ、演劇やお祭りなどの文化、キャンプや芋ほりなどの自然体験などです。その他にも、自転車安全教室や救命講習、防災訓練、老人ホームの慰問などさまざまな行事を行っています。

50周年事業として「TOKIWAファンタジア」に参加

市子連は、4年前の2010年度に設立50周年を迎えました。半世紀という節目にあたり、記念誌の発行をはじめ、球技大会や千人騎馬戦、文化祭、宇部まつり曳山でのパレード、記念植樹などさまざまな行事を行いました。また、ときわ公園で開催される「TOKIWA ファンタジア」でのペットボトルタワーのギネス記録挑戦と、イルミネーションコンテストの2つのイベントに参加しました。ギネスは見事記録を達成、イルミネーションは優秀賞を受賞しました。50周年事業を記念して参加した2つのイベントは、市子連の絆を固く結ぶだけでなく、宇部市全体を盛り上げる出来事となりました。

ペットボトル集めに奔走したタワー作り

ギネスに挑戦「ボトルで作る世界一高い彫刻」は、ペットボトルを接着剤で組み合わせたタワーを作り、高さでギネス記録に挑みます。準備期間は8月~10月。集めたペットボトルの総数は約12,120本です。高さ11m37㎝でギネス新記録を達成しました。企画した山口大学(長州科楽維新プロジェクト)が強度を計算した上で、使用するペットボトルのメーカー(2リットル角形ウーロン茶)が指定されていたため、ペットボトル集めには苦労しました。子供たちやそれぞれの家庭、山口大学、学生の皆さん、スーパーほか市民の方々のご協力もあって見事、達成することができました。子供たちが記録達成となる頂点を組み上げ、最後は子ども会に花を持たせてもらう形となりました。そのときの巨大なペットボトルタワーは、新聞やテレビにも取り上げられたので子供たちも大喜びでした。

イルミネーションを基礎から勉強

イルミネーションコンテストは、ときわ公園遊園地内の木を活用してイルミネーションを装飾した①ツリー部門、ペットボトルを使用してイルミネーションを装飾する②エコペットボトル部門、①②以外の③オブジェ部門の3部門で構成され、市子連はエコペットボトル部門に参加しました。2009年度には、単位校区の子ども会が単独で参加して大賞を受賞。子ども会としては2回目の参加になりますが、全校子連参加でイルミネーションを作るということはとても大掛かりなプロジェクトです。1校区平均10人の子供が参加したとして約250人以上。育成者の大人と事務局を合わせると述べ500人余りがかかわるビッグイベントでした。

私はこの時、研修部長としてファンタジアを担当しました。当時の会長から言われたことは、
①子供たちが楽しく作れるもの
②すべて子供たちが作る。大人はサポートするのみ
③日中でも見て楽しめるもの
─の3点でした。

いざ、参加を決めたものの、私たち役員はイルミネーションに関する知識がなく、ゼロからのスタートでした。勉強のためハウステンボスに行った役員もいました。イルミネーションについて基本的な勉強をしてみると、意外と難しくないことがわかりました。そもそも小学生が作る作品ですから、高度な技術力は必要ありません。技術的なことが分かればあとは企画です。

私は、ふだんは民間企業に勤めるサラリーマンなので、イルミネーションの企画は、毎晩お風呂の中で考えました。休日にはときわ公園に行き、会場となる遊園地を歩き、観覧車に乗っては企画を考えたものです。

最終的に市子連の全体のテーマは「絆」とし、サンタクロースが各校区にプレゼントを渡すというイルミネーションを企画しました。

準備段階から子供たちが関わる

出展場所に1校区分直径1mの円を22描き、その円に作品が置かれて全体のイルミネーションとしました。各校子連の場所は抽選で決め、いよいよ子供たちが参加して作業スタートです。

防炎シートの周りにコンクリートブロックを置き、その周りの重しとなるコンクリートブロックに子供たちに好きな絵を描いてもらいます。また作品となるペットボトルは、子供たちが絵を描き、各校区が考えたデザイン(花や動物など)に形作られます。当初の考え通り、子供たちの作品は、LEDの電気を通さずとも日中でも十分楽しめるものになりました。

さらに空いているスペースにはペットボトルを使って迷路を作ります(市子連では「明路」と書く、以下明路)。イルミネーションの本体と明路の分も合わせると、5000~7000個のペットボトルが必要でした。まずはギネス記録のペットボトルタワーとは別に、ペットボトル集めです。子ども会関係者だけでは足らないので、県内のマラソン大会の事務局などにも事前にお願して集めました。

子供も大人も楽しめる「TOKIWA ファンタジア」

イルミネーションコンテストの出展者は、作品を8割作ったら、現地(ときわ公園)に運んで最後の2割を作って仕上げていました。しかし、われわれは、各校子連の作品がすべて揃ってひとつの作品になるので、点灯式までは全体像を見ることができません。イメージを頼りにリハーサルなしの一発勝負でした。

点灯の瞬間は、子供も大人も言葉では言い表せないほどの感動と達成感を味わうことができました。

子ども会では、スポーツや文化、自然体験などの行事を子供が主体で企画し、活動していますが、「TOKIWAファンタジア」は、子供だけでなく大人も一緒にモノづくりに参加できるイベントです。各校子連の子供たちが交流し、競いながらも楽しんで一つのものを作り上げたことが、最も大きな成果だったと感じています。

その後、2013年、14年のイルミネーションコンテスト〈エコペットボトル部門〉に参加しました。昨年は市子連のイルミネーション作品が、「大賞」を、さらに市民の方が選ぶ「市民賞」のダブル受賞となり、2倍の喜びとなりました。

イルミネーション作りに関しては、かなりの労力をかけていますので、苦労が報われた思いです。

ボランティア組織ならではの課題

今、市子連としての課題は、育成者の人材確保と育成です。市子連の執行部はベテランが揃っているのですが、各校子連の役員さんが長く務めてもらえないというのが現状です。また校子連のリーダーである会長でさえ、毎年変わる校区もあります。25年度はイルミネーションで大賞と市民賞のダブル受賞をいただきました。子供やその時の育成者は、準備から点灯までの作業工程を経験し、感動と達成感を味わっていますが、各校区の中には、その感動を知らない新役員さんがたくさんいます。役員の任期は特に決めておらず、あくまでも現場に任せている状況です。このような人材育成・確保の問題は、我々のようなボランティア組織では、どこも同じ悩みを抱えていると思います。

私は研修部長、副会長を経て今年度から会長として、市内の21校区1支部の子ども会の活動を補佐する立場にいます。また「TOKIWAファンタジア」では総合プロデューサーも務めています。会を束ねるリーダーとしては、“自らが動き、働く姿を示すこと”を心掛けています。指示を出すよりも、常に誰かを補佐する側でありたいと思っています。執行部の役員は、私同様、サラリーマンや自営、専業主婦の方によるボランティア活動です。忙しいなかでも、地域の子供たちの育成活動が楽しい!と思える人たちばかりが集まり、楽しんで活動しています。

愛着のある地元の公園「ときわ公園」

子ども会では、昔からときわ公園を利用しています。

ときわ公園は、常盤湖を囲む189ヘクタールにおよぶ広大な公園で、様々な敷地があり、とくに園内にあるキャンプ場は毎年、夏の行事でお世話になっています。

私は宇部市出身なので、子供の頃からときわ公園は地元の公園として愛着があります。その当時と今を比較すると、公園の周りの風景は変わってしまいましたが、動物園や植物館がある自然豊かなときわ公園は変わっていません。

地元の人間にとっては、日本一の公園だと思っています。園内の植物館は特に韓国人観光客に人気があり、ペリカンの飼育数、シロテテナガザルの飼育数では日本一を誇る動物園は来春、リニューアルオープンします。さらに来年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」は、山口県萩市が舞台になりますので、県内全体の盛り上がりを期待しています。

「TOKIWAファンタジア」は、昨年、YAHOO!JAPANの「全国イルミネーション人気ランキング~中国地方」で1位を飾り、注目度が上がっています。来場者も年々増えています。

「TOKIWAファンタジア」の来場者数と開催日数



市子連では、今年もイルミネーションコンテストに参加します。今まさに11月30日の点灯式に向けて、多くの子供たちが作品に取り組んでいるところです。

昨年は大きな賞をいただきましたが、市子連のすべての行事は“楽しく活動する”が基本にあります。その気持ちを忘れずに、今後も子供たちの育成に務めていきます。

 ときわ公園:https://www.tokiwapark.jp/

 宇部市:http://www.city.ube.yamaguchi.jp/

 長州科楽維新プロジェクト:http://www.kagaku-ishin.org/info.php

 山口大学:http://www.yamaguchi-u.ac.jp/

※文中に出てくる所属、肩書等は、取材時のものです。2014年11月掲載

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過去記事一覧
21 市民の手によって「つくり続ける公園」
20 下町に残る、手つかずの自然を守り、育てる
19 絵本、ケルナー広場を通して、子供たちの成長を見守る
18 生かされていることを実感 自然と一体になれるサップヨガ
17 震災後、市民の手によって再生された西公園
16 住民の心をつないだ3万個のキャンドル
15 市民がつくり、見守る広場
14 満月BARで公園の非日常を楽しむ
13 わらアートで、地域に笑顔と一体感を
12 再生物語を支えるボランティア組織「MEG」
11 公園が図書館に変わる「敷島。本の森」
10 公園に地域の人が集う「はじっこまつり」
09 トンボの魅力を子供たちに伝える
08 「朝市」で公園がコミュニケーションの場に
07 「スポーツ鬼ごっこ」を通じて 子供たちの居場所づくりを実現
06 高齢者、障がい者に公園案内 ボランティア側も癒される
05 仲間と共に成長してきたみはまプレーパーク
04 地域で子供たちを育成・指導 地元の公園でイルミネーション作り
03 公園がアートな空間に生まれ変わる日 あそびの重要性を考える「アートパーク」
02 子供たちにワークショップで地域貢献 公園での活動は発見の連続
01 自然環境は、利用しながら保全する


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